先日、実家に帰って父と話していたときのこと。クルマに全く興味の無い父が、こんなことを言い出した。
日本のクルマの色って、あんまり良い色が無いなぁ。欧州車の方が、落ち着いた雰囲気の大人の色がたくさんある気がするけど、国産車にはそういう魅力的な色が無いように思う。だから結局、黒や白みたいな無難な色を選んでしまうんや。
と。へぇ〜…父がそんなことを考えていたなんて。私が「お父さんはどんな色がいいん?」と聞いてみると、
そやなぁ〜やっぱりグレーっぽい色がええなぁ。大人っぽくて落ち着いた感じの色、欧州車でよくあるやつ。
と。クレヨンみたいな色のことを言っているのだろうか。でも確かにクレヨンのボディカラーに関しては、以前義母も大絶賛していて「この色好きやわ〜!こんなポルシェやったらお母さん好きやわ〜!」とずっと言っていたw
両親世代にとって、グレーやマットなベージュといった色は受け入れやすい色なのかな。
そして父は続けて、
色に関して、日本人の文化と欧米の文化は全然違うんやろなぁ。向こうのほうが、色にも強いこだわりを持ってるんかもしれん。クルマのボディカラーの種類も、向こうのほうが日本よりバリエーション豊かで、たくさんの中から選定してる感じがするわ。
と。そういえば以前、ポルシェ ジャパン前社長のインタビュー記事を読んだ時に、イタリア人の色に関する認識について面白い内容が書かれてあった。
私が『色は、みんなから好まれる白か黒で』と言うと即座に『ボス、イタリアでは白と黒は色じゃない。赤やブルー、グリーンが色です。わかりますか』と言われて衝撃でした。最初から白と黒は限定車から外されるんです」
*出典:日経BP「服装ルール厳しかった銀行員時代 靴が唯一の自己表現」
と。さすがイタリア…!こういうことをボスにさらっと言えるところもかっこいい。
その時ふと、夫に以前教えてもらったインスタグラムの「porsche.sport.germany」さんを思い出した。ドイツの街中で見かけたポルシェの写真を撮ってアップされているのだが、ボディカラー、幌とボディの組み合わせなど、日本ではまず見ないカラーのポルシェがたくさん掲載されていて、見ていてとても楽しいのだ。
*画像出典:Instagram「porsche.sport.germany」
夫もよくチェックしていて「この配色は思いつかんかったな〜」とか「僕が次買うならこんな色にしたい」などと言っている。こちらのインスタグラムを父に教えたところ、
ほんまやな〜こんな緑色とかええやんか〜。めちゃくちゃええなぁ〜
と言いながらずっと見ていたw
もちろん、メーカーで選べる色以外に自分でラッピングしているものもあるだろうけれど、自由に愛車の色で遊べる文化って素敵だなぁ。そして、ヨーロッパの古い町並みに、これらのポルシェのカラーがよく映えること…。
日本は「白、シルバー、黒」といったボディカラーでないとリセールが悪くなるし、何より街中で目立ちすぎるので、「本当は遊び心のある色にしたいけれども、実際はしづらい」という部分は大いにあるのだろう。
今回父の話を聞いて思ったこと。今まで「父は車に全く興味が無い」とだけ思っていたけれど、結局は日本に「これは欲しい!」と思えるような魅力的なクルマが無くて、結果どんどんクルマに興味が無くなっていったのかもしれないなぁ…と。
意外と父は、わが家のクルマに乗ると「これ、何cc?」「馬力どのくらいあるん?」などと聞いてくるし、兄が乗るスバル車に関しても「水平対向エンジン作ってるのは、今の日本ではスバルだけやもんなぁ」などと言いながら、知ったげに話していたりする(笑)
結局壊れにくい、安定の「トヨタ」に始まりそこに落ち着き、全幅の信頼を寄せている父だけれども、若いうちに欧州車に乗る機会があれば、もしかしたら今よりはクルマ好きになっていたかもしれない。そんな父親世代の人たちも、実は多いのかもしれないなぁ…と思ったりする今日このごろである。