テスラがわが家にやってくる|ポルシェ乗りがテスラ モデル3を注文した理由

テスラ
レビュー・試乗記

ポルシェ タイカンで感じたEVの魅力

わが家にポルシェ タイカン クロスツーリスモがやってきて1ヶ月が経った。妻がメインで乗っているのだが、私も時々運転する機会があり、改めてEVの魅力を感じるようになった。

確かにEVにはデメリットもある。しかし、日常の移動に使う分には、ガソリン車やディーゼル車の良さが見出せないほどEVは便利だ。

その最大の理由は、運転のしやすさにある。街中での低速走行が多い場面では、モーターのレスポンスの速さが真価を発揮する。どんなV8やV12エンジンでも太刀打ちできないレスポンスとトルクの厚さがあり、まるで水を得た魚のようにスイスイと走れるのだ。特に交差点での減速からの再加速などは、もうエンジン車に戻れないのでは?と思うほどだ。

ポルシェタイカン

加えて、充電の手軽さもEVの大きな魅力だ。我が家の駐車場にはコンセントがあるので、タイカンは家で充電できる。現在は100Vのコンセントで運用しているが、それでも1時間で約1kWhの電力を充電でき、1晩でおよそ8kWh、30km〜40km分ほどの電力が蓄えられる計算だ。

日頃の買い物や送り迎えでは、まず30kmも走らない。50km程度の通勤ですら、大半は1晩の充電で賄えてしまう。つまりEVは、スマホと同じように家に帰ったらコンセントにつないでおくだけで、翌朝にはまた元気に走れる状態になるのだ。もはや自宅にガソリンスタンドがあるようなもので、これほど便利なことはない。仮に家に充電設備がなくとも、今では多くの充電スタンドがあり、買い物や通勤のついでに停めている時間中に充電できる機会も多いでの無駄がなく便利だ。

ちなみに、航続距離が短いという懸念も持たれている方もいると思うが、あまり心配ない。それはガラケーからスマホになってもあまり困らないのと同じ理屈である。
ガラケー時代は携帯電話の充電は1周間程度は持つことが多かった。しかし、スマホが出た時、『1日しか持たない携帯電話なんて、誰も使わない』という意見が多かった。しかし、今はどうだろう?ほとんどの人が一日程度しか充電が持たないスマホを実用的に使用している。EVもそれと同じである。今はどんどん充電環境は良くなり、多くのことの”ついでに”充電できるからだ。

テスラとの出会いと当時の印象

こうしてEVの実力を目の当たりにし、ふとテスラのことを思い出した。実は、テスラが日本に上陸したばかりの頃、モデルSに乗る機会があったのだ。

その時の印象は上々だった。アメリカ車特有のイメージを想像していたが、ボディの造りはとてもしっかりしていて、ヨーロッパ車のような質感があった。走りはメルセデス・ベンツに近く、実直で安心感のある乗り味だった。

加速力は目を見張るほど速かったが、運転は易しく、アメ車から想像するようなふにゃふにゃした感覚は皆無だった。この時の経験から、テスラに対しては良いイメージを持っていた。

新型モデル3に乗って感じた4つの魅力

そんな折、テスラのモデル3がマイナーチェンジを受け、よりシャープなデザインになったと聞いた。モデル3はテスラのラインナップの中で最もコンパクトなセダンで、BMW 3シリーズやメルセデス・ベンツ Cクラスと同じセグメントに位置する。

マイナーチェンジ前のモデル3は、正直デザインが好みではなかった。しかし、新型のモデル3はスタイリッシュでスポーティな印象になり、これは一度乗ってみたいと直感した。そこで妻と二人、さっそく試乗へ向かったのだ。

テスラに試乗

以前のモデルS試乗の経験から、それなりの期待はしていた。が、新型モデル3の実力は、その期待をはるかに超えていた。正直に言って、私の予想を1.5倍から2倍も上回る素晴らしい車だった。その魅力は、大きく分けて4つある。

1つ目は、ボディの剛性と足回りのセッティングの素晴らしさだ。同クラスの車はおろか、1ランク2ランク上の車すら凌駕する走りを見せてくれた。特に発進時のタイヤの転がり出しは驚くほどスムーズで、モデル3の乗り心地は相当なものだ。今まで私が乗ったクルマの中で、足が柔らかい系のクルマで最高に乗り心地が良いと思ったのは、レンジローバー・オートバイオグラフィーだ。しかし、モデル3の最初の転がりだしの感触は、それに勝るとも劣らないスムーズさではないかと思うほどだった。

2つ目は、室内の静粛性の高さと、シンプルで洗練されたインテリアだ。新型モデル3では窓ガラスが全て二重になり、窓を閉めると驚くほど室内は静かだ。まるでノイズキャンセリングイヤホンをしているかのようで、最新の高級ホテルのように洗練されたインテリアデザインは、無駄なボタンを一切排除し、シンプルながらも上質な空間を生み出している。何でもかんでもソフトパッドにしたら高級感を出せると勘違いしている車メーカーとは180度違うアプローチで新鮮だ。

テスラ モデル3のインテリア

3つ目は、街中での扱いやすさだ。モデル3のワンペダルドライブは、アクセルを緩めるだけでスムーズに減速し、車を止めてくれる。試乗の間、私は一度たりともブレーキを踏む必要がなかった。信号待ちで止まる際も、滑らかに減速し、最後はとても自然に停車する。運転する側だけでなく、同乗者にも優しい挙動だ。しかも、どんな坂道でもブレーキを踏むことなく、自然に止まり、かつ、坂道発進時もパーキングブレーキの解除による振動や衝撃などは一切感じさせないスムーズさだ。これは、私が経験したどんなクルマよりも素晴らしい。

そして4つ目は、駐車中の過ごしやすさだ。テスラは運転している時だけではなく、停車中に車内で過ごすことに関しても非常に力を入れていると感じる。この視点は他のクルマにはなかなかない。
「キャンプモード」にすれば停車中にエアコンを効かせ、17個の標準装備のスピーカーが最高の音響空間を提供し、車内でネットフリックスやYoutubeを見ながら、まるでリビングルームのように快適に過ごせる。静粛性が高いことも手伝って、車内は完全なプライベート空間となる。
仕事や休憩、昼寝だって余裕できてしまう。

またペットを飼っている方には、「ドッグモード」もあり、車内を快適に保ち、ペットを車内に残すことができる。今回、私がテスラの購入を決断した大きな理由の一つは、このように移動手段に加え、自分だけの快適なワークスペースとしても使えると思ったからだ。

テスラモデル3 ハイランド

ウルトラレッド、18インチフォトンホイール、白内装で発注。

加えて、モデル3の価格は同クラスの車と比べても十分魅力的だ。補助金を活用すれば600万円を切る価格で購入できる。この価格でこの性能は、間違いなく他を圧倒するコストパフォーマンスと言える。

こうしてモデル3に乗り、改めてEVの実力を思い知った私は、今まで乗っていたメルセデス・ベンツ GLBからの乗り換えを決意した。GLBは7人乗りで使い勝手も良く、素晴らしい車だった。

しかし、新時代の幕開けを感じさせるモデル3の魅力には勝てない。未来を感じさせる先進性と、想像以上にしっかりとしたシャシーの作り込み、そして圧倒的なEVとしての性能。それらを手に入れたいと強く思ったのだ。

テスラの真価|911オーナーの視点からの評価

私はポルシェを数多く乗ってきた。それなりにクルマの走行性能の良し悪しはある程度分かっている方だと思う。
その視点から見て、モデル3の走りを評するなら、これぞこれからのセダンのデファクトスタンダードになりうるポテンシャルがある。

ロングレンジの0-100km/h加速はわずか4.4秒。992のカレラ並の勢いで加速する。しかしモデル3の真価は、単なる加速のスピードだけではない。そのボディ剛性と足回りのセッティングは、運転していて楽しい類のものではないが、非常にレベルが高く、乗り心地、安定感、操安性のいずれをとっても十分以上。

モデル3

同クラスの車はおろか、私が今まで運転した数多くの車の中でも、相当上位の上質な乗り心地を提供してくれる。それでいて、卓越した運動性能も発揮する。正直、ポルシェに毎日のように乗っている私でも、モデル3の日常域の走りの質感には一切不満を感じないことを断言しておく。
ちなみに、後日、生粋のポルシェ乗りの知人2人にモデル3の試乗を勧めたのだが、その2人とも、「モデル3は凄い!」と大絶賛であることも付け加えておこう。

そしてEVならではの特性を活かした利便性の高さ。シートベルトを外すだけで自動でパーキングに入る、オートシフトで状況に応じてDやRを自動選択、セントリーモードで駐車監視など、随所に惜しみなく新しい工夫を投入している。なぜ、今までのクルマはこうじゃなかったのか?と不思議に感じるくらいだ。

モデル3

こうした点を見ても、モデル3はこのクラスに新たなベンチマークを打ち立てる存在になり得ると確信している。それはあのフォルクスワーゲン ゴルフのように、セグメントのスタンダードとなる存在だ。

いや、モデル3はそれすらも超えていくポテンシャルを秘めているのかもしれない。

EVはまだまだ日本ではシェアは低いが、私はこれからのテスラの動向から目が離せない。今回のモデル3の進化は、本物だと思う。それが購入を決断した理由だ。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

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  1. マーク

    こんにちは。

    初期のロードスターが出たときは、ロータスの
    スタッフがデザイン等の参画で制作されたとの
    事なので、メルセデス等の欧州メーカー協力が、
    あったかもしれませんね。

    先日はアドバイスありがとうございます。

    先月の16日にpecに行ってきて、自分の欠点
    を見直すことができました、

    ありがとうございます。

    • HiroHiro

      マークさん、こんにちは。

      PEC行かれたのですね!
      ドライビングを見直す機会になられたようで良かったです^^

      テスラは、当初のモデルSなどは、ステアリングなどメルセデス製のものが多く使われてたので、そういう協力関係があったのでしょうね。
      だから、アメ車感が少なく、どちらかというと欧州車感を強く感じたのだと思います。