わが家のカーライフ

「僕らがポルシェを愛する理由」を読んで本の中の名言をまとめてみた

夫に渡されたとある本

数年ほど前から、全く本を読まなくなった。はるか昔に、宮部みゆきにはまったり、司馬遼太郎の本をよく読んだりしていた時期もあったが、社会人になりビジネス書を読む度に「脳がやたら疲れる」と感じてしまい、気づけば本から遠ざかってしまった。

そのくせ、日々ブログでせっせと「活字を書いている」私は、一体何なんだろうw(書くのは好きなのだ)

そんなある日、夫から「これ面白いから読んでみぃ」と、一冊の本を手渡された。見たところ、山川健一さんという方が書かれた「僕らがポルシェを愛する理由」という本だ。ポルシェファンの間では有名な本で、夫はAmazonで中古のハードカバーを購入したが、文庫本であれば、たまに2万円を超える値段がついていることもあるそうだ。

実は以前、「なぜ、一流になる男は軽自動車を買わないのか」というタイトルに惹かれてこの本を読んでみたけれど、「これはクルマ好きの人が書いている本ではないなぁ」と感じる点が多々あり、また感覚も自分に合わなかったので、クルマのことを語った本にあまり良い印象がなかった。

そんなこんなで、あまり興味を示さなかった私を見て夫は、「ここ、読んでみ、めっちゃ有名なフレーズや!」と言って、わざわざ本を広げて見せてきた。そこにはこう書かれていた。

君が高速道路を走っているとしよう。夕方だ。少し混んでいるが、君は急いでいる。あそこに割り込みたいな、と思ったとしようじゃないか。ポルシェって車はね、その瞬間そこにいるんだ。気がつくと、もうそこにいる。そういう車なのさ。
*僕らがポルシェを愛する理由 ー 僕がポルシェ911を手に入れるまでの長いお話

おぉー…なんたる名言…。

これは、元レーシングドライバーで自動車評論家の徳大寺有恒さんがおっしゃった言葉だったが、この言葉によって本に少し興味が湧いた私は、後日しっかり読んでみることにした。

911を愛する理由

僕らがポルシェを愛する理由」は、1991年に初版が発行された。著者の山川健一さんは、日本の作家・ロック評論家・ロックミュージシャンで、これまでにバイクやクルマ関連の本もたくさん出版されている。

本のタイトルは「僕らがポルシェを愛する理由」だが、この本で語られているポルシェは主に「911」だ。(っていうか、まだボクスターが発売される前に発行された本やもんな)

子どもの頃からクルマ好きだった著者が、ポルシェに憧れ、中学生の頃にはいつかは911に乗ると決意し、大人になって手にするまでの話や、大先輩から聞いた911に関する様々な話、所有した後のエピソードやRRである911のドライビングのポイント、魅力など

が、丁寧に書かれている。

著者の山川さんは、ポルシェや911にかなりお詳しいが、人生初のポルシェ(中古の911)を買う際に「高い買い物だから、失敗したり後悔したりしないように吟味しよう」と、明けても暮れても、寝ても覚めても、911のことを考えたり調べたりしているうちに、911に詳しくなられたそう。

本の内容は、ほぼ山川さんの実体験に基づいて書かれている。山川さんがまだ若かった頃、クルマ好きの先輩と交わした会話や、運転している時の感覚など、情景をリアルに思い浮かべることができる文章なのでとても読みやすかった。まるで、山川さんの人生を追体験しているように感じられ、911の新たな魅力を知ることもできた。

さすが、プロの作家さんはすごい…。(当たり前だw)

また、山川さん自身、クルマ愛、ポルシェ愛に溢れた方なので(ファッションやステータスのためにクルマを所有する方ではない。それが悪いわけではないが)、読み終わった後、とても幸せな気持ちになり、今まで以上にポルシェが大好きになった。

また、フェルディナント・ポルシェや、エンジニアに敬意を払っておられる姿勢にも、好感が持てた。

名言まとめ

この本を読んだことで、ポルシェが好きになった、ポルシェに興味が湧いた」という人が多いと聞くけれど、なるほど、大いに納得だ。ただ、本を読んだ後、こんな素朴な疑問も湧いてきた。

クルマ好き、運転好きの人は、必ず若い頃に一時期バイク乗りになり、その時はクルマよりバイクに夢中になり、その後またクルマに戻ってくるルートをたどる人が多い気がするけど、(山川さん然り、夫然り)なぜだろう…(-_-)

…まぁ、それはいいとして。この本の中で、特に心打たれた「名言」を、ブログでぜひご紹介したいと思い、その部分に付箋をはっていったところ、えらいことになってしまったw

さすがに全てご紹介するわけにはいかないので、なんとか13個(中途半端w)に絞って紹介しようと思う。

Race on sunday,Drive on Monday

丁寧に扱ってやりさえすれば、ポルシェ911は頑丈でパワフルな車であり、日常の足としても不足はない。911はスポーツカーであるのと同時に、GTとしてだって十分通用するとぼくは思っている。

現在のポルシェ乗りの方が口をそろえておっしゃることが、約30年前に出された本にも書かれていた。

ポルシェ乗りへの道のり

必死でうまくなろうと思って、若葉マークにかえったつもりで練習するんだよ。それから箱根へ行くんだよ。もうひとつ。どんなことがあっても、もう飽きたと思っても、最低五年はこの車に乗るんだな。それぐらい乗らないと、911のことなんてわかりっこないからさ。

これは、911を購入した山川さんが、冒頭紹介した名言をはなった徳大寺有恒氏に自分の911を見せに行った時に、言われた言葉だ。

やはり、真のポルシェ乗りになるのは、そう容易いことではないようだ。そしてやっぱり、箱根に走りに行かなあかんのやなw

ポルシェは、美しい

911は宝石のように見える。他の車とは、質感が違う。

911を見て「フロント、サイド、リア、どこから見ても美しい」と感じる山川さんが、マンションの4階や高層ビルから911を見下ろした時に感じたことだそう。確かに、なんかうまく言えないけれど、911はとても美しい車だと思う。

911を感じる

ドアを開ける。乗りこみ、ドアを閉める。すると、そこには911の世界が広がっている。エンジンをかける前に、すでにそれは911の空間以外のどこでもありえないのだ。

わが家の空冷911(964)に乗る時、夫も、よく似たようなことを言うが、著者の山川さんは、「車の乗り降りは、特に911のような車の場合は、とても重要なファクター」だと書かれていた。

4人乗れるスポーツカー

リア・シートが狭いと文句を言う人がいるが、それは間違いだ。あの狭いリア・シートがついていることを、われわれはポルシェ博士に感謝すべきなのだ。ミッドシップのスポーツカーなんて助手席があるだけで、荷物があったら一人しか乗れないのである。それにくらべて911は、多少の荷物があっても楽に二人は乗れるのだから。

リア・シートが狭いと文句を言う人…まさに私のことやな。でも確かに言われてみたら、2+2シートとはいえ、4人乗れるスポーツカーということ自体、感謝すべきことかもしれない。

ポルシェを着る

最初に誰が言ったのか知らないが、「ポルシェを着る」という言葉がある。いい言葉だと思う。小ぶりなボディと、程よく狭い室内。六〇年代を感じさせるシンプルな、だが整備されたメーター類。ドライヴァーが緊張の感覚を維持しながらロードを走る時、彼は本当に911を着ている気分になれるだろう。

ポルシェを着る感覚は、車体が大きくなった現代の911ではなかなか感じられないように思う。そういえば夫は、964納車当時「まるでリュックを背負うかのように、ポルシェを背負ってる感じがする」と言っていた。

911は、生きている

この四年間、ぼくはただの一度も、誰にも911は貸していない。「ちょっとその辺を」走ることさえ拒んできた。それだけは、ケチと言われようが馬鹿と罵られようが、絶対に嫌なのだ。ガラスと表現される繊細なクラッチや、トランスミッションの調子が変わってしまうのが嫌だからだ。

山川さんが、どれだけご自身の911を大切にされていたかが分かる。911ってまるで、生き物なんだろうな。

車愛

自動車を愛するということは、そういうことではないのだ。たとえば人は、別れた恋人が今も幸福な人生を送っていることを願わないものだろうか。車だって同じことなのだ。

これは、アイドリングでエンジンを暖める山川さんの横で友人から「そんなことしなくても大丈夫ですよ、だってこのクルマに山川さんは10年は乗らないし、エンジンを暖めないことで影響が出るとしても、山川さんがこのクルマを売った後でしょ?」と、言われた時の山川さんの言葉。素敵なクルマ愛だ。

ワインディング・ロードを走ろう

ワインディング・ロードだ。こういう道でこそ、911は本来の面白さを魅せてくれる。高速道路なんて、後ろに忙しい重役や政治家を乗せて異動するV8のメルセデスに任せておけばいい。

笑ってしまった。あと、自動車が好きな人って、「ベンツ」ではなく「メルセデス」と言うから、私もこれからベンツのことを「メルセデス」って言おうかなw

911のコーナリング

911のコーナリングはオートバイのコーナリングと同じだと思え

バイク好きでもある著者が、「僕は素人だが…」と断った上で、911のコーナリングの鉄則をこう語られていた。夫もよく「空冷911って、バイクに乗ってるようなんや」というが、きっとこの表現に共感するポルシェ乗りの方は多いんだろう。

おまえは、ポルシェ乗りか?

911は奥が深い車だと言われる。それは、個人によってこのコーナリング・テクニックの差があるということだろうと思う。(中略)だから、コーナリングの腕を磨くということはすなわち、911自身にチャレンジすることにもなる。

夫も良く、「911に試されているような気持ちになる」と言うが、私も空冷に乗る度にそう感じる。逆に、現代の911は、運転に自信の無い私でも安心してそれなりに走ることができるように感じたから、この感覚は空冷時代ならではなのだろう。

中古のポルシェ購入の際のアドバイス

いいポルシェを手に入れたいなら気長に待つことだ(中略)早まるな、待ちなさい

著者が最初に購入したポルシェは中古車だったが、「ユーズドカーを手に入れるには、半年から1年かかる」と、当時のミツワ自動車の方に言われたそうだ。決して早まらず、待つことが大事だそう。

どういうわけか、フェラーリだけは。

911だけではなく自動車というものを深く愛しており、他のどんなスポーツカーに対してもあたたかなまなざしを向けるのに、どういうわけかフェラーリだけは敵視している。

大爆笑してしまった。とある女優さんが、若かりし頃、911乗りの彼氏とつきあったという話から、「911に乗る男性の共通項を10個あげた」うちの1つ。全ての項目に関して「確かに!!そうそう!」と共感できるのだが、このフェラーリの項目が特に面白く、その通りだと思った。

車を大事にしよう

車愛に溢れた山川さんの本を読んで、私自身日々の行動に反省する部分がたくさんあった。「ドアを勢いよくバンっと閉めない」とか「車をもっと大事に扱う」とか「汚れないようにする、汚れたらふく」とか「車では子どもたちにジュースやおかしを食べさせない」とか「靴は脱がせる」とか…

911は単に人やものが移動する乗り物ではなく、「その人の人生を乗せている神聖なものであり、生きている」んだなと…もっと、大事にしないといけないなと思った。

「僕らがポルシェを愛する理由」、本当におすすめの一冊です。

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