ポルシェの魅力

ポルシェ911 ダカール徹底レビュー【後編】:高速道路での実力と総評

前編の記事に続き、今回は後編の記事を書いてみたい。

高速道路での実力:安定感とパワー

高速道路に乗って、ならし運転中なので料金所から少しだけ踏み込んでみると、さすがはGTSエンジンをベースにしているだけのことはある。低回転域ではむしろカレラの方が機敏で速いと感じていたが、ある程度の回転域からの伸びとトルクの盛り上がりが凄い。

そして、911ダカールはリアシートがもともと無いのだが、その魅力を感じられるのはこの瞬間だ。遮音効果のあるリアシートが無い911の車内は、まさに3Dサウンドの空間だ。奥行きのある立体的な排気音、吸気音、メカニカルノイズが響き、とてもレーシーな感覚にさせてくれる。これを体験すれば、思わず誰もが笑みがこぼれるだろう。

ダカールはスポーツプラスモードではなく、代わりにラリーモードが付く。

高速道路での安定感は抜群だ。日本の高速道路の速度域だと、PASMスポーツシャシーのカレラより明らかに安定感は高い。ノーマルのPASMと同等かそれ以上の安定感だ。

オールテレーンタイヤのロードノイズもほとんど気にならない。カレラと大差ないと思ってもらって良いだろう。

高速ワインディングと夜間のマトリクスLEDヘッドライト

スピードを上げながら、アップダウンと高速コーナーが続く中国自動車道を走る。そんな中でも、911ダカールは余裕綽々である。カレラより車高が5cmも高いので、少し不安定に感じるのでは?と危惧していたが、全くそんなことはない。まぁ、それもそのはず、同じポルシェのカイエンはもっと車高が高いのに、高速の安定感は抜群なので、911ダカールにそれができないはずはないのだ。

矢のような安定感と、どんなカーブでも安心して切れるステアリング、そして余裕のパワーのフラット6。弟と感動しながら、夜の高速を駆け抜けていった。

ちなみに、この911ダカールにはマトリクスLEDヘッドライトが装備されている。光量はそれほど、通常のPDLS+のヘッドライトと変わらないものの、真っ暗な中国自動車道の夜などを走る際には、上手に対向車や前方のクルマだけを避けてライトを照らしてくれるので、とても重宝した。こういう本当に暗い道を走る人にはオススメの装備だ。

911 ダカールの真価

900km以上を一日で駆け抜けた納車の一日があっという間に終わった。弟は根っからのフェラーリ好きで、どちらかというとポルシェ嫌いなのだが、その弟が後日、「ダカールに乗りたくて仕方ない。でも限定車でもったいないし…レギュラーのダカールを出してくれへんかな?」と言ってくるのだ。

私もその気持ちはよく分かる。

もし将来、レギュラーモデルのダカールのような911が出れば、私も必ず買いたいと思う。そのくらい、911ダカールは「使える」911だし、「一般道で楽しめる」最もレーシーな911だと思う。

今回の旅で911ダカールのイメージは完全に変わった。もし幸運にも手に入れた方がいらっしゃれば、ぜひガンガン乗って楽しんでほしい。そうしないとこのクルマの価値が味わえず、逆にもったいないということを断言しておく。そのくらい走って「楽しい」ポルシェである。

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