あまりにも「空冷ポルシェがいい!」と夫が言うので、何が良いのか聞いてみた

911(964)を修理へ

先日夫が、「空冷のアクセルペダルがおかしいねん。戻りにくくて、エンジン回転の落ちが悪いから、ちょっと見てもらってくる」と言って、いつもお世話になっている近所のビーフォースさんに964C2を持っていっていた。

964に関しては、ティプトロニックのATF交換などをしたり、昨年秋に予防整備をしていたのだが、やっぱり30年前のクルマとなると、色々とガタが来るものなのだなぁ。まぁそれは当然のことだと思う。

ただ、今回もお店で964を直してもらい、再び964で帰宅した夫は、

ぜんぜん違う!こんなにエンジンはスムーズやったんや!!ヤバい。涙が出るほど気持ちいい回り方する!

と大感激していた。ビーフォースさん、いつも有難うございます。

空冷ツーリング

その後、夫は久しぶりに、この964で鳴門までツーリングに出かけたのだが、帰宅後、

いやはや、964はすごい。ほぼ30年前に作られたクルマとは思えへん。この前、ノートe-POWER NISMO Sで同じ道を走ったばかりやけど、やっぱり全然違うなぁ。走りの楽しさはノートも良いんやけど、安定感とか接地感、操縦している感触なんかは、30年経っても全然ポルシェの性能には追いついてないと感じたわ。
まぁ、価格も違うし、コンセプトも違うクルマやから比べるのもなんやけど、まだこんなに差があるのかとちょっとショックを受けたわ。。。

と、感激を通り越してため息をもらしながらしみじみつぶやいていた。

私が「空冷は、何がそんなにいいの?」と聞いてみると夫は、

うーん、それが説明できれば苦労せんのやけど。。。たぶん、永遠の難問やな。
まず、空冷云々の前にポルシェってクルマの大きな特徴の一つが足回りやな。もう、足が他のメーカーのクルマとは全然違う。実際、メカニックの方の話など聞くと部品の材質や太さ、取り付けなどにかかってる手間暇が違うらしい。サスペンションの剛性感というか、それから感じるタイヤの接地感が圧倒的やと思う。
ポルシェは何なら止まっててもタイヤがしっかり接地してるのが分かるやろ?あれやあれ。
空冷ポルシェみたいな昔のポルシェでも、あの接地感がすごいなぁ。ボディの剛性がしっかりしてるから、サスペンションが無駄なくキッチリ動く。ボディの緩さで緩衝してる感じがしないもん。だから、高速道路を飛ばしてもフロントが軽くてフラフラしそうやのに、なぜか安定感というか、安心感をすごく感じるんや。
全然怖くなくて、むしろ自分で操っている感がすごくて、本当に楽しい。特に僕が乗ってる964なんかで言うと、現代のポルシェよりも車線変更とかは俊敏な感じがする。故・徳大寺有恒氏の名言『あそこに割り込みたいな、と思ったとしようじゃないか。ポルシェって車はね、その瞬間そこにいるんだ。気がつくと、もうそこにいる。そういう車なのさ。』がまさにその通り!と言いたくなる。そんな足回りをしてる。
それと、やっぱりエンジンやな。ポルシェの水平対向6気筒のエンジンはやっぱり気持ちがいい。本当にスムーズに回るし、レスポンスもめちゃくちゃ良い。僕のクルマはティプトロニックやからあまり味わえないかなと思ってたけど、全然そんなことない。マニュアルシフトすれば、全然楽しめる。むしろ4速しかないことで、ワイドなギアでの息の長い加速が気持ちいい。
後ろから聞こえるエンジン音は、メカニカル音とエンジンの爆発音が心地よくて、バイクのエンジンみたいや。特に空冷ポルシェはシリンダーの中でガソリンが燃えている感が凄い。自分で言ってて『ガソリンが燃えている感』って何やねん?って思うけど、乗れば分かるんや。クルマを前に進めているパワーを音と鼓動から感じることができるんや。
このエンジンの音や回転のフィーリングとあの足回りのバランスが絶妙で、低速でゆっくり走っても、飛ばしても、本当に気持ちが良い。気分によってレーシーにも、スポーティーにも、そしてノスタルジックな雰囲気でしっとりと渋く乗ることもできる。ほんま、やめられへんのやー。

とのことだ。それにしてもめっちゃ熱弁するやん…( ̄ー ̄)

以前、964が作られている当時の工場の動画をみたことがあるのだが、町工場の汚い工場のような場所で、社員さんがまさに手作業で部品をはめ込み、一台一台作っている様子がうつっていた。

現在のポルシェの、最新鋭でロボットの力も活用した綺麗な工場とはまるで違っていたので「え、こんな感じで地道に作ってたの!?」と正直驚いた。

そんな風に作られたクルマが、修理こそ必要だとはいえ、30年経ってもなお、直せば新車同様に走り、オーナーを楽しませ、多くの人の人生を豊かにしてくれているなんて、本当にすごいことだなぁと思う。

あぁ〜もう一度ドイツのポルシェミュージアムに行って、ポルシェの歴史を体感したいなぁ…と切に願う今日このごろである。

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