ツーリング記

空冷ポルシェ911(964型)で行く夏のグランドツーリング2022(後編)

先日の前編記事に続き、今回は後編をお届けしたい。

Day3

嬬恋パノラマラインへ

長野市で朝を迎え、身支度を整えてチェックアウト。

まずは目指すは嬬恋(つまごい)パノラマラインだ。上田市を目指して、K35を南下する。この道がなんとも最高で、非常に気持ちよく走ることができる。舗装も良く、交通量も少なめ、ワインディング区間あり、直線区間ありと様々なシチュエーションがギュッと詰まっている。

あまりに気持ちよく走れるので、朝からとてもテンションが上がる。相変わらず窓もサンルーフも全開で、全身に空冷サウンドを浴びながら、上田市に到着。

R144を北上し、菅平高原方面へと911を走らせる。この辺りはどの道も気持ち良い。途中で別荘地の辺りを寄り道したりしながら、嬬恋パノラマラインの北コースへと向かう。いつ来ても素晴らしい快走路だ。

たまにトラクターが撒き散らした土が路面にあるので、それさえ注意して走れば問題ない。

榛名山へ

このまま志賀高原方面へと上がろうかとも考えたが、天気予報を見ると雨模様だ。今回は志賀高原は諦めて、急遽、榛名山を目指すことにした。途中の道の駅・八ッ場ふるさと館で足湯とランチ休憩。

以前にも榛名山へは来ており、その時は山の南の方から上がってきたが、今回は北側の通称『裏榛名』からアプローチするコースを取った。この裏榛名がとても気持ちがいい。とても走りごたえのある道で、特にパワーのあるクルマで走れば非常に楽しいだろう。

道はとても広く、緩やかな上りが延々と続く。交通量は皆無。走り放題の道である。

あっという間に駆け上がり、榛名湖の湖畔に到着。あいにくの天気と霧でほとんど全景は見えないが、これはこれで風情があって良い。続いて、メインコースであるK33を東に走ろうとしたが、とてつもない濃霧で全く見えず、これは危険と判断して、引き返すことにした。

ここから先はとりあえず今日の宿がある佐久市に向けて出発するも、ほぼノープランだ。適当にツーリングマップルを見ながら、どうやって佐久市に行くかを考える。

普通に行っても面白くないので、南牧村からの山越えルートを試してみることにした。GoogleMapで見るとなかなかの狭隘路のようだが、964のコンパクトなボディなら余裕だろうと判断。

まずは濃霧で視界が全くきかないK54を通り、北軽井沢方面へと抜ける。そこから南下して道の駅・オアシスなんもくを目印に進む。道の駅で休憩もそこそこに、暗くなる前に山越えを敢行する。

K93をこのまま行けば、佐久市に出られるはずである。途中の集落をいくつも抜け、快調に西へと進む。だんだんと山が近づき、道が険しくなり始めた頃、思いもよらぬ看板が。

そう、いつもの『通行止め』看板である。

ここから先を見てみたい気持ちを抑え、仕方なくUターン。

あまりに時間をロスしてしまったので、富岡市まで戻り、ここからは高速で佐久市のホテルに向かった。

Day4

八ヶ岳周辺を走る

この日は完全なノープラン。朝起きてから、ツーリングマップルを眺めてルートを思案する。八ヶ岳周辺は何度も走ってはいるが、まだまだ行ったことがない道が多い。

とりあえずはR299でメルヘン街道を走る麦草峠を目指す。松原湖のあるK480で行ったことは何度もあるが、北側の八千穂高原からのアプローチは初めてだ。

ぐんぐん標高を上げながら、911は快走する。

途中で出くわす前走車は、なぜか皆、道を譲ってくれるので、お礼のハザードを出して遠慮なく追い抜きをさせていただく。あまりにも快調に走れるので、ついついペースが上がる。ティプトロニックは2速、3速を行き来しながら、トルクをしっかりと後輪に伝えてくれる。そのトラクションがかかったリアタイヤを中心に、車全体が回転するかのような感覚は911ならではだ。

麦草峠の駐車場は激混みだったので、そのままスルーし、蓼科方面へと下る。相変わらずの素晴らしいルートだ。

蓼科高原を抜けて、八ヶ岳エコーラインを南下。道の駅・こぶちざわで休憩してから、富士見平展望台を目指してみることにした。しかし、あいにくの天気で何も見えず、即退散。

八ヶ岳高原ライン、八ヶ岳牧場ラインへと911を走らせる。休日や紅葉シーズンなどはクルマが多く満足に走れないが、今回は日曜にもかかわらず空いていた。

マイペースで快走し、再度、佐久市方面へと向かう。

次は立科町まで行き、今度はK40で白樺湖を目指すというルートを取る。2日目はR152の大門街道での南下を行ったが、その隣のK40を今回は選択した。

このK40、なかなかの名道である。林の中を駆け抜ける2車線道路で、ゆるやかな上り勾配が続く。時折、ヘアピンカーブや、中速コーナーもあり、とても楽しめる道である。

白樺湖からは前を走るPCCB付きのパナメーラターボに先導してもらいながら、R152を使って南下。今日は早めに宿のある諏訪市に到着した。

Day5

再びのビーナスラインへ

今日がツーリングの最終日だ。朝起きると、天気がそこそこ良かったので、急遽、またビーナスラインを目指すことにした。

今回は諏訪市からK424を通ってアプローチする。K40の方が快走路であるが、K424も十分に楽しめるワインディングだ。霧ヶ峰湿原植物群落を横目に、霧ヶ峰へと向かう。

相変わらずここは涼しくて、空気も綺麗だ。しばし、朝の新鮮な高原の空気で身体をリフレッシュさせる。適当にビーナスラインを往復し、和田峠からR142方面へ。

後ろ髪を引かれる思いでビーナスラインを後にした。

高ボッチ高原へ

長野に来たらいつか行ってみたいと思っていた場所の一つに、高ボッチ高原がある。ここは諏訪湖を一望でき、さらに天気が良ければ富士山まで見えるという絶景スポットだ。

この高ボッチ高原、行き方はいくつかあるようで、しかもどの道も分かりにくい。最初、南側からアプローチする道を選んだ。これは岡谷市方面から北上するルートになるのだが、これが超難易度が高い。

まず、この高ボッチ高原へ繋がる道へ行くまでが分かりにくく、一苦労だ。

途中、入り組んだ極狭の農道を走ることになるのだが、満足にUターンもできないほど狭いので、かなり疲れる。コンパクトな964だから何とかなったものの、現代のポルシェでは行くのはやめた方が良い。

何とか高ボッチ高原への道を見つけたものの、なんと通行止め(涙)

仕方なく引き返し、今度は西側からアプローチするルートへ切り替える。もうここまで来たら、意地でも上がる覚悟である。

アルプス展望しののめの道の途中にある、崖の湯口交差点から山側へと登り始める。最初から狭隘路の雰囲気が立ち込める。しかし、このくらいの道でへこたれるわけにはいかない。どんどん、登っていくが、なかなか辿り着かない。低速で登り続けるため、エンジンを冷却するための風が十分に当たらない。

油温計は徐々に上がり、真ん中を少し超えた辺りを指している。正しく整備された964なら、あまり真ん中以上になることはないので珍しい。しかし、それ以上には温度は上がらないようだ。

バックミラーを見ると、なんと車幅2mのメルセデスのGLEで上がってくる漢がいるではないか。下りてくるクルマと964は簡単にすれ違いできるが、GLEはさすがに苦労しているようだ。

手に汗握りながら、何とか頂上に到着。山頂ではラジコンのグライダーを飛ばしている方がおられ、しばしその操縦に見とれてしまった。しかし景色は最高だ。苦労して登った甲斐はある。

諏訪湖を一望できる景色を写真に収め、また長野へ来ることを誓いながら、4泊5日のツーリングは帰路についた。

今回の総走行距離は1784km、燃費は10.3km/Lでした。

今回のルートマップ

Share
Published by