ポルシェ・ケイマン

中古車のポルシェ ボクスター/ケイマン(981型)購入検討者のためのバイヤーズガイド

981の特徴、それぞれのグレードの違いと、付いてると嬉しいオプション

981型のボクスター、ケイマンの特徴はなんと言ってもレギュラーモデルとして最後のNAエンジンを搭載したモデルだという事だろう。とにかくどのモデルのエンジンも超絶に気持ちよく回り、かつ美声の持ち主だ。

素の2.7Lは小排気量ならではの高音が気持ちよく、スパイダーやGT4は3.8Lの迫力のある音圧が特徴的、そして、SやGTSの3.4Lは両者の中間的な感じで、バランスの良いエグゾーストノートで楽しませてくれる。

そのため、音にこだわる方にとっては、このモデルでのスポーツエグゾーストは必須アイテムだ。スポーツエグゾーストは後付もできるので、中古車に付いていなくても、いざとなれば後でも装着可能だ。GTSやGT4、スパイダーなどにはスポーツエグゾーストは標準で付いてくる。ONにすると明らかに音量も音質も変わる。

今まで体験した中で最も音量的に大きいのはスパイダー/GT4ではないかと思う。GTSも同じくらい大きな音だが、それにさら排気量からくる音圧がプラスされたような感じだ。一方で、アクセルオフ時の「パン!バリバリバリ!」というアフターファイアー音は、GTSの独壇場だ。スパイダーやGT4はGTSと比べるとこの音は抑えられている。

おそらくGTSはあえて、この音を出すようにチューニングされているのだと思う。ちなみにSや素でも、スポーツエグゾーストに変えるとかなり音量も勇ましく、派手になるが、このアフターファイアー音はGTSほどにはならないようだ。そこがGTSの大きな特徴の一つと言えよう。

いずれにせよ、981型のスポーツエグゾースト仕様車はかなり音が派手だ。991前期の911GTSや718GTS4.0、718スパイダー/GT4も相当だが、それよりも981系の方が音量と音の甲高さは上で、ここ10年くらいのポルシェの中では一番うるさいのではないかと思う。

高音が好きな人には981型はオススメだ。

乗り心地については、かなり「良い」と思ってもらっていいと思う。もちろん、国産高級ミニバンなどのようなフワフワ系を想像してもらうと困るが、しっとりとした中にもしっかりとコシがあり、私がよく言う「讃岐うどん」系の足回りだ。しっとりと路面を捉え、路面からの大入力もいなすように処理して、決して直接的な不快な振動を乗員は感じない。

ちなみに後継の718になると、この乗り心地の良さにもう少し硬質さを付け加えたような感じになる。そして、リアがもっと踏ん張った感じがして、ボクスターでさえケイマン的な硬質感を感じるので、走行性能的には718の方が上であることに違いはない。ただ、普通に運転する分には違いは分からないので、そこまで気にしなくても良いと思う。

ちなみに、素のグレードについて、よく質問を受けるが、芦有くらいの小規模ワインディングなら最も運転が楽しいと思う。それは踏み切れるパワーだからだ。

たとえば、私のGT3やパナメーラターボなどはパワーがありすぎて、こんな小規模ワインディングでは全開にするなどまずできない。仮に出来たとしてもほんの一瞬だ。そのため、ほとんどは低中回転でユルユルと走らざるを得ないので、たまに何をしているの分からなくなる(笑)。

一方で、素のボクスター/ケイマンなどは、そこまでパワーが無い分、エンジンをブン回して走ることができるのだ。確かに速さを求めれば、SやGTSなどになるが、運転を楽しむということを主眼に置く方には自信を持って素のグレードを薦める。

ボクスターブラックエディション(素のグレード2.7Lの特別仕様車)

オプションのオススメとしては、PASM、スポーツクロノパッケージ、スポーツエグゾーストは走りを重視する人にはオススメしたい。ただし、この中でもスポーツクロノパッケージとスポーツエグゾーストは最悪、後付もできるので、付いていない車両を購入して、後で付けるのも可能だ。(スポーツクロノの時計自体は後付不可)

なお、MTのスポーツクロノパッケージ仕様車だと、スポーツプラスモードにするとオートブリッピング機能が使えるので、これがとても気持ち良くてオススメだ。ただし、2012、2013年式辺りの初期のモデル(正確には不明。年式というよりモデルイヤーによる)にはこのオートブリッピング機能が無いので、購入する前にしっかりと確認しておこう。

その他は、快適系や見た目系になるので、完全に好みの問題だが、ボクスターのロールバーのボディ同色オプションというのは、とても気に入っている。また、シートベンチレーションは、夏場に重宝するのであった方が良い。これは付けなくて後悔しているオプションだ。

981ボクスターGTS

最後に、個人的なオススメグレードとしては、やはりスパイダー/GT4、そしてGTSだろう。それは圧倒的にリセールが良いので、実質安く乗れるからだ。それに、これからは新車の718のGTS 4.0、スパイダー、GT4が市場に出てくるので、981型は少し下がるだろう。そこが買い時だ。

そして、数年〜10年ほど経てば、981の相場は見直される時がくるはずだ。それは、音量や環境規制のまだ少ない時代の最後のボクスター、ケイマンとして音やフィーリングの点で見直されると思うからだ。(これはあくまで私の個人的な予想なので、購入は自己責任で)

981は多くの人にとって、買って損はないクルマであると思う。実用性とスポーツ性の高次元のバランス、そして、官能性さえも持ち合わせており、超万能なスポーツカーだ。私は981のボクスターGTSを購入して本当に良かったと思っている。40000kmを超え5年乗っても、今でも乗るたびに新たな試乗車に乗ってるかのように感動する。

現在、981を購入検討されている方が、素晴らしい981という名車に出会えることを願っています。

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