ポルシェ 911 GT3をあえて大雨の中で走らせる。カップタイヤはどこまで使えるのか?

今回は、夫が7月初旬にGT3を雨の中で走らせた記事を書いてくれた。宜しければぜひご覧ください。

GT3納車1ヶ月が経ち…

今年の関西地方はかなり遅い梅雨入りだったが、やっと本格的な雨のシーズンになった。GT3が納車されて、はや1ヶ月以上が経ち、気になっていた雨天での走行性能を試してみるべく、あえて大雨の中、GT3を六甲に連れ出してみることにした。(普通、そんなことするやつ居ないよな。。。)

当日は、スマホの天気予報アプリで確認すると、大雨の予報。雨雲レーダーを見ると六甲山系に真っ赤な雨雲が近づき、これから30〜50mm/hほどの雨が降るらしい。慌てて用意をして、GT3に乗り込む。

最高のテスト環境だ。

ちなみに私は自称『悪天候ドライブマニア』でもあり、雨や雪の運転も実はかなり好きだ(笑)

今回、確認したいポイントはGT3に新車装着されている『ミシュラン パイロットスポーツカップ2』タイヤのウエット性能だ。私は長距離ツーリングが好きなので、ゲリラ豪雨などに遭遇することもよくある。なので、あらかじめ、どのくらいの性能があるのか知っておきたかったのだ。

ちなみに、タイヤのウエット性能といっても、大きくは2つの指標がある。

1つめは、濡れた路面でのグリップ性能。そして、もう一つは水の排水性能(耐ハイドロプレーニング性能)だ。ミシュランのサイトやタイヤのテクニカル情報を見ても、調べた限りでは、なかなかその2つを区別して書いている箇所がなく、ウェット性能と一括りにされてしまっているからハッキリさせたかったのだ。

GT3を大雨の中で走らせる

K16(明石神戸宝塚線。通称『東六甲ドライブウェイ』区間)を使って、六甲山頂へ向かう。この道は、休日に走るならAM8時より前がいい。だいたい8時を過ぎるとミニバン族がちらほら六甲を目指すようになるので、常にセーフティーカー先導状態となってしまうのだ。

しかし、この日は大雨ということもあり、さすがに交通量は無く、ほぼ貸し切りだ。

恐る恐るペースを上げながら、カップタイヤの感触を試していく。
普通に走る分には全く、問題はない。何ら普通のタイヤと違いは感じない。次に少しペースを上げながら、カーブで横Gをかけてみる。ここでも思った以上に普通にグリップする。

なんだ、意外といけるな

もう少しペースを上げてみても、一般道を少し早めのペースで走るくらいなら、全然問題ない。カーブの出口などで、2速から強めにアクセルを踏むと、さすがにズル!っとリアが滑るがPSMがすぐさま制御してくれる。

ウェット路面でのグリップ性能としては、一般道を常識的な速度でさえ走れば、安全に走れるレベルだと感じた。これなら突然の大雨でも、そこまで神経質にならなくて良さそうだ。(ただし冬場など気温が低い場合は要注意)

なお、今まで私が経験した中で、ウエットのグリップが一番高いと感じたのは『グッドイヤー イーグルF1 アシンメトリック2』だ。これは濡れた路面でも本当によくグリップしてくれた。ボクスターはミッドシップにもかかわらず、例えば大雨の富士山スカイライン(周遊区間)をガンガンに飛ばしても、全然安心感があった。それから比べると、さすがに劣るが、それでも必要十分な性能だと思う。

次に排水性を試してみることにする。このパイロットスポーツカップ2は、いわゆる浅溝タイヤだ。新品でも5.4mmしか溝が無く、一般的なタイヤの7〜8mmから比べると明確に浅い。しかし、これでも先代のスポーツカップよりは23%ほど溝の深さは改善されているらしい。

排水性を試すにあたり、実際に高速をかっ飛ばして試すのは、さすがにリスキーなので、それはしていないが、川のように水が道路を流れている一般道で接地感の変化を感じてみることにした。

まず、数ミリほど路面に水があるような路面では、全く普通の路面と変わらない。特にハイドロプレーニング的な現象も起きなければ、ハンドルを取られるようなこともない。おそらく、現代の多くの高速道路で使われている透水性舗装なら、そこそこの雨でもあまり問題はないだろう。

一方、明らかな水溜まりや、流れるくらいに水が溜まった道路だと、さすがにハンドルを取られやすい。カップ2タイヤはタイヤの外側には縦溝が無いため、カーブなどは特に注意した方が良さそうだ。あくまで主観だが、普通のタイヤのハンドルの取られにくさを10とすると、5〜7といった感じだ。なので、雨の高速道路を走る場合は状況にもよるが、80km/h〜90km/hまでくらいで走り、かつ、大きな水たまりなどは注意した方が良いと思う。

特に透水性舗装から、いきなり普通の舗装に変わるような高速道路は慎重に走るべきだ。透水性舗装だと調子に乗って飛ばしてしまいがちだが、いきなり普通の舗装になった瞬間にハイドロプレーニングが起きてしまう可能性が高いと思う。

総評

テストしてみるまでは、もっと雨は不安定なタイヤかと思っていたが、常識的な走り方をする上では、ウエットグリップはそこまで神経質になる必要はなさそうだ。これなら、長距離ツーリングでの突然の雨や悪天候でも、十分に使えると思う。
一方、排水性という面では、物理的に溝の本数や深さが少ない分、慎重になった方が良いだろう。

もっとオールマイティーなパイロットスポーツ4Sに早目に交換しようと思ってはいたが、これならもう少し様子をみてもよさそうだ。もう少し溝が浅くなり、もっと様々なシチュエーションを経験してからでも遅くはない。また、なにか新たな発見があれば、追ってレビューしてみたいと思う。

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