ポルシェ・911

ポルシェ 911 GT3で行く和歌山・高野龍神ドライブ

夫が先日、和歌山までGT3でドライブに行ったのだが、その時の様子を記事に書いてくれた。よろしければ、御覧ください。

911 GT3で、和歌山へ

最近、なかなかロングツーリングに行けてないので、とりあえず日帰りにショートツーリングに出かけることにした。

今回の相棒は911GT3 ツーリングパッケージだ。

もう、5500kmを超え、最近はエンジンやトランスミッションの動きがとてもしなやかで、いっそう軽く感じられるようになってきた。

とりあえず、今回は和歌山方面を目指すことにする。個人的には和歌山の片側1車線の高速道路が大嫌いなので、あまり南には行きたくない。そこで、今回は高野龍神スカイラインを目指すことにした。

大阪方面からは、通常、橋本市側からアプローチしR480などを使うのが一般的だが、交通量は多いし、狭く、全く面白くない道なので、南の有田市方面からアプローチするルートを選んだ。こちらの方が遥かに遠回りだが、ドライブマニアたる者、距離は長ければ長いほどよい。

それよりも面白くない道を避けなければならない。

AM8:00に自宅を出発し、阪神高速湾岸線〜阪和自動車道へ。阪和自動車道の阪南ICあたりからの山越えは、GT3は水を得た魚だ。上り勾配の続く緩やかな高速コーナーをいとも簡単に駆け上がる。

しかもとてつもない安定感で、路面に張り付くように曲がっていってくれる。こういう所のGT3はたまらない。

有田ICで降りて、R424で高野山方面を目指す。途中、道の駅しらまの里で休憩を挟み、クルマの流れが途切れるのを待ってから、再出発。このあたりの道はとても気持ちが良い快走路だ。

GT3を2速、3速にして、極上のエグゾーストノートを山中に轟かせながら、カントリーロードをクルージングする。

GT3の排気音、エンジン音は4000rpm以下では、正直そんなに良い音とは言えない。低速域では981ボクスターGTSの方が、はるかに快音だ。しかし、スポーツエグゾーストをONの状態で4000rpm付近に差し掛かると、バルブが開き、明確に音が変わる。そして、とてつもない快音が聞こえてくる。

ボクスターとは音量、音圧が全く違う。何の飾りも演出もない素の排気音が、まさにレーシングエンジンのそれだ。

GT3でトロトロ運転

途中、道の駅 龍神に寄るつもりが、とんでもなく混んでいたのでスルー。そのまま高野龍神スカイランへとクルマを進めていく。そして、この辺りから、地獄のトロトロ運転が始まるのだ。

そろそろ紅葉シーズンを迎える高野龍神スカイラインの週末を甘く見ていた。

大量のファミリーカー、ミニバンが、列をなして山頂を目指しているのだ。その中に取り込まれたGT3は、もはやピットスピード以下の時速30〜35km/h付近でのヒルクライムを強いられることになる。もはやトロッコ列車状態だ。

途中、急勾配などがあると、もっと遅くなることもしばしば、もはや、前のクルマは停車するつもりなのか?と思うほどだ。

飛ばす必要は全くないが、さすがに勾配に応じて、もうちょっとアクセルを踏み込むなど、メリハリのある運転をしてほしい。逆に危ない。

こういう場面はヨーロッパのドライバーとは大きく違うところだと思う。彼らはファミリーカーでもミニバンでもしっかりとアクセルを踏み、しっかりとブレーキを踏む。
おそらく、どんな場面でも、とにかくスピードを出さないことを是とする、日本の交通教育の弊害ではないだろうか。

そんな中でのGT3は、想像以上に苦痛だ。ある程度のスピードが出ているGT3はとてもフラットで、かつ強烈な接地感で、非常に乗り心地がいい。しかし、この速度域で走るワインディングだと、路面のうねりや凹凸で、ストロークの短い足回りは、ボディを大きく揺するのだ。常にユサユサと左右に揺れているような感じだ。

ただし、ストロークは短くとも、とてもフリクションが少なく、振動吸収性の高い足回りなので、揺れ残ることはないのがせめてもの救いだ。とはいえ、こういう場面ではボクスターの方が遥かにストレスが少なく、快適だと思う。

GT3を通じての出会い

護摩山スカイタワーまで来ると、激混みの駐車場に吸い込まれるように、他のクルマ達は入っていく。そこで、チャンスとばかりにクリアラップを取り、GT3はやっと通常のペースに戻ることができた。シフトを2速に放り込み、エンジンは低回転で溜まったスラッジを勢いよく吐き出すかのような深呼吸をする。

適度なアップダウンと、中速コーナーが続く高野龍神スカイラインをやっと楽しめるようになった。交通量さえ少なければ、名道の少ない関西では、ダントツに良い道だ。芦ノ湖スカイランなどによく似た感じで、かつ、距離も全線では40km以上あるので、とても楽しめる。

GT3は、相変わらずコーナーをギャンギャンに曲がってくれる。運転している自分でさえ、そのコーナリングの華麗さにびっくりする。空冷911とは違い、運転テクニックはそれほど必要ない。ハンドルさえ曲げれば、ある程度は誰でも速く走れる。

しかし、ちゃんとアクセルワークや荷重を意識しながら走ると、なお楽しい。やはりRRの911は良いなぁと思う。

途中、花園物産販売所の駐車場で休憩。クルマを少し離れた区画に停めると、わざわざ隣に停めてくる大型バンが隣に来た。「また、トナラーだ。。」と思いつつ、クルマから出るやいなや、バンのドライバーの方も降りてこられ、

『これ、クレヨンですよね!!』『6速MTですよね!!』

と声をかけられた。

何でも、その方にとってポルシェのGT3は憧れのクルマらしく、そのクレヨンのGT3が大好きだとのこと。「普段、ネットで調べまくっていて、初めて実車を見ました」とのことだった。早速、そこでポルシェ談義に花が咲いた。ポルシェの買い方やGT3の注文の仕方、エンジンや排気量、GT3のフィーリングなど、いろいろお話をしてその場を後にした。

高野龍神スカイランは、これ以上、先には行かず、ここで引き返すことにする。

今度はK26を経由して、次は白崎海洋公園を目指す。ここは去年の台風被害で被害を受け、一時、完全に閉鎖されていたが、今は一部復旧しているようだ。ここはとても景色がよく、クルマの撮影スポットとしても最適な場所だ。

なかなか快適なK26から御坊市を経由して、海岸沿いへとGT3を進める。海沿いの道の景色は良いが、天気はあいにくの曇りで、海は鉛色に近い。しかし、写真を撮ってみると、海や空の色、周囲の岩肌の色やコンクリートの色、そしてGT3のクレヨン色がとてもよく合っている。

白崎海洋公園は、レストランや駐車場は復旧しているものの、まだ立ち入り禁止場所があり、最も撮影に適した場所へクルマを進めることはできなかったが、紀伊水道の海は雄大で、また今度は天気の良い日に来てみたいと思った。

帰路につき、再度、高速へ乗り自宅を目指す。GT3の高速道路はとても快適だ。かなり乗り心地よく、高速道路だけに限って言うとボクスターよりも疲れが少ない気がする。それは、ボクスターより自由度の高いシートポジションであったり、超絶フラットな乗り心地、そして、抜群の高速安定性がそう思わせる。スピードを出せば出すほど、張り付くように安定する。

特にフロントの接地感はRRなのに、ボクスターよりしっかりしている感じがする。羽なしのツーリングパッケージでこれなのだから、羽がついてる通常のGT3やGT3RSだと、もっとダウンフォースが効いて安定していることだろう。

今回のショートツーリングは、

総運転時間:8:25
総走行距離:458.7km
総燃費:10.6L/100km(約9.4km/L)
平均速度:57km/h

であった。

まだまだ走り足りないので、久しぶりに数泊するようなロングツーリングに行きたいと思う。