わが家のカーライフ

元トップセールスの私から見た自動車ディーラーの営業マンの営業力

以前は、トップセールスでした

私は、新卒で入社した会社で営業部に配属になり、退職までの5年半ずっと営業の仕事をしてきた。学生時代は「営業って大変そう。ノルマがきつそうだからやりたくない」と思っていたのだが、配属先を決める面談で当時の上司から、

おまえに事務は無理や。事務仕事のミスが多すぎるし、ホッチキスで書類を止めるのでさえ下手すぎる。配属先の選択肢は営業しか無いと思っておいて。

と言われ、しぶしぶ営業をすることになったw

ただその後はおかげさまで、3年間成績1位になることができ、退職・独立後に出版社からの依頼を受け、前職での経験をもとにした営業ノウハウ本を出版させて頂いたりもした。

そんな私なのだが、最近は人生2度目の愛車を購入すべく、国産車・輸入車ディーラーに足を運んでいる。そこで感じた「ディーラー営業に感じる違和感」について、今日は書いてみたいと思う。

ディーラー営業マンの対応への違和感

先日、国産車ディーラーへ足を運んだ時のこと。事前に電話をし、目当てのクルマのMTの試乗車があるかを確認した上で、子どもたちを連れ家族5人で伺った。

席に通され、営業の方から「本日はご主人が試乗されますか?」と聞かれたが、夫が、「いえ、今日は妻のクルマを探しにきたので、妻が乗ります」と言うと、「え!奥様がMT車を…そうなんですね!」とその方は大変驚いておられた(笑)

その後、

担当:「購入されるのはご主人ですか?」
夫:「いえ、妻が『自分の車は自分で買う!』と言い張るので、妻が自分で買うみたいです。」
担当:「え!そうなんですね!奥様はお仕事をされているのですか?」
夫:「妻はクルマのブロガーでして…」
担当:「え!そうなんですか!未だかつてそのようなお仕事をされているお客様とお会いしたことがないです!」

といった会話をしつつ、色々と説明を聞いた上でディーラーを後にした。

ただ私は帰りのクルマの中で、なんとも言えず悶々とした気持ちになってしまっていた。そこで夫に、

なんかな、さっきの会話の中で、言葉の端々から「クルマに興味がある家庭や」ということは伝わったはずやのに、なんでもっと「クルマ好きなんですか?」とか「今までどんなクルマに乗ってきたんですか?」とか、色々聞いて来ないんやろなぁ。
ことごとく全部スルーやったやん。その割に値引きの話とかはすごいしてはったけど…売る気があるんか無いんか分からんかった。私が営業やったら、もっとお客さんに質問するけどなぁ。

と言うと夫は、

そやなぁ。僕の経験からすると、高級車ディーラーになればなるほど、「カーライフ」や「ライフスタイル」について聞いてくれることが多いように思う。一方で低価格帯のディーラーは「クルマの使用用途とか誰が乗るか」とかをメインで聞いてくる感じがするなぁ。
まぁ、担当者やお店によって違うから一概には言えへんけど、そんな傾向があるように思うなぁ。
わが家のポルシェディーラーの担当のHさんは、一見売る気が無さそうな感じなんやけど、でもクルマのことが好きみたいやし、ある程度よう知ってはるし、クルマの話がちゃんと出来るな。
あと僕はどちらかというと、過剰サービスやグイグイ来られる接客が苦手やから、Hさんの飄々としたスタンスが合ってると思うわ。あ、でもたまにグイグイ来る時もあるけどな(笑)

と話していた。

なるほど…でも確かに、輸入車や、趣味性の高いクルマを扱うディーラーであればあるほど、そんな傾向にあるのかなぁと思ったりする。

「この人から買いたい」と思われる営業に

これまでに、国産車・輸入車ディーラーに足を運び営業の方とお話した中で「この人は、クルマを売る気が無いのかなぁ」と感じることが結構あった。

もちろん、全ての人がそういうわけではないと思うし、たまたま私たち夫婦の接客をしてくれた人がそうだったということかもしれないが…。

営業の仕事というのは、簡単に言うと「自社の商品やサービスを売ること」だと思う。だからと言って、来店後いきなり商品説明をしてくるのは良くないと思うけれど、「自社のクルマの素晴らしさを伝えたい」とか「お客様のことをもっと知りたい」という気概が感じられないことが多かったのだ。

例えば、

・お客にあまり質問をしてこない
・情報を伝えてもスルーして深堀りしない
・クルマを買うことで得られる未来を伝えない
・沈黙が多い
・お客と積極的に仲良くなろうとしない

などだ。

先日の例で言うと、カイエンで家族5人で来店し(カイエンを知らなかったのかなぁ)、奥さんがMT車を探しているなんて、一般的なご家庭よりはクルマ好きであることが分かると思うのだけど、そのことについて全く深堀りをされなかった。

また、試乗している際に「夫もMT車が好きなので、このクルマは気にいると思います」と私が言っても、「そうですか、これまでに購入されたMT車好きのお客様は、皆さん気に入ってくださってますよ!」という返答で終わったり、「クルマのブロガーだ」と伝えたときも「そんなお客様、今まで出会ったことないです!すごいですね!」で終わったり…

もし私が営業マンだったら、

「家族で乗るスポーツSUVがあるのに、MT車を買うなんて、相当クルマ好きなのかなぁ」
「ご主人は普段何に乗っているのかな?スポーツカーかな?」
「これまでにどんなクルマに乗ってきたんだろう」
「クルマを買う時に大切にするポイントは何かな」
「クルマのブログを書いているなんて、何のクルマについて書いてるんだろう、読んでみたい!」

など、聞きたいことが山程出てくるだろうなぁと思う。

現在のカーディーラーでは、お客との距離を縮め過ぎるのは良くないといった決まりでもあるのだろうか…。はたまた、営業ノルマが厳しすぎて、お客との関係性を築くことより「とにかく値段の話をして売る」ということに意識が行ってしまうんだろうか。

ただ、営業は、売る以前にお客との信頼関係を築くことが大切だと思うし、お客と会話がはずみ、仲良くなり、色んなことを話してもらえて、「この人から買いたい」と思ってもらえる過程を踏むのは大事だと思うんだけどなぁ。

この件に関して話す中で夫は、

ディーラー営業マンの多くがクルマに興味がないのかもしれんな。だいたい、僕の方がそのクルマのことについてよう知ってことが多いもん。まぁ僕が調べすぎてるというのもあるかもしれんけど…笑
でも、「え、そんなことも知らんの?勉強不足やなぁ。」と思うことも多々ある。
僕やったら、自分が売るクルマたちについては取扱説明書はもちろんのこと、隅々まで調べまくって、お客さんから何を聞かれても完璧に答えられる状況にしておくけどな。あと、上司に言って、時間外で試乗車を運転させてもらって自分で体感するとかな。
まぁそれは、お店の体制や方針によってできないこともあるやろうけど、でも、もっと貪欲にクルマについて知ろうとすればいいのに…と思うわ。
あと、やっぱり低価格帯のディーラーや販売台数を競ってるメーカーのディーラーは「売り急ぐ」人が多いなぁ。相当ノルマがあるんやと思うけど、あれやと人間関係を築くとか全然できへんなぁ。
確かにそのクルマが良ければ人間関係は関係なく買うけど、もし将来、魅力的なクルマがなくなったり、値引きとかができなくなったら、人間関係ないと全然売れなくなると思うんや。
だから、毎回苦労して営業せなあかんという悪循環に陥ってるように思う。
人間関係を作るという一見、遠回りに思える『投資』ができてる人が最終的には勝つと思う。これは自分の仕事の周りのいろんな業種の超一流の営業マンを見てて、そう思うわ。

と言っていた。なるほど…。

またクルマというのは(クルマだけではないけれど)、設計、開発、デザインなど、多くの人達が携わり必死で作り上げられた努力の賜物であって、そういった人たちの想いを背負って、最終的にお客に売るのが営業の仕事だと思うので、もっと情熱を持って、自信を持って、売って欲しいなぁと個人的に思ってしまう。

私自身、以前はクルマに全く興味が無かったけれど、夫がポルシェを購入したことをきっかけにその魅力を知り、世界が変わった。クルマで色々な場所に行って、クルマを運転する楽しさを知って、家族との思い出も増えて、クルマを通して多くの新たな出会いがあって「クルマのある人生っていいなぁ」と思えるようになった。

そういう経験をしているからなおさら、ディーラーの営業マンと接する度に残念な気持ちになるのかもしれない。

帰りのクルマで「私やったらこうするのに!こうすればもっと売れるのに!私がかわりに売ってこよかな!」などと熱弁するものだから、

そんなに言うことあるんやったら、ブログに書きいやw

と夫に言われ、今回記事にした次第だ(笑)

なんだか偉そうに書いてしまったが、私も人に偉そうに言うだけではなく、自分の仕事に情熱と自信を持って、これからも進んでいけたらと思う。

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