『ポルシェでツーリングに行く』のではない、『ポルシェとツーリングに行く』のだという件

一人でボクスターで芦有へ

先日夫が、知り合いの方とお話していた時のこと。「東北にロングツーリングに行ったりする」と言うと「それは、ご家族で?」と聞かれ「いえ、もちろん一人で!」と答えると、驚かれたそうだ。帰宅した夫は、

そんなん当然や。自分一人で行くのが一番ええんやw

とにやにやしながら話していた。

以前から夫は「ツーリングは一人で行くのに限る」とよく言っているが、それを聞くたびに「よっぽど集団行動が嫌なんだな。にしてもほんまに自由人やな…(-_-)」と少し冷ややかに見ていた部分があったが、今では、その夫の気持ちがよく分かるようになった。

先日も、ボクスターで一人で芦有ドライブウェイを走ったが、ちょうど夕日がとても綺麗な時間帯で気候もよく、オープンにして走っているとふいに涙が溢れそうになるほど感動してしまった。

もちろん、同乗者がいて「いいクルマだね、楽しいね」と話しながら走るのもいいけれど、ポルシェに関しては、やはり一人でポルシェと向き合いながら走るほうが、より楽しいなぁと思うのだ。

私が一人で芦有へ行くときは、コース取りの練習も兼ねて走るので「あ〜今の全然あかんかったなぁ〜」とか「そうか、今はそんなにシフトダウンしなくても良かったんやな」など反省しながら走ることも多いので、こんな時に同乗者が隣にいると、思うように走りに集中できなくなってしまう(私は一体どこを目指しているのだろうかw)

また、ボクスターと一体になるべく腕を磨くこの時間は、日々子育てにバタバタしている自分にとって、ゆっくりと自分と向き合える貴重な時間でもある。

というわけで話を戻して、夫が「一人でツーリングに行きたい」という気持ちが、今になってすごく分かるようになった。夫は家では仕事の話はあんまりしないけれど、きっと色々大変なこともあると思うので、そういったことをすべて忘れて、自分一人で愛車と対話しながら存分に走れる時間が、夫にとっては貴重な充電時間になっているのだと思う。

ツーリングには、ポルシェ”と”行くのだ

夫はよくこんなことを言う。

雑誌やネットで「おすすめのドライブコース」の情報がよく紹介されているけど、それ見ても僕は全くピンと来ないわ。あんなもんはドライブガイドとは言わへん。たいていは「オススメ絶景スポット」「人気のレストラン」と、あくまでも目的地の観光情報しかなくて、そこに行く道の情報が何も無い。ただ通るべき道順を紹介してるだけや。
でも僕は違うんや。純粋に愛車での運転そのものを楽しみたいから、目的地は二の次で、そこに行くまでの道がいかに気持ちよく走れる道かが重要や。僕にとっては道そのものが観光地なんやー。ご飯も二の次でいい。それよりも少しでも走っていたい。

と。へぇ〜私はそこまでではないけれどもw

とはいえ、「一人でツーリングに行きたい気持ちはよく分かる、ボクスターに乗れるようになって、やっとその意味が分かった」という話を夫にしてみたところ、夫はこんなふうに言ってきた。

そやろ。僕がポルシェに乗る場合は、【ポルシェ”で”ツーリングに行く】んじゃないんや。【ポルシェ”と”ツーリングに行く】という感覚なんや。
ポルシェというクルマに乗って行くんじゃなくて、ポルシェという相棒と一緒に行くという感じかな。いろんなクルマに今まで乗ってきたけど、ポルシェほど、乗っている時に語りかけてくるクルマは無いと思う。ステアリングから伝わる接地感や路面の状況、ノイズ、エンジン音、排気音、ブレーキのフィーリングを通して「もっと行ける」「もう少しゆっくり」「まだまだ」などと語りかけてくれてるように感じる。ポルシェは、クルマとドライバーが対話しながら、チームになって一緒に走るクルマやと思うから、やっぱり一人でツーリングに行く方がええ。

と。なるほど、確かに。ポルシェには魂が宿っているというか、相棒感がすごいと感じる。その理由は一体なぜなんだろう…。

私もいつか、ポルシェ”と”ロングツーリングに行ってみたいものだ。

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