家族でカイエンに乗っているとき、夫とよくこんな話をする。
カイエンに限らずポルシェって、どこまでも運転したくなるよなぁ。高速道路を走っていて、もうすぐ最寄りのICを降りないといけないという時でも、『まだもう少し乗っていたい。このまま高速道路をしばらく走っていようか』といつも思ってしまうよなぁ。
と。
私は夫のように「運転が大好きで、10時間でもどれだけでも運転したい」というタイプではないし、数年前、ペーパードライバーを卒業しかけていた頃は、15分クルマを運転したら「もう疲れたから、運転代わって」と言って、残りは助手席でずっと寝ているような人だった。
以前はそんな感じだった私が「もっともっと運転したい」なんて、よほどのことだなぁと我ながら思う。
そして先日、ブログに、このような内容のコメントを頂いた。
自動車評論家の徳大寺有恒さんの『ダンディトーク』という本に「長距離ドライブを可能にするのは、『快適』ではない。『快楽』なのだ」と書いてありまして、なるほど!と膝を打ちました。
と。
おぉー!!確かに、そのとおりだ!
長距離ドライブには、もちろん「快適性」が大事だと思う。ただ、快適だけであれば「目的地まで疲れずに着く」ことはできても、ポルシェのように「目的地についてもなお、もっともっと走りたくなる」ということにはあまりならないように思う。
高速道路のゆるやかなカーブのハンドリング、加速感、車線変更、思いのままに運転できること・・・など、走りの性能が高く「走る、曲がる、止まる」の全てがドライバーにとって気持ちがよいからこそ、もっともっと走りたくなるのがポルシェだ。
いやはや、車の走りを「快楽」という言葉で的確に表現した徳大寺さんは、やっぱりすごい人だったのだなぁと思った。
とはいえ私は、まだ日本の「名道」と言われる道をあまり走ったことがなく、普段は高速道路や芦有ドライブウェイくらいしか走っていないので、日本全国の良い道をポルシェで走っている夫にいわせると、
僕の好きな東北や岡山の道を走ると、ほんっまに気持ちがええで。納車されて随分経つし、その走りをすでに知っているはずなのに、それでもなお、めちゃくちゃ感動するんや。なんなら、感動して泣きそうになるくらいなんや。
とのことらしい。
先日「EUが、2035年に、ハイブリッド車も含めたガソリン車の新車販売を事実上禁止する案を発表した」というニュースが話題になっていた。以前は、ガソリン車がなくなり、全てが電気自動車になってしまったら、今までのようなカーライフは楽しめなくなるのかなぁ…などと思っていたが、先日ポルシェ初のEVスポーツカーであるタイカンを試乗させてもらって、その心配をする必要は無いと感じた。
タイカンはまさに、快楽のクルマで、どこまででも走りたくなったからだ。
ただ、充電環境がまだ日本では不十分だったことから、夫は、
あまりにしっかりと作られているので、個人的にはタイカンでもっと遠出したくなるわ。航続距離や充電ポイントなど意識せず、関東や東北などにもツーリングに行きたいけど、それが今の環境では少し難しいのが最大のネックやな。
と言っており、すぐの購入は見送ったが「これなら、将来開発されるEVカーの走りも、十分に期待できて楽しめそう」だと感じた。
もちろん、エンジン音や、エンジンフィーリングについては味わえなくなってしまうけれども、これからのポルシェが、長距離を運転したくなる、快楽を感じられるクルマを開発し続けてくれることを期待したいと改めて思う、今日この頃である。