ポルシェ・911

991型前期のポルシェ911 カレラとカレラSを比較|中古車バイヤーズガイド

ポルシェ911(991前期型)カレラS

次に乗ったのはカレラSだ。こちらは5万キロを超える個体だが、PASM、スポーツエグゾースト、スポーツクロノパッケージなどが付いているモデルだ。

こちらはエンジンもとても良く回り、5万キロを超えるとは思えない。やはり、乗り方というのは大事だ。中古車は距離だけでは語れない。エンジンの吹け上がりもスムーズで、タウンスピードでの低速トルクはやはりカレラSの方が上だ。

カレラでも不足があるとは言わないが、カレラの場合はあえてスポーツモードにして、一段下のギアで街中を運転するととても楽しい。一方で、カレラSの場合は、低速トルクが厚いので、そこまでしなくても街中で楽しく運転できるという印象だ。

そして、まず乗った第一印象として、このカレラSはとても乗り心地が良い。低速からしっとりして、かつ接地感が抜群にある。転がり出しから、とても滑らかで気持ちが良いのだ。

このクルマは20インチのカレラクラシックホイール+PZEROが装着されていたが、これにSの標準ブレーキの組み合わせは、少なくとも間違いのない組み合わせの一つだろう。

コーナーでの挙動もとても自然で、鋭敏すぎずマイルド過ぎずだ。リズミカルに運転しやすく、かつ接地感がとても高いので、飛ばしても安心感がある。正直、この個体は個人的に『欲しい』とさえ思ってしまう完成度の高さだった。

唯一、この個体の欠点を挙げるとすれば、スポーツプラスで高回転まで回した時にシフトアップ時のシフトショックだ。PDKにしては、少し大きめのショックで、2.5万キロのカレラでは感じなかった点だ。

低中回転域ではとてもスムーズだったのだが、そこだけが少し残念だった。これは5万キロの走行距離や今までの使われ方による差ではないかと思う。

最後に、シートの違いについてレポートしておこう。いずれも標準のスポーツシートだったが、カレラは4wayのパーシャルレザー、カレラSは14wayのシートで、かつレザー仕上げだ。

比べてみると、やはり値段なりに差は感じる。同じ形状のシートだが、やはりシートの表皮の材質によって見た目も質感も違うし、4wayか14wayかは、座った感じのホールド感や快適性の面で違うことが明確で、最初、スポーツシートプラスだと勘違いしてしまったくらいだった。

ただし、断っておくが、今回は同時期に比べているから分かったようなもので、直接比較しなければ、4wayでもあまり不満は感じないと思う。ちなみに耐久性はパーシャルレザーの方が良いように思う。

991カレラの4wayスポーツシート(パーシャルレザー)

991カレラSの14wayスポーツシート(レザー)

今回、カレラとカレラSを直接比較してみたが、思った以上にエンジンのパワー差というのは感じなかった。もしこれがサーキットやアウトバーンならもっと感じると思うが、一般道だと、せいぜい街乗り時のトルクの厚みくらいだ。なので、エンジンパワーによる差は、そんなに気にしなくても良いと思う。

それよりも、PASMやPCCB、スポーツクロノパッケージなどオプションの有無で選ぶべきと思う。なかなか、ポルシェのオプションについて比較している記事は少なく情報が少ないので難しいと思うが、この記事が少しでも読者の皆さんの中古車選びの参考になれば幸いだ。

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