レビュー・試乗記

弟のアルファードが納車されたので、ポルシェ乗りの兄が乗るとどう感じるか?

先日、夫が弟のアルファードを運転させてもらったそうで、その試乗の感想を記事にしてくれた。私は出産のために実家に帰っていたので乗れなかったが、ぜひ後部座席を体感してみたかったなぁ〜。というわけで、以下、よろしければぜひご覧ください。

なぜ、アルファード?

たまにブログに出てくる私の弟だが、先日のフェラーリ GTC4ルッソTに続き、またクルマを買ったらしい。

今回はなんとトヨタのアルファード。グレードは4WDの3.5L、Executive Loungeだ。「そもそもまた何でアルファードにしたのか?」を聞いたところ、家族で乗るためのSUVを探していて、GLSやディフェンダー、カイエンなども検討したが、コスパが良くてゆったり乗れるアルファードに落ち着いたとのこと。

弟の友人はフェラーリやランボルギーニといったスーパーカーオーナーが多いが、いろいろ悩んだあげく、最終的には家族クルマにアルファードを買う人が最近は多いらしい。やはり、スーパーカーなどのクルマに乗っていると、その対局を求めるようなのだ。

アルファードを試す

納車して数日後、弟が自宅までクルマを見せに来てくれた。幅はそれほど大きいとは思わないが、全高がデカイ。いつも低いクルマばかりに乗ってる私としては、驚くばかりだ。

早速、乗り込み、芦有でテストドライブだ。まぁ、芦有でアルファードのテストをする人もなかなか居ないと思うが、走行性能を知る上では避けては通れない。

まず、走り出して思うのが、とても静かだということ。アルファードの場合は、社外からの音を徹底的に抑え込んでいる感が強い。一方で、エンジン音などは踏むとそれなりに聞こえ、むしろ、トヨタのエンジンらしい圧縮、爆発の乾いた系の音が気持ち良い。

排気音はほとんど聞こえないが、エンジンからのクオーン!という音はなかなか勇ましい。

弟になぜ、3.5Lにしたのか?と聞くと、「知り合いの2.5Lや2.5Lのハイブリッドは乗ったことがあるが、坂道などではエンジンがしんどそうで、かつ乗り心地の面で3.5Lの方が断然良かったし、運転するのは自分なので、エンジンフィーリングとパワー感の良い3.5Lにした」とのこと。

私は2.5L系は乗ったことないので、何とも言えないが、確かにこの3.5Lのエンジンのフィーリングは悪くないし、普通に走る分には全く問題ない。

一方で、気になったのは、ATの制御だ。少し急な坂道で、明らかにエンジンはしんどそうになっても、どうにかして、2000〜3000回転の間に回転を留めようとする感が強く、カッタるさを感じる。

もちろん、もう少し踏み足せばギアは落ちるのだが、それなら最初から早めにギアを落として、もう少し高い回転域を使ってほしい。

エンジンスペックを見ると、最大トルクは361Nm(36.8kgf・m)/4,600〜4,700rpmと、最近のエンジンにしては珍しく高回転域での発生だ。それならば、余計にもう少し高い回転域を使うべきであろうと思う。

ハンドリングを語るクルマでは無いことは重々承知の上で、感想を述べると、ステエアリングのロックトゥロックも大きいこともあり、全て一拍遅れてクルマが動くような印象だ。

もちろん、このクルマはこれで良い。

その方が乗員に対しても優しいし、ドライバーはとてもリラックスして走ることができる。一切、ドライバーを急かすようなことを、クルマから求めないハンドリングだ。

当然ながら特性としてはアンダー傾向。芦有のカーブを曲がろうとすると、手前で十分にブレーキを踏み、カーブの途中でじわっとステアリングを切り増すような運転スタイルにどうしてもなる。なので、飛ばそうにも飛ばせないので、自然と横Gの少ない滑らかな運転となり、乗員に配慮した優しい運転となるのだ。

乗り心地はというと、これは特筆モノだと思う。特に60〜70km/hくらいまでの低速域は素晴らしい。感覚的には、クルマが何か大きなバルーンの中にいるような乗り心地とでも言おうか、柔らかいサスと柔らかいタイヤがしっとりと路面を捉え、車重の重みを上手く活かして、しっとりと走ってくれる。

以前、乗っていたS63クーペの乗り味も良かったが、街中では正直、アルファードの方が上手に感じる。欧州高級車のタイヤの真円度を感じ取れるかのようなスーッと進む滑らかさ、フラットさとはまた違う。何とも表現しにくいが、路面とクルマの間に上質なゴムか、空気の層があるかのような感覚だ。

特に感動したのは、スピードの出しすぎを防ぐための凹凸のある減速帯を通過する際だ。音と振動の抑え方が半端ない。いつも走っている減速帯なので、余計にその差が分かる。今まで私が体験した中では、1、2位を争う静けさと振動の少なさだと思う。

さすがは国産車、さすがはトヨタ。これは世界に誇っていい。

しかし、そんな乗り心地もアクセルを踏み、少し機敏な動きをしようとすると一気に表情が変わる。左右のロールというか、揺れが大きく、ボディの緩さみたいなのを感じてくるのは正直なところだ。弟に、その点を指摘すると「それは自分も思うから、TRDの強化パーツをフルセットで入れるつもりだ」とのこと。

弟はこのアルファードで何を目指そうとしているのだろうか(笑)

さらに感心する点としては、前後方向のピッチはとても少なく感じる。これはこのグレードが4駆であり、走行中に前後のトルク配分を細かく制御しているお陰もあるかもしれないが、とにかく前後方向の揺れは少ない。多くのSUVやミニバンなどは、荷物を乗せることを前提としているため、後ろの足周りは固めにできており、どうしてもリアが落ち着かず、跳ねるような挙動を示すクルマが多い中、このアルファードはとても落ち着いた挙動だった。

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