以前から夫が、「ベースグレードの718ケイマンが気になっている」とブログやtwitterで書いていたことを受けて、ブログ読者の方から「よければ、僕の718ケイマンに試乗されますせんか？」とご連絡頂いた。
オーナーさんのケイマンは、ベースグレードに「PASM」「スポーツクロノパッケージ」「スポーツエグゾースト」「20インチホイール」といったオプションがついた仕様だった。夫は、
めっちゃええやん！！！素で走り系のオプションの三種の神器がちゃんとついているなんてすごい珍しいと思う！ぜひ乗せてもらいたい！
と言っており、先日、芦有ドライブウェイにて乗せてもらうことになった。
718ケイマンを試乗した記事は、これまでに何度か書いてきたことと、今回の試乗についても夫が追ってレビューを書いてくれるので、私は助手席に乗ることも多い奥さん目線で「PASM（ポルシェ・アクティブ・サスペンション・マネジメント）」は必要なのか、というところを書いてみたい。
PASMは電子制御ダンパーシステムで、走行安定性、快適性、パフォーマンスを高めるオプションだ。PASMをつけると ”ノーマル” と ”スポーツ” の2種類のダンピングモードを切り替えることができ、ノーマルモードはパフォーマンスと快適性を重視したセッティング、スポーツモードを選択すると固めのセッティングになる。
つまり、通常時は乗り心地がよくなり快適性が増し、スポーツモードにすると足回りがぐっと固くなりよりスポーティな走行が可能になる。
結論から言うと、「乗り心地、快適性」という面において「PASM」は絶対に必要なオプションだと思った。「クルマには自分一人で乗る、助手席にはほぼ誰も乗らない。かための乗り心地が好き」という方であれば、つけなくても良いかもしれないけれど、助手席に奥様や彼女が乗ることを考えるなら、絶対に必要なオプションだ。
PASMのあるなしで、こんなに乗り心地の良さに違いが出るとは、驚いた。
以前ディーラーで、PASM無しの素のケイマンを代車で借りたことがあった。最初は夫が運転し、私は助手席に乗らせてもらったが、第一印象は「乗り心地があんまり良くないなぁ…」だった。私が、
すごくコツコツして、路面の凹凸のたびにそれが伝わってくるわ。これは助手席に乗って長距離ドライブはちょっと無理かな…疲れそう…。
と言うと、夫は「え、そう？かたいけど、そんなに悪くないやん！運転もしやすいし！」と言っていたが、走る楽しさを味わえる運転席と、何もすることが無い助手席とでは、感じ方も結構違うのだなぁとその時思った。
ある程度の速度を出せば乗り心地はなめらかになるので、ずっと高速道路で移動するならいいかもしれないけれど、信号が多い国道や、渋滞にはまってとろとろ運転が多い状況だと、ちょっと辛いと思う。
そのケイマンも、途中で運転をかわらせてもらい、「たしかに助手席ほどは路面の凹凸によるコツコツ感は和らいでいる」と感じたが、「わが家の981ボクスターの方がしなやかでいいなぁ」という印象だった。
そして今回、718ケイマンのPASMありのモデルに乗らせて頂いたわけだが、最初は夫が試乗して、私は981ボクスターGTS（MT）でその後ろをついて行くことになった。
改めて後ろから見ると、718ケイマンのデザインはカッコよく、またジェットブラックのボディカラーにブレーキランプが映えて、とてもかっこよかった。
そして何より、718は速い（私が遅いのか…）。
クルマから降りてきた夫に「718ってやっぱりめっちゃ速いなー加速が違うわ！」と言うと夫は、
全然怖さがなくアクセルを踏めるし、走っているときの安心感がすごかったわ
と話していたので、乗ってからもそのことを意識して走ったのだが、試乗を終えた後に夫から「PASM、どうやった？」と聞かれ、ハッとした。
夫にそう聞かれるまで、私は今回のケイマンの乗り心地のことを全く意識していなかったからだ。
ポルシェは全体的に足回りが結構固めなので、乗った瞬間に「あ、かたいな」「ちょっとコツコツするな」と、乗り心地に関する情報が最初に伝わってくることが多いが、今回は全くそこに意識がいかないほど、乗り心地が良かった。
芦有ドライブウェイを走ったので、信号や渋滞は無いとはいえ、先日は雨で路面が濡れておりゆっくり走る場面もたくさんあった。それでも、乗り心地については全く気にならなかった。
718の足回りのしっかり感や接地感はそのままに、路面の凹凸を拾うコツコツした感じが抑えられ、快適性がぐんと増していた。「20インチホイールだと、タイヤが薄くなる分乗り心地が悪くなるのかな？」と想像していたが、全くそんなことはなく、むしろマイルド感のある良い好印象な乗り心地になっていた。
これなら、どこへでも走れるし、長距離も全く問題ない。
途中、加速したり少し速く走ったりしてみたが、回転数が気持ちよくあがってくれて、夫がよく言う「素のパワー感がちょうどいい、回せる楽しさがある」という感覚がよく分かった。
また芦有のコーナーは結構キツイところが多いが、スポーツモードに切り替えるなどして走ると、ある程度の速さを保ったまま安心して気持ちよく曲がることができた。718はもともと、ハンドリングや足回りの性能が981より格段に進化しているが、この安心感はPASMによる効果もあるのかなもしれないなぁ。
もし夫が、今後ポルシェを買うなら「絶対に、PASMだけはつけてほしい」とお願いすると確信できた試乗体験だった。
今回、例のごとく私の雨女ぶりが遺憾なく発揮され、オーナーさんはわざわざ山口から来てくださったにも関わらず本当に申し訳なかった。ただ、試乗を終えたあたりから急に晴れだしたので（ほんまに雨女過ぎる…）帰路はドライブを楽しんでもらえたのかな。
貴重なクルマに乗せてくださったオーナーさん、本当に有難うございました！
