ポルシェ・ボクスター

2ヶ月ぶりに、ボクスター(981、MT)を運転してみて感じたこと

久しぶりに、ボクスターに乗って

夫が最近、

子どもらは見といてあげるから、クルマ乗ってき。気分転換にもなるやろ。

と、まるで神様仏様のようなことをよく言ってくれる。

もちろん、夫自身も休日は一人でクルマに乗りに行くことが多いが、帰宅すると、私が何も言い出さないのに「クルマに乗ってきたら?」と言ってくれるようになった。本当に有難いことである。

というわけで先日、久しぶりにボクスターGTS(981、MT)を運転させてもらった。産前産後で実家に帰っていたため、その期間はクルマには乗っておらず、数えてみると2ヶ月がたっていた。

2ヶ月ぶりのボクスターということは、つまりは2ヶ月ぶりのMT車運転というわけで「本当に運転できるだろうか。せっかくMT車を運転できるようになったのに、乗っていない間に操作を忘れてエンスト連発なんてことにはならないだろうか…」といささか不安を抱えつつ…

夫に「ほんまに大丈夫やろか…」と聞いてみたところ、

自転車に乗るのと一緒で、一度運転できるようになったら、しばらく乗っていなくても体が覚えてるから運転できると思うで。もし乗れへんようになってたら、また自分で320i買い戻して練習したらええんや(笑)

と笑いながら言っていた。

いやいや、それはいくらなんでも…(爆)

ボクスターと992

久しぶりにボクスターに乗ると、懐かしいボクスターの香りがした。不思議なもので、GT3に乗るとGT3の香りがするし、空冷911(964)乗るとさらに「わー空冷だなぁ!」という香りがする。

この香りの正体が、シートからくるものなのか何なのかはっきりとは分からないが以前空冷ポルシェの香りに関して記事に書いたところ皆さんからたくさんコメントを頂いた、どの香りもどこか懐かしく、ホッとする匂いなので好きだ。

運転席に座ってステアリングを握り、シート位置を入念に調整した後、エンジンをかけてみた。

ブォォン!!

このエンジン始動音、好きだなぁ。まるでクルマが眠りから覚めたかのような、「よっしゃ、今から走るで!」と言わんばかりの快音だ。その後、頭で考えずに、体の感覚のままに操作をしてみたところ、いたって普通に運転ができた。

やはり一度覚えたことは、体がちゃんと覚えているものだ。そんなに心配する必要はなかったのだな。

ただこうなってくると、古い時代のMTポルシェや、他のメーカーでももっとクラッチが重めで難しいMT車を運転してみたくなるなぁと思った。(我ながらすぐに調子に乗る性格である)

久しぶりにボクスターに乗って感じたことは、今までに感じたものと少し変わっていた。実は前日に、納車されたばかりの911カブリオレ(992型)に乗らせてもらっていたのだが、その911カブリオレの感覚が強烈に印象に残っていたのだ。

以前は「981ボクスターGTSはとても接地感がある。足回りはしなやかだけどしっかりと固い」と思っていたが、911カブリオレ(992型)に乗った後に981ボクスターに乗ると、接地感がやや薄く感じられた。

992は、タイヤが地面をぐっと掴んでいる感覚が強く、とにかくがっしりしていた。それでいてしなやかなので「ガッチリしなやか」な印象だが(良い表現が思いつかない)、ボクスターの乗り心地は992に比べると、とてもやわらかく感じられたのだ。

ハンドリングに関しても、ボクスターのハンドリングは決して悪くはないし、思ったままに曲がってくれてとても気持ちが良い。だが、992のハンドリングはさらにさらに上を行く正確さで、きついカーブでもビタッと安定し全くずれがないので、それと比べると、ボクスターは少し膨らむような印象を受けた。

まぁ…私の運転スキルの問題がかなり大きいのだが…。

とはいえ、なだらかなカーブが続く道でリズムよくハンドル操作出来たときは、まるでスキーで滑っているかような気持ちよさを味わえるし、運転が楽しいことには違いないので「あぁ…ボクスターで、日本中の色々な道を走れると最高だろうなぁ」とつくづく思った。(まだ芦有とサンダブルクリンクしか走ったことがない)

しばらくした後、オープンにして芦有ドライブウェイを走ってみたが、やはりこの981の音は超絶に気持ちがいい。昔のポルシェに比べると、機械音っぽさが薄く、演出がかなりされている音なのだと思うけれども、個人的にはめちゃくちゃ大好きだ。

五感を刺激され、アドレナリンがどんどん出る。この快音を奏でるオープンカーMTで自分で操れるなんて、もうどう表現すればよいのか言葉が見つからないほど楽しい。

とにかく、楽しい。

もちろん、PDKのほうが絶対スムーズだし、うまく運転できると思う。私のMTの腕はまだまだ下手だし、PDKに比べると燃費も悪いと思う。それでも、それでも、楽しい。

しばらく気持ちよく運転していたが、私が外出するとたいていメールを連続で送ってくる長女から、

「今赤ちゃん起きたよ」「抱っこしてるけど泣いてるよ」「お腹すいてるみたいだよ」「ママはやくかえってきてー」

などとメールが来始めたので、早々に帰路につくこととなった。

とはいえ、数十分の近場ドライブですら、こうして楽しくて気分転換できて、やっぱりスポーツカーっていいなぁと改めて思った。

クルマというものは、クルマそのものが走りを重ねるごとに変化するし、ドライバーも他のクルマを経験した上で同じクルマに乗るとまた感じ方が違ってきたりする。クルマはいち工業製品なんだけれども、まるで生き物のように変化するから、すごく不思議で奥深い。

そして産後1ヶ月でMT車をオープンで走らせてるなんて、普通に考えたら変わったお母さんだと思うけれど、こうした時間があるからこそ、家族との時間も楽しめるし、家族に感謝できる。

自分にとって大切なことが増えた今、そのバランスを意識しながら、これからも自分たちなりのカーライフを楽しんでいけるといいなぁと思った。

Share
Published by