ポルシェ 911 GT3の楽しさがやっと分かってきたぞ!

久しぶりの911 GT3

先日、久しぶりにポルシェ911 GT3を運転した。昨年末からしばらくつわりで乗れず、体調が回復してからも乗っていないので、運転するのはおそらく半年ぶりくらいではないかなぁ。

以前の私は、GT3というだけで怖気づいてしまって、まともに運転することができなかった。そのパワー感、その正確無比なハンドリング、そして低速での繊細なクラッチ操作など…様々な部分で、通常モデルのポルシェとは全く違うので、乗りこなせる気がせず、ただただ圧倒されたままで終わってしまっていたのだ。

ただ、あれから時がたち、981ボクスターGTS(MT)は普通に運転できるようになったし、日々BMW320i(MT)を運転しているから、「以前に比べるとマニュアル運転の腕が磨かれたと信じたい」ということで、子どもたちを夫に見てもらい、久しぶりに一人でGT3を運転してみることにした。

981ボクスターGTSに比べると、911後期GT3のクラッチは軽い。だから操作しやすいかと思いきや、発進や特に坂道発進は、ボクスターよりもかなり気をつかう。夫いわく

やっぱりGT3はレーシングエンジンやから、極低速トルクが無いんやろうな。だから、発進し難いとまでは言わへんけど、ボクスターと比べると低速時には繊細なアクセルとクラッチ操作が求められるように思うわ。

とのことだが、まさにそのとおりだ。

ボクスターであれば、発進時、クラッチをあててから「繋がった」感覚までが早いが、同じ感覚でGT3で発進するとエンストしそうになる。半クラの状態から、もう一呼吸、繊細に扱ってあげないといけないイメージかな。

だから、街乗りは少し気を遣うと思い、以前は緊張していたけれど、感覚さえつかめれば、全然怖がることはないのだなと、今回思った。実際今回は一度もエンストしなかった。(ってそんなこと自慢にならないけれどもw)

GT3のシフトアップ

この日はせっかくなので、GT3で芦有ドライブウェイに行ってみることにした。新型コロナウィルスの影響でお花見には行けないので、せめて車内から桜を楽しめたらなと。また以前夫に教えてもらった、991後期GT3の正しいマニュアル操作の方法にならって、

PDKのクルマを運転するのと同じように、アクセルを軽く踏み続けた状態で操作すると、バシュン!と、まるでPDKのようにシフトアップしてくれる。

感覚を体に染み込ませるべく、練習も兼ねて芦有を走ることにした。

マニュアル車の運転って慣れなんだなぁとつくづく思う。以前はあんなに怖気づいていたGT3なのに、この日は普通の精神状態で運転ができた。芦有ドライブウェイの芦屋料金所までは、細くてきついカーブが続くが、GT3のハンドリングはなぜここまでに正確なのだろう。

まだまだ曲がる、ぐいぐい曲がる。

もちろん、ボクスターも、パナメーラも、ケイマンも、先日乗せてもらった911GTSも、よく曲がるし毎回感激するにも関わらず、GT3はその比ではないほど正確で、全く膨らむことなく、ぐいぐい切り込んでいく。夫は「GT3から、まだまだいけるぞと言われているようや」とよく言うが、まさにそんな感覚で、カーブを曲がる度に、

俺の実力はこんなもんじゃないで、まだまだいけるで!(なぜに関西弁)

と語りかけられているような、クルマとの不思議な一体感に包まれる。また、以前ポルシェのドライビングスクールで教えてもらった、

カーブやコーナーを曲がるときは、フットレストに置いた左足を踏ん張って、背中にシートを押し付け、腕からステアリングを押す感覚で曲がる

ということを意識してみると、さらにビタッと気持ちよく曲がることができた。

私は普段はカーブを曲がるのが得意ではなく、「あぁ…今回も膨らんだなぁ…」と反省することが多いが、こんな私ですら「このままずっと永遠にカーブが続けばいいのに!」と思うほどに、気持ちが良かった。

芦屋料金所を超えると、ある程度ゆるやかな直線やカーブが増えるので、そこでGT3の電光石火のようなシフトアップを試してみた。アクセルを普通に踏み続けながら(シフトアップのときにアクセルを抜かない)、ややクラッチ操作を素早くすることを意識すると、バシュン!!!という音とともに、まるでPDKのパドル操作のようなシフトアップが…

すっげぇー!!!!

思わず顔がにやけてしまう。窓をあけ、エンジン音を肌で感じつつ、何度かやってみたが、その度に、バシュン!!!バシュン!!!と…まるで、PCCJのレースで聞いたようなシフトアップ音が聴こえてくる。

こうなるともう、しばらくにやにやが止まらなかった。多分対向車からは「なにあの人、めっちゃにやけてるやん…」と気持ち悪がられただろうけども、でも、面白くて、楽しくて、感激した。

981ボクスターとの違いなど

私は、981ボクスターGTSも大好きで、よくこの芦有を走るが、ボクスターとGT3は、全く異なる楽しさを備えたクルマであることを実感した。

ボクスターはオープンカーで、また981はNAエンジンのエグゾースト音が素晴らしいので、風や音や景色も含めて、五感で走る楽しさを味わえるクルマだと思う。カーブでのハンドリングも正確で、リズミカルに気持ちよく走ることができて、走りながらなんとも幸せな気持ちにさせてもらえる。

一方のGT3は、やはりレーシングカーだけあって、運転そのものを追求し、そこに楽しさを見出すクルマに感じる。性能の高さは怖いくらいで、ポルシェのエンジニアの方々の本気度が伝わってくるというか…だからそこに自分自身も真剣に向き合い、腕を磨き高めてこそ、GT3を運転する本当の醍醐味を味わえるんだろうなと…。

今回、私は初めてGT3で走る楽しさを感じられたけれども、これはまだまだ序の口で、ここから先を追求していくうちに、もっと面白い世界が待っているのだろうなぁと思う。

さて、この日は平日だったので、クルマは少なかったが、前にクルマが見えた時は、基本的にはスピードを落として、結構車間距離をあけて走った。私自身、煽られるのが怖いので、できるだけ先行車にそんな思いをしてもらいたくないな…と思うからだ。

ただGT3の場合は、遠くからでもこのフロントのいかつさ、ただならぬ雰囲気が伝わるのか、すべてのクルマが途中でハザードを出して道を譲ってくれた。「なんだか気を遣わせてしまって申し訳ない、有難う」という気持ちで、サンキューハザードとともに走り抜ける。

しばらく走り、いつもの休憩所で写真を撮った後は、早々に帰ることにした。私は一応妊婦だし、こんなご時世なので、まっすぐ帰ろうと…。ただ帰り道、東六甲展望台を横目で見てみると、この日は空気が澄んでいて遠くまで晴れ渡り、すごく綺麗な景色でクルマも少なかったので、少しだけ立ち寄ってみることにした。


(あべのハルカスもくっきり見えた)

そしてクルマを止めると、若者2人がそそくさと近寄ってきて、

「GT3っすか!めっちゃかっこいいですね!しかも、左ハンドルMTっすか!納車されたばっかですか!?この色めっちゃかっこいいっすね!」

などと話しかけてきてくれた。言葉遣いがめっちゃ若い…微笑ましい…w

二言三言お話したが、やはりクルマ好きの若者の中では911GT3は憧れのクルマなのだと感じた。そんなクルマに乗らせてもらえるなんて、本当に有難いことだ。夫にもっと感謝しないとな。

長居はできないので、若者に別れを告げて、帰路につく。

下りの坂道は、すらないように、フロントをリフトアップして、慎重に慎重に。住宅街が近づくに連れ、交通量が増え、信号も多くなり、GT3を運転するには少し気を使う場面が増える。

このままGT3で高速道路に乗って、東北や甲信越の道とか走れたら、気持ちがいいのだろうなぁ…しばらくは無理だけれども、状況が落ち着いたらぜひ実現したいなぁ…

と思いながら帰宅。家に帰るなり夫に興奮気味で、「やばい!GT3すごい!初めて楽しいと思えたわ!!!やっぱりGT3は何から何まで別格なんやな。いやはや、あれだけの値段するだけのことはある…!」などと話すと夫は、

せやろ(笑)やっと分かったか!これはMTやから乗りこなすにはちょっとハードルがあるけど、GT3が心を開いてくれた時の感動はすごいやろ!
PDKならもう少し簡単に乗れると思うけど、MTしか設定の無いGT3ツーリングは「タイムを削るのではなく、本当にドライビングの楽しさのみを追求するマニアックなポルシェ」やからなぁ。クルマを扱いこなした時の喜びが、より一層あるんやと思うわ。
あとな、このGT3の凄さがわかってから、僕はハイパワーのクルマや上位グレードにあんまり興味がなくなった。総合的な速さを求めるならこれがあれば十分で、このクルマがあればもうエエわって思うようになったわ。

と言っていた。

ポルシェはモデルごとに異なる魅力があって、どれに乗っても違った感激があって、本当に奥が深い。私が自分でポルシェを買うなら、911Tとかも乗ってみたいなぁ…でもきっとMTは無いんだろうなぁ…などと妄想をふくらませる今日このごろである。

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