レビュー・試乗記

ポルシェ パナメーラ4 E-ハイブリッドの夫の評価やいかに?カイエンと比べてどう違う?

パナメーラ、スポーツモードも体感

パナメーラ4 E-ハイブリッドに搭載されているエンジンは、GTSやターボのV8エンジンではなく、4Sなどと同じ2.9LのV6エンジンだ。そのためだと思うが、鼻先は軽快でスッと向きが変わる。

かつ、トランク下部に重いバッテリーがあるため、ややRR的な動きになるのだろうか。

もともとポルシェはリアが重いクルマの制御は911で培った秘伝のタレがあるはず。おそらく、そのノウハウをふんだんに駆使して、このハイブリッドモデルのチューニングを煮詰めているのだと思う。

冗談抜きで感服するレベルの仕上がりだ。

途中から「SPORT」モードにスイッチを切り替える。V6エンジンはスッと目をさまし、モーターの回転に同調するかのように、一瞬で回転数を合わせ、トルク変動によるショックを抑え、スムーズに動力が繋がる。

ここはカイエンのティプトロニックも凄いが、パナメーラのPDKも素晴らしい制御だ。このPDKの制御プログラミングを担当したエンジニアは相当優秀なのだと思う。ティプトロニックとほぼ遜色ない。

少なくとも普通に運転する分には、モーターとエンジンの切り替わりは分からない。意識してギクシャクした運転をすれば、さすがにティプトロニックより少し感じると思うが、素晴らしい滑らかさだ。

モーターがアシストする状態になったV6エンジンは、とてもパワフルだ。パドルシフトで変速をマニュアルで制御してもPDKならではの変速の速さは健在。ここはカイエンのティプトロニックもかなり速い方だが、さすがPDKなだけのことはある。

エンジン回転を高めていくと、モーターのブーストがかかり、かなりトルク感が増す。パナメーラターボの暴力的なまでの加速感とまではいかないが、体感的には4SやGTSと遜色ないレベルに感じる。

そして、エンジン音も素晴らしい。この個体はスポーツエグゾーストはついておらず、ノーマルのマフラーだが、この2.9LのV6エンジンの音色はとても気持ちがいい。高回転になればなるほど、音量も高まり、ノーマルエグゾーストでも十分に聴かせてくれる。

ちなみに、カイエン E-ハイブリッドに積まれている3.0LのV6とは排気量こそ似ているが全くの別エンジンだ。2.9LのV6と3.0のV6を比べると、2.9Lの方が、音やフィーリングはスポーティーに感じる。3.0も十分にいいエンジンだが、こちらはもう少しトルク重視というか、実用的な使いやすさに軸を置いているように思う。

コーナー手前でブレーキを踏み、減速する。ポルシェの名に恥じないしっかりとした減速力はここでも健在だ。ハイブリッドモデルの場合、減速の多くは回生ブレーキを使い、最後は物理的なブレーキ装置でクルマを止めるという仕組みになっているが、カイエンとパナメーラで少しフィーリングが違うように思う。

というのは、カイエンの方が回生ブレーキの効きは強い。より多くの電気を回収しようとするチューニングなのだろう。そのためカイエンのブレーキはPCCBとまでは言わないが、かなり強い。それに対してパナメーラの方は、そこまでの回生の強さは無い。

普通のポルシェと同じようなブレーキの効きだと思ってもらえれば良いだろう。

オーナーさんによると「パナメーラは回生よりも、速度を落とさないことによる燃費向上のチューニングらしい」と仰っていた。

しかし、本当にスポーティーなセダンである。もともとパナメーラはワインディングに持ち込めば、もっと小さなクルマに乗っているような感覚になるが、このハイブリッドモデルはそれがより強い。

992型の911みたいな軽快感を感じ、街乗りでもどこでも気軽に運転できるようなトルク特性とハンドリング特性だ。

おそらくは、モーターによる瞬時に立ち上がる最大トルクのおかげだろう。エンジンではなし得ない世界観とフィーリングを味あわせてくれる。

今回、試乗させていただいてとても気に入った。妻もこのクルマについては大絶賛していて、もし、カイエン購入時にこれに乗っていれば、正直、迷ったと思う。5人乗りを意識しなくてよければパナメーラにしていたかもしれない。そのくらいよく出来たクルマだと思う。

もしパナメーラを購入しようとする人がいれば、E-ハイブリッドモデルはオススメだ。なぜなら、安くて、速くて、楽しいの三拍子揃っている。私がもう一度、パナメーラを購入することがあるなら絶対にE-ハイブリッドモデルを第一に検討する。

そのくらい素晴らしいクルマだと断言しよう。

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