ポルシェにまつわる豆知識

空冷ポルシェ911(964)のホイールの正しい取り付け方:ポルシェは走りへのこだわりが凄い!

今回はわが家の空冷ポルシェ911(964型)のホイールの正しい取り付け方という、何ともマニアックな記事になる。
長年、空冷ポルシェをお持ちの方からすれば「なんだそんな事か」と思われるかもしれないが、ポルシェという会社の『走り』へのこだわりが感じ取れる内容でもあるので、ご紹介したい。

ポルシェのホイールの純正ナットと盗難防止ナット

964などに使われるポルシェの純正ナット(パーツNO:99918200336)は、アルミ製でとても軽い。
なんとその重さは約18gという驚異的な軽さだ。実際に手に持ってみると、その無骨な金属のナットからは想像できないくらい軽く、強化プラスチックか何かでできているのか?と思うほど軽い。

わずか約18gほどの軽さ

一方、ナットにはもう一種類あり、純正の盗難防止(ロックアップ)ナット(パーツNO:92836104703)というものがある。
こちらは専用の鍵が無いと、ボルトを回すことができない構造になっており、ボルト本体と鍵穴のあるカバーとキャップの3つの部品で成り立っている。そして、これらも大きさの割には軽く、約49gほどしかない。

964は5穴ホイールなので、通常のナット4本と、盗難防止ナット1本の計5本を使うわけだが、1本だけ盗難防止ボルトがあると、見た目的にはあまり良くない。
そこで、盗難防止ボルトは使わない方向で、通常のボルトを4本買って交換してみようとしたのだが、いくら軽量のボルトで、かつタイヤの内側にあるものとはいえ、31gの差はホイールバランスに影響するのではないか?と思ったので今回、その辺りのことを調べてみることにした。

このように盗難防止ボルトは大きいので飛び出ており、やや目立つ。

ポルシェは重量の重い盗難防止ボルトを使う位置を指定している

964の取扱説明書を読むと、以下のようなことが書いてある。

ホイールを取り付ける際はペイントで識別されたホイール・ボルトがバルブのもっとも遠い位置にあることを確認してください。ロックアップ・ホイールナットを必ずペイントで識別されたホイール・ボルト上に取り付けてください。

『ペイントで識別されたホイール・ボルト』って何?となったので、実際に見てみると、私の964の場合、蛍光色で塗られたボルトがある。このボルトの位置から最も遠いところに空気バルブが位置するようにして、かつ、盗難防止ボルトはそのペイントされたボルトに取り付けてくださいと書かれてある。

つまりは、以下の図のようなことになるのだ。

一箇所だけ、ペイントされたボルトがある

ポルシェはこのボルトの違いによるホイールバランスの影響を最小限にするため、ここまで厳密に指定しているのだ。

空冷ポルシェでホイールバランスが気になる方は確認要

わが家の964はもともと正しく取り付けられており、ホイール単体でのバランスもしっかりととってもらっているので、特に問題はないが、もしホイールバランスの狂いが気になる方は、この指定通りの取り付け位置になっているかを確認してみるのも良いと思う。

ポルシェディーラーや専門ショップでタイヤの脱着をしているなら、まず無問題だと思うが、そうではなく一般のタイヤ屋さんなどであれば、この通りになっていない可能性も考えられる。

ちなみに、私は盗難防止ボルトをやめて全て通常のボルトで試したり、その反対で試したりしてみたのだが、その感想は以下の通りだ。

  • フロントは盗難防止ボルトではなく、通常ボルトオンリーの方がスムーズな印象
  • リアは盗難防止ボルトを使った方がスムーズな印象

だった。とはいえ、私のホイールはかなり厳密にホイールバランスを取ってもらっていることもあり、顕著な差を感じることはではなかったが、微妙に転がり感のスムーズさなどが変わるのは興味深いところだった。

これを機に一度、愛車のホイール位置を再確認してみてはいかがだろうか?