ツーリング記

ポルシェ911(992)で行く四国・九州ツーリング①

今回の相棒は992

今年のGWは10連休ということもあり、久しぶりにロングツーリングに出かけることにした。

直前まで一緒に行く相棒を決めかねていて、981か、それとも991、いや964か?と思っていたが、今回は992を連れ出すことにした。その理由としては、992で長距離やサーキットは走ったことはあるが、本格的なツーリングらしいツーリングは行ったことがなかったからだ。

しかし、正直、葛藤はあった。992だとターボエンジンなので、どうしてもスピードが出すぎてエンジンを回せない点、シャシーが優秀過ぎて速すぎる点、音が981や991のNAエンジンほどの官能性が少ない点から、途中で981で来ればよかった…と後悔するのではないかと危惧していたのだ。

今回は6泊7日の旅になる。その旅を一緒に過ごす中で、992への印象がどう変わったかも含めて、しばらくこのツーリング記にお付き合い願えたらと思う。

まずは四国を目指す

初日、撮影機材と荷物をまとめ、911のトランクに放り込む。

出発日の関西はあいにくの大雨だ。しかし天気予報を見ると、西の方や四国方面は晴れている。雨から逃げるように911は淡路島を目指した。

最近はあまり乗っていなかったことに加え、車内の異音修理でしばらくディーラーに預けたりしていたので、992を運転するのは久しぶりだ。相変わらず、運転がしやすい911である。ベースのカレラ特有のターボ車とは思えないくらい早いトルクの立ち上がりが、ドライバーの意思とうまくシンクロする。だから運転していて気持ちがいい。

ハイスピードで流れる神戸淡路鳴門自動車道を南下。あっという間に淡路島を通過し、四国へと上陸する。

交通量の多い徳島市内を何とか抜け、R55を南下。バイパスである日和佐道路へ全てのクルマが流れるのを見て、ほくそ笑みながら、911を旧道へと走らせる。ここは何度もブログで紹介しているが、絶対に旧道を走るべきポイントである。完全貸切の極上ルートが待っているからだ。

911のトップを開け放ち、スポーツモードをON。ジェントルなバブリング音を残し、911は誰もいない旧道のR55を駆け抜ける。

南阿波サンライン

R55を南下しつつ、途中から南阿波サンラインへと向かう。

ここもよく行くお気に入りの道だが、海岸沿いの海へ飛び込むかのようなカーブが連続するワインディングだ。たまに台風の後などに来ると、砂利や木の枝が散乱して走りにくいが、今回はとても路面状態が良い。

第一駐車場で休憩してから、ワインディングを楽しませてもらう。

ボクスターなら2速でガンガン回して走る道だが、992だと3速で良い。2速で高回転を使うこともできるが、ターボエンジンの宿命で高回転ではトルクが落ち込むので、あまり気持ちよくはない。いわば、自転車を立ち漕ぎしてスピードが乗ってきたような状態で、空回り感があるからだ。

余裕のトルクで、コーナー出口からグイグイ加速する。しかもシャシーの安定感は抜群で、991のカレラ4GTSより体感的には凄い。タイトコーナーへの侵入も、ステアリングの切り込み量とクルマの動きが見事に比例する。本当に気持ちが良いフロントの入り方だ。これぞ992の大きな特徴の一つと言って良いだろう。

ワインディングでひとしきり汗を書いた後は、海沿いのR55をゆったりとクルージング。こういう時も992のトルクの厚みは頼もしい。7速、1000rpmからでも十分に期待通りの加速をし、ボクスターとはまた違う『トルクで走る』という楽しさを味あわせてくれる。

室戸スカイラインから南国市へ

室戸岬は何度も寄っているのでパスして、室戸岬のある山の中を走る室戸スカイラインへ向かう。

急勾配の坂を駆け上がると、山の峰に沿って道は続く。途中の展望台から見渡す太平洋は絶景である。出発時の雨は嘘のように上がり、素晴らしい景色を見せてくれている。

室戸スカイラインを駆け抜けて、R55へと戻り、今日の宿がある南国市を目指す。ここからはあまり楽しい道はない。交通量も増えてくるので、ACC(アダプティブ・クルーズコントロール)を多用しながら、単なる移動時間と割り切って進む。

911にACCなんて要らないと以前は思っていたが、実際、使ってみると『911のようなスポーツカーにこそACCは必要』と思う。その理由は、交通量の多い道や渋滞路、対面通行の高速道路のような道は911のようなスポーツカーにとっては全く意味をなさない。むしろ苦痛である。そんな場面でACCがあれば、ストレスを最小限にして次の目的地であるワインディングや快走路に行けるからだ。911を自ら操作して走らせるのはワインディングや快走路だけで良い。それ意外の道はACCでの半自動運転で十分なのだ。

この日は早めにホテルに到着して、トナラーが来そうにない隅の方に911を駐車し、チェックイン。
近所のラーメン屋で夕食を食べ、明日からのルート計画を練りながら、初日のツーリングを終えた。

今回のルートマップ

(各日程ごとのルートを全て記載しています)

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