年末にボクスターGTSでツーリングに行った夫が、しみじみとこんなことを言っていた。
GTSというモデルは、「グランドツーリングスポーツ」というだけあって、やっぱりツーリングには向いてるなぁ。GT3よりも最適やわ。
と。
その理由を聞いてみたところ、
良い道で走りを楽しめるのはもちろんやけど、そこに行くまでの一般道を低速で走っているときでも乗り心地が良いから疲れへん。特に今回は、県をまたいでの移動で高速道路を使えず下道を走ることも多かったから、余計にそう思ったわ。
と。なるほど…。
「でも、前に乗らせてもらった知り合いの人の911GTSは、足回りがすごくかたくて、私は長時間乗ってたら疲れると感じたけど、モデルによって違うんかなぁ？」と私が言うと、
いや、あの時乗せてもらった911GTSは、後で分かったんやけど、足回りがスポーツシャシーでタイヤもカップタイヤにしてたから、乗り心地が固かったんやと思う。そうじゃなかったら、もう少し乗り心地は良かったと思うで。
と。
そうなのか…確かに、タイヤで乗り心地は全く違ってくるもんなぁ。
そして年末にツーリングに行って以来、夫はこんなことを言うようになった。
僕は、クルマが好きということ以上に、運転することが好きなんやと改めて思ったわ。だからツーリングにもしょっちゅう行きたいし、多少のお天気や道の悪さなんかも気にせず色々な道をガシガシ走りたい。
そう考えると、911GT3ツーリングは、もしかしたら今の僕には必要無いもかもしれんと思ったりするんや。
と。
「えぇー！そうなん！でも当時はGT3モデルの最後のNAかもしれんと言われてたし、ツーリングパッケージで希少価値も高いし、実際乗ると刺激的で格の違うクルマやし、これは手放せへんって言ってたやん！」と言うと、
いや、そうなんやけどな…希少価値という視点とか、広くて気持ちいい道での走りは今もそう思うんやけどな。でも、GT3ツーリングは、ツーリングという名前がついているとはいえ、やっぱりGT3や。だから乗り心地はかたいし、市街地や普通の道では正直持て余す。
NAのエンジン音は素晴らしいけど、4000回転以上を頻繁に回すなんて普段は無理やから、エンジン音もなかなか聴けへんしなぁ。
でも、良い道で走らせればめちゃくちゃ気持ちがいいし、「さすがはGT3！GTSとは格が違う！」って感激するんやけど、それを味わえるのは、ツーリングの間のたった1〜2割くらいや。残りの80％以上の時間は（GTSと比べると）楽しくないし、渋滞なんかに巻き込まれたら最悪や。MTやから余計にそうかもしれん。
そのわずかな瞬間を味わうためとなると、やっぱり出番も減ってくるし、それやのにずっと所有してるっていうのも、最近はもったいない気がしてきたんや。
やっぱり僕は運転やツーリングが好きやから、そう考えるGTSモデルや素のモデルのほうが圧倒的に乗ってて楽しい時間は多い。あとGT3はカップタイヤやから、雨の日は乗るの怖いしな、道だけじゃなく天気も気にせないかん。
だから、もしかしたらGT3は、今の僕には必要ないと言うか、持て余してしまうんかなぁと最近思うんや。
と。
なるほど…乗る機会もだけど、車両金額もめちゃくちゃ高いわけだしなぁ。
「でも、GT3ツーリングは一度手放すとすぐに売れるやろうし、もう状態の良いものは手にはいらんかもしれんのやろ？」と言うと、
うん。でももし今後GT3が欲しくなったとしても、高性能な992型のGT3が出るわけやし、それでもいいかもしれん…でもまぁ、GT3はやっぱりサーキットで走るほうが向いているクルマやから、年に数回しかサーキットを走らん僕には要らんのかもしれん。それにサーキットならいっそのことGT3RSが良いと思うわ。
と。なるほどなぁ。まさか夫がこんな風に言う日が来るとはなぁ…でも分かる気がする。
続けて夫は、
やっぱり、なんでも実際に所有してみないと分からんなぁ。冷静に考えると、GT3モデルが日常では持て余すことは分かりきってるんやけど、でも実際に所有して肌で感じることが大事なんやと思う。
以前わが家にあったパナメーラターボも、「ターボなんて日本の道では必要ない」というのは買う前から分かってたけど、でも「ターボモデルを所有せずしてそうは言いたくない」と思って頑張ってターボを買った。でも所有してみると、「素晴らしいクルマやけど、やっぱりここまでのパワーは必要ないなぁ」と案の定思った（笑）
でも、この感覚は所有してみないと分からんことやから、一度は所有してみてよかったと思ってる。
と。なるほどなぁ（なんかさっきからなるほどしか言ってないｗ）
このブログにいただくメッセージには「数時間の試乗ではなくて、実際に所有してみて分かった感想が書いてあるから参考になる」というものが多いが、確かに試乗と所有は全然違うなぁと思う。
2021年も、自分たちの生の声やリアルな感覚を、コツコツと綴っていけるといいなぁと改めて思った。
