先日、夫が空冷ポルシェの足回りを総取っ替えしたのだが、その様子やその後の走りの変化について記事を書いてくれた。よろしければご覧ください。
ポルシェ911 カレラ2(空冷964型)が、わが家にやってきてこの秋で2年になる。走行距離は約66000キロ。先日、バッテリー上がりがあったくらいで、特に大きなトラブルはなく順調だ。
もともと、私はクラシックカーや旧車にそれほど興味があるタイプではないが、そもそも、964を買ったのは、ポルシェを語る上で空冷ポルシェを知っておきたいと思ったからだ。実際に買って乗ってみると、約30年も前に作られたクルマとは思えないほど、とてもしっかり作られており、ポルシェというメーカーが、当時ここまで進んでいたのか、ということに驚愕した。
そんな風に空冷ポルシェの魅力を知ってしまうと、これが新車の状態はどんなものだったのか、ということに興味が湧いてきた。もちろん、どうせ部品を新品に替えるなら社外品でカスタムして独自性を追求するという方向性もあると思うが、個人的には総合性能やバランスという意味ではポルシェのヴァイザッハ研究所を超えるチューナーなど無いと思っている。
だから、全て純正部品でリフレッシュし、出来るだけ新車に近づけてみようと思ったのだ。
そこでこの964の主治医であるビーフォースさんに相談。まずはクルマを見てもらい、変えたほうが良い箇所、変えなくてもいい箇所などを洗い出してもらった。色々と予算も考慮に入れ、効果なども相談しながら最終的に交換しようということになったのは以下の通りだ。(細かい部品は省略している)
などなどだ。
詳細な単価は伏せるが、ポルシェのクラシック純正部品は年々値段が上がっているらしく、純正ショック1本で約10万円くらいするので、それだけで4本で40万だ。今回、工賃や諸々込で約125万円くらいをかけてリフレッシュすることにした。
クルマを預けて約2週間後、クルマが完成したとの連絡を受け、受け取りにいった。久しぶりに見るわが愛車は少し車高が高くなっている。聞くと、やはりショックがかなりヘタっていたので、新品のショックにすると車高は上がってしまうらしい。
「そんなにヘタってたんですか?」と聞くと、ビーフォースの社長はおもむろに外したショックを手で押して見せてくれた。「普通、こんな軽い力で縮まないけど、これは簡単に縮むでしょ?」と。
ポルシェ911のリアショックとフロントショック
確かに自分でも触って見てみると、ほんの少しの力で簡単にショックは縮む。「こんなにヘタってたんですね。でも、そこまで乗り心地が悪いとか、特に不安定とか感じなかったですけど?」と聞くと、社長は、
「そこがポルシェの凄いところ。普通のクルマならすぐに気づきますよ。でも、こんな状態でもそれなりにちゃんと走るように作られてるのがポルシェ。だから、他のお客さんでも、自分のクルマはヘタってないと思っている人が多いですよ。で、交換してはじめて皆さん気づくんです(笑)」
と。なるほど。他メーカーに比べてポルシェの部品や構造にかけてるコストの贅沢さは凄いという、話をよく聞くが、こういうところに現れているんだろうな。
その後、社長から「こんなに下がってた」「もう、これはグラグラ」「これは形が歪んでる」とか、部品を手に取りながらいろいろ教えてもらい、走行距離こそまだ6万キロ台のクルマだけど、あらためて28年の歳月の影響は無視できないなと思った。
次のページ→実際に乗ってみると、「うわ、全然違う」と思わず声が出た…! |
Page: 1 2