マニュアルのポルシェ911 GT3、ニュル最速記録樹立!量産MT車として驚異の6分56秒台を達成
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ポルシェ911 GT3(992.2型)のマニュアルトランスミッション搭載モデルが、ニュルブルクリンク北コースにおいて量産MT車としての世界最速ラップタイムを樹立した。記録された6分56.294秒という驚異的なタイムは、従来の記録保持車を大きく上回るだけでなく、先代PDK搭載モデルをも凌駕する驚きの結果となった。
史上最速のMT車が誕生 – 驚異の6分56秒台
2025年型ポルシェ911 GT3(992.2型)の6速マニュアル仕様が、ニュルブルクリンク北コース(全長20.832km)において6分56.294秒という圧倒的なラップタイムを記録した。このタイムは量産市販車(マニュアルトランスミッション搭載車)として史上最速であり、独立監査人によって公式に認定されている。従来の記録保持車だったダッジ・バイパーACR(2017年、8.4L V10・645馬力、7分1.3秒=20.6kmコース)を9.5秒以上更新する快挙だ。
さらに注目すべきは、このタイムが先代モデル(992.1型911 GT3)のPDK(デュアルクラッチ)仕様で記録したタイムをも約3.6秒上回った点だ。これは「MTでも先代PDK以上に速い」ことを証明する驚異的な結果であり、ニュルブルクリンクの量産車「7分切りクラブ」にMT車として名を連ねた点も特筆に値する。

Photo by Porsche
記録達成を支えた技術と条件
この記録挑戦に使用された車両は、標準で510馬力(375kW)を発生する4.0L水平対向6気筒NAエンジンを搭載した911 GT3で、6速マニュアル・トランスミッションを装備していた。特筆すべきは、今回のGT3で初めて選択可能となった軽量化オプションの「ヴァイザッハ・パッケージ」が装着されていた点だ。このパッケージはロールケージなどを含み、約12kgの軽量化を実現The company is doing so.

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タイヤには公道走行可能な最もグリップの高い部類に属するミシュラン・パイロットスポーツ Cup 2 R(N1)が装着され、アタック当日は路面温度27℃・気温12℃という晴天下の好条件に恵まれた。ノルトシュライフェ旧計測方式(20.6km)に換算した場合、6分51.764秒となり、馬力で約140hp上回るバイパーACRを実質10秒以上も引き離した計算になる。
開発者とドライバーが語る挑戦の背景
ポルシェGTモデルライン責任者のアンドレアス・プレウニンガー氏は、あえてMT仕様で公式タイムアタックに挑んだ背景について「911 GT3の顧客の間では6速MTの選択率がますます高まっており、そうしたお客様から“MTのGT3で走ったらニュルはどれくらいのタイムになるのか”と頻繁に聞かれるようになってきた」と説明している。「PDK仕様の方が明らかに速いことは承知しているものの、あえて6速MTで公式ラップ計測を行った」と述べ、MT車ファンに向けた明確なメッセージであることを強調した。

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タイムアタックを担当したヨルグ・ベルグマイスター氏は「新型911 GT3は先代よりも限界域での安心感がさらに高まり、ほぼすべてのコーナーで先代より速く走れた」と述べ、「911 GT3 RSから多くを学び、特にシャシー面で車は段差や縁石上でも一段と安定しています。8%ショート化されたギア比のおかげで後輪への駆動力が明らかに増しています」と、記録更新の要因を説明。さらに「7速PDKであればあと数秒は短縮できたかもしれないが、6速MTでのアタックでは自分のやることがそれだけ多く、だからこそ一層楽しかった」と語り、タイムよりもドライビングの楽しさに言及した点が印象的だ。
海外メディアの反応
イギリスのTop Gear誌は「マニュアル・ギアボックスは今もなお重要である」ことをポルシェが示してみせたと称賛し、「ポルシェはマニュアルGT3がどれほど速いか証明してみせた」と伝えている。Autocar誌も「911 GT3が史上最速の”マニュアル車”になった」と速報し、イギリス市場では標準ボディのGT3購入者の約4分の1がMTを選択し、ウイングなしのGT3ツーリングでは半数超がMTを選ぶというデータも紹介している。
米国のCar and Driver誌やMotor1なども「ポルシェが世界で最も速い”マニュアル車”の称号を手にした」と伝え、MT版GT3がPDK版より速いラップを記録した点について「デュアルクラッチのアドバンテージを考えれば驚異だ」と評価。「この記録を塗り替えられるMT車は当面現れないだろう」とする論評もあり、ポルシェの偉業を称えていた。

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マニュアル車の新たな可能性
今回の記録達成は、単に「最速」の称号を得ただけでなく、911 GT3というクルマのバランスの取れた性能を証明する出来事となった。高度に電子制御されたPDKや強大なエンジンパワーがなくても、徹底的に鍛え上げられたシャシーセッティングとドライバーの腕によってここまでのタイムを叩き出せることは、多くのエンスージアストにとって嬉しい驚きだろう。
「速さ」と「楽しさ」を高次元で両立させていることこそ、911 GT3の真骨頂であり、今回のラップレコードはその哲学が結実した象徴的な出来事だ。ポルシェファンにとって、この記録は数値上の快挙であると同時に、「自分たちの愛するマニュアルGT3が世界最高レベルのパフォーマンスを示した」という誇りでもある。

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私のGT3マニュアル経験から
私自身、かつて991型の911 GT3ツーリングパッケージに乗っていた経験がある。
サーキットでの走行経験から最も印象的だったのは、GT3のマニュアルトランスミッションではアクセルを踏みっぱなしでシフトアップができる点だ。通常のマニュアル車では、シフトアップ時にアクセルを緩める必要があるが、GT3ではアクセルを踏み込んだままクラッチを切っても、コンピューターが回転数を適切に制御して回転を合わせてくれる。
これによりPDKのような電光石火のシフトチェンジが可能になり、シフトダウン時のオートブリッピング機能も完璧に機能する。GT3のマニュアルトランスミッションは「早く走るためのマニュアル」として設計されており、今回の記録はその哲学を如実に示す結果となった。自分の経験からも、GT3のマニュアルは単なるノスタルジーではなく、最新技術と融合した高性能システムであることを実感している。
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Comment ( 4 )
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お久しぶりです、私もその記事を読み驚きました。
一応992.2のGT3TP も並んでいますがそのスペックや価格、フロントシェイプから乗り換える気力が高まらずにいました。
現在のTPがまだまだ手放せませんし今少し考えねばいけませんね。それよりだいぶ遅れてスパイダーRSも並んでいてこちらが最近楽しみです。HIROさんの納車後のレビューを楽しみにしています。最近お二人の勇姿を拝見して何故か嬉しく応援させて貰っています。更なる御活躍を! 高原の珈琲
Hello, Coffee on the Plateau.
いつもありがとうございます。
992.2のGT3TPに並ばれているんですね!いいですね~
スパイダーRSはあと少しで来そうです。
また来たらレビュー記事&Youtubeも配信したいと思いますので、また楽しみにしておいてください!
この記事に関係のない質問で申し訳ないのですが気になったことがあったので質問させていただきます
先日、mt987ケイマンで坂道を2速で6000rpmまで回し、3速に入れた時バシュッ!という音がしました。故障でもなく、なんなら気持ちの良いギアチェンジでした。
この現象に心当たりはありますでしょうか。
あ さん、こんにちは。
987MTでその経験はありませんが、PDKやGT3のMTとかでシフトアップすると、
「バシュン!」という快音の変速音はします。
もしその音のことなら、回転とギアの変速のタイミングが上手く合ったのではないでしょうか?