次世代ICEカイエンが正式確定 — アクティブライド搭載の可能性にタイカンオーナーとしては期待しかない

アクティブライド
ポルシェ・タイカン

「2030年代まで内燃機関を継続」— SUV責任者が明言

ポルシェのSUVモデルライン責任者であるラルフ・ケラー(Ralf Keller)氏が、英Auto Express誌のインタビューで重要な発言をした。

内燃機関とハイブリッドを、次の10年に入っても提供し続ける」。この一言で、次世代カイエンにガソリンエンジン搭載モデルが存続することが事実上確定した。第4世代となる新型ICEカイエンは2028年から2029年頃の登場が見込まれており、すでに発表済みのカイエン・エレクトリックと併売される形になる。EVとICEの両方をフルモデルチェンジで用意するのは、カイエン史上初めてのことだ。

プラットフォームにはフォルクスワーゲングループの「PPC(プレミアム・プラットフォーム・コンバッション)」が採用される見込みで、これは新型Audi Q7とも共有される。以前の記事でポルシェとアウディのプラットフォーム共有について書いたが、カイエンもその流れの中にある。ケラー氏自身が「MLB-EvoプラットフォームもPPCプラットフォームも使える」と語っており、両社の協業がさらに加速していることがうかがえる。

タイカンオーナーが語るアクティブライドの凄さ

今回のニュースで私が最も注目しているのは、次世代ICEカイエンにアクティブライドが搭載される可能性があるという点だ。

私のタイカン ターボGTにはアクティブライドが装備されている。率直に言って、このサスペンションは魔法の絨毯のような乗り心地だ。硬いのに全く揺れない。矛盾しているように聞こえるかもしれないが、これは乗った人にしかわからない感覚だと思う。コンビニの出口にある段差、あの「ガタン」と来る場面ですら、カップホルダーのコーヒーがこぼれない。身体が揺さぶられる感覚がほとんどないのである。

アクティブライドは、各輪に電動油圧ポンプを配置し、毎秒13回の頻度でダンパーの油圧を能動的に制御する。従来のスタビライザーバーを廃止し、4輪を独立して制御することで、ロールもピッチもほぼゼロに抑え込む。2,300ポンド超の上下力を各コーナーに発生させることができ、路面の凹凸を車体に伝えないように「吸収」するのではなく、「打ち消す」のだ。結果として、シャシー性能は桁違いに高い。タイカン ターボGTの峠での俊敏性はGT3をも凌ぐと私は感じているが、その一方で高速道路のクルージングではリムジンのような快適性を両立している。

電力問題 — ハイブリッド専用になる可能性

ただし、一つ気がかりな点がある。電源だ。

アクティブライドは非常に大きな電力を消費するシステムである。ピーク時には最大で約34馬力(約25kW)もの電力を必要とするとされ、400Vの高電圧バッテリーから電力を供給する必要がある。現行モデルでアクティブライドが設定されているのはタイカン、カイエン・エレクトリック、パナメーラe-Hybridだけである。いずれもEVかプラグインハイブリッドであり、大容量バッテリーを搭載していることが前提になっている。純粋なICEモデルには搭載されていない。

アクティブライド

では、次世代ICEカイエンではどうなるのか。

ケラー氏の発言の中に「ハイブリッドシステムの統合を強化する」という趣旨の言葉があった。おそらく、アクティブライドが搭載されるとすれば、PHEVグレードに限定されるのではないかと考えている。パナメーラe-Hybridと同じ構図だ。純ガソリンモデルに搭載するには、48Vマイルドハイブリッドの電源容量では心もとない。もしかすると、次世代カイエンでもPHEV版のみの設定となり、「アクティブライドが欲しければハイブリッドを選ぶ」という棲み分けになるのかもしれない。いずれにしろ、ICE搭載車でこのサスペンションが選べるようになるなら、それだけで大きな進化だと思う。

カイエンは「このサイズ」でいい

ケラー氏はもう一つ興味深い発言をしている。「カイエンは常にコンパクトなクルマとして最も優れていた。次世代もそのコンセプトを維持する」と。

もっとも、日本のユーザーからすれば「カイエンのどこがコンパクトなのか」と感じる方も多いだろう。全幅は1,980mmを超え、都内のコインパーキングでは枠からはみ出すこともある。私もカイエンE-ハイブリッドに乗っていた頃、狭い道での取り回しには常に気を使っていた。ドイツ基準での「コンパクト」と日本の道路事情は別物である。

しかしケラー氏が言いたいのは、大型化の役割はK1フラッグシップに任せ、カイエンはこれ以上肥大化させないということだろう。これには賛成だ。カイエンの良さは、あのサイズで911譲りのスポーツ性を実現しているところにある。3列シートが欲しい人はK1を、そしてスポーツSUVとしてのカイエンの本質を求める人には、今のサイズ感を維持した第4世代が用意される。EVとICEの併売、そしてK1との棲み分け。ポルシェのSUV戦略は、ようやく全体像が見えてきた。次世代ICEカイエンにアクティブライドが載る日が、本当に待ち遠しい。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。 運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを...

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