なぜポルシェ911の四駆モデルを買ったのか?そしてなぜGTSなのか?

911カレラ4GTS(991.1)
ポルシェの買い方

なぜ911の四駆モデルを買ったのか?

ポルシェ911といえば、RR(リアエンジン・リアドライブ)というイメージを持っている人が多いと思う。私もそうだ。911といえばRRという代名詞的なものと思っている。

しかし、ご存知の通り、911には四駆のモデルが存在する。カレラ(タルガ)4系とターボ系のモデルになる。

カレラとしては964型のカレラ4が最初となり、当時の資料によると、フロント31%、リア69%の固定式のフルタイム4WD機構を備えるものであった。

その後、993では可変トルク配分になり、ビスカスカップリング方式が採用され、さらに987の後期型でセンターデフに電子制御多板クラッチを(PTM)を採用。ここから現代の991や992につながる仕組みになった。

カレラ4GTS

標準より44mm広がったワイドボディと、左右を繋ぐガーニッシュが4系の特徴

カレラ4GTSの夜のリアビュー

ライトをつけるとこのように一直線に光る

今回、私が991前期(991.1)を購入するにあたって、今回は四駆系も視野に入れて探し始めた。その理由としては、まずRRの911は所有したことがあるが、四駆系は初めてだったこと。そして、四駆系、およびGTS系はワイドボディであること、さらに横一文字のリアガーニッシュが繋がっているというデザイン的な好みの部分も大きかったからだ。

なぜグレードはGTSを選んだのか?

GTSは981のボクスターGTSでも選び、GTSの特徴はよく理解しているつもりだ。この時代のGTSはとてもアグレッシブなエンジン音で、サスペンションの味付けも固すぎず、柔らかすぎずの絶妙の乗り味。走行性能的にはS以上、GT3未満というのが特徴だ。

GTSのオプション

装備も三種の神器(PASM、スポクロ、スポエグ)はもちろんのこと、専用のエアロやブラックアウトしたヘッドライトやロゴなどが装着され、レストランに例えると、ポルシェの季節限定のオススメコースがGTSというグレードになる。

GT3を日常的に乗り回すのは、フラストレーションが溜まり、クルマに申し訳ない気持ちになることは過去の記事でも書いたが、GTSであれば、そんなことはない。街中からサーキットまでシチュエーションを選ばずに楽しませてくれるし、私の大好きな日本全国を駆け回るグランドツーリングにも最適なグレードだからだ。

911GTSのメーター

ちなみに、991前期のGTSのスペックを紹介すると、エンジンはSに比べて30PSアップ430ps/7500rpm。トルクは44.9kgm(440Nm)/5750rpmとなる。

これはコンピューターのチューニングで実現しているものではなく、メカニカル的に異なる。カムシャフトとシリンダーヘッドに手が加えられ、カレラSに後付け可能な『パワーキット』と同等の装備が最初から付いてくるのだ。

四駆であること、GTSであることの違いは分かるのか?

上記のような理由で、四駆であり、GTSであるカレラ4GTSを購入することになったのだが、その特徴を他のグレードと比較して確認できる機会に恵まれたので、その時の印象を述べようと思う。

991乗り比べ

この日、集まった911は計4台。私のカレラ4GTSに、同じ991前期のカレラSカブリオレ、そして、同じく991前期のカレラ、さらに991後期のGT3だ。

なんとも贅沢な顔ぶれで、ベースグレード(素)、S、GTS、GT3と乗り比べることができたのだ。

GT3については私も所有していたので、ここでは多くは語らないが、これはカレラとは全く違う。完全にレーシングカー的な要素が強く、ヘラヘラ楽しんで走るというクルマではない。笑顔で楽しくドライブしようとする気分にはさせてくれないのだ。

常にクルマが『もっと真剣に走らんかい!遅い!』と責め立ててくるような雰囲気がある。やはりGT3は『別格』である。

カレラ4GTS

それから比べるとGTSは普通に流すようなペースでも十分に楽しくこなせる。何よりもギア比が違うし、エンジンのトルクバンドもGT3のような極端な高回転重視ではない。それに低回転から聴かせてくれるエンジン音はとても気持ちがいい。

今回、Sのカブリオレや、ベースのカレラにもスポーツエグゾーストは装着されていたが、やはりGTSの音はそれらを遥かに上回る迫力と音圧がある。Sのカブリオレなどは、屋根を開ければかなりの爆音が上から降ってくるように聞こえるのだが、音量というより音の迫力がGTSの方が上だ。

なんともこれは文章では表現しきれないが、かなり違うと思ってもらってよいと思う。

次にワイドボディである恩恵についてだ。これもタイヤの接地感が違い、ベースやSよりもガッチリとしたフィーリングだ。少し悪くいうと『ゴツい』感じとも言え、ベースやSのような軽快な感じは少ない。ちなみに軽快感でいうと、グレード順にキレイに並び、ベースが最も軽快な感じで、GTSは最も重厚、Sはその中間といった感じだ。

特にコーナー途中での踏ん張り感、安定感はワイドボデイの方がやはりある。これは乗り比べれば、すぐに分かるレベルだと思う。

ここまで書くとGTSが良いように書いているよう見られるかもしれないが、私はベースやSのしなやか、かつ、軽快な乗り味もとても好きだ。特に運転そのものが好きな人は、ベースモデルなどは操り甲斐があると感じるだろう。ドライバーの操作に対してのクルマからのフィードバックが豊富で、まさにクルマと対話しているような感覚でとても楽しい。

それに比べるとGTSは、高性能なマシン感がある。誰が乗っても早く走れるので、操り甲斐みたいなものはベースと比べるとやや少ないかもしれない。

そして、一番、カレラ4GTSが他と違うと思うところは、四駆である点だ。

カレラ4GTSの納車の記事でも少し書いたが、911の四駆は本当に凄い。これは最初に911の四駆モデルに乗った人だと「何だ、普通の四駆のクルマじゃないか。」と感じるかもしれないが、一度でもRRの911に乗ったことがある人なら、その制御の素晴らしさがよく分かると思う。

RRのネガな挙動は全く打ち消されており、かといって、アンダーステア気味になることもない。もちろん、サーキットなどの限界域では違うかもしれないが、一般道を少々速いペースで走ったくらいでは、全く四駆のネガは分からない。

RR特有の急加速時のフロントの浮きなど皆無に近く、瞬時にフロントにトルクがかかるので、スッと前に出てくれるし、コーナーからの立ち上がりでアクセルを踏むタイミングはRRよりもワンテンポ早く踏み込める。上り坂だろうが、急カーブだろうが、関係ない。

カレラ4GTSの運転席

とにかくガバっとアクセルを踏めば、後はPTMが絶妙な制御でフロントにトルクを配分し、何事もなかったかのようにクルマを前に進めてくれる。

そのフロントへのトルク配分のおかげで、クルマの前後の揺れが最小限に抑えられるので、とても乗り心地が良いのだ。助手席に同乗していたTAKUROさん曰く「カレラ4GTSは山道を飛ばしていても、助手席で寝られる」そうだ。

これはいささか大げさな表現かもしれないが、とはいえ、あながち間違ってはいない。サスの硬さからくる突き上げの有無の乗り心地の良さではなく、ボデイが揺れないことでの乗り心地の良さを持っているのが、911の四駆モデルの特徴といえるだろう。最高峰の911のターボモデルが「魔法の絨毯」と呼ばれるのも、この四駆の影響も大きいと思う。

これはベースやS、そしてGT3とも大きく違うところだ。

911カレラ4GTS

ちなみに、個人的な意見だが、もしあなたが最初にポルシェを買うならRRのモデルを最初に買い、その後、四駆モデルを買うとよいだろう。その方が、四駆であることの楽しさが倍増すると思うからだ。

以上が、911の四駆、GTSをなぜ選んだか?とその違いについてのレポートとなる。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

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  • コメント ( 6 )

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  1. 初心者

    旦那様の時は官能的で、車好きの心を刺激します。
    いつも楽しく拝見させて頂いております。

    すみません、
    ポルシェの認定中古車はディーラーさんへ、
    希望を伝えておくと探してくれるなど、
    そういうのはして頂けるのでしょうか。
    なんとなく敷居が高くて、
    そういう要望を出すのも気が引けます。

    お手数をお掛けします。

    1
    • HiroHiro

      いつもありがとうございます^ ^
      中古車センターに声をかけておけば、入庫すれば教えてくれるところは多いですよ。

      敷居の高さなんて、最初はそう思うだけで、なんて事はありません。
      むしろ、堂々と紳士的に行った方が印象良いと思いますよ^ ^

  2. ひろ

    いつも更新を楽しみに拝読させていただいています。
    以前カレラGTSのハンドルやミッションの仕様でアドバイスいた者です。その節はありがとうございました。結果、左ハンドルMTをオーダーしちゃいました。今から楽しみです。
    以前、車を購入された際はガラスコーティングされている記事を読みましたが、プロテクションは何かされていますか?992購入時にオプションで選べるフロント周りの保護シートと他のショップのプロテクションシートどちらをしようか迷っています。またはプロテクション無しをいう選択も有なのでしょうか?
    いざオーダーすると納車後のレーダーやセキュリティやらで妄想がつきません。

    • HiroHiro

      いえいえ、どういたしまして!
      左MTの992GTS、楽しみですね!
      そうそう無いでしょうから、大切に乗ってあげてください^^

      プロテクションに関してはGT3ツーリングの時にディラーオプションとして施工してもらいました。
      傷は全くつかないですが、貼った直後はどうしても細かいところが少し浮いたりすることもあり、修正してもらったりするためにクルマを預けるのが面倒でした。
      あと、白系などのボディだと、どうしてもフィルムが経年劣化で黄ばんでくるので、よく見ると微妙に色が違って見えます。
      このあたりはフィルムの質にもよると思いますが、私は今後はプロテクションフィルムはもう貼らないと思います。
      もし傷つけば、ペイント修理の方が安い場合もありますし、小傷も愛車への愛着の一つと最近は思うようになったからです。
      あ、でも、売却も視野にいれて買ったクルマで、濃い色のクルマなら貼る場合もあるかもですね^^

      2
  3. Nak

    こんにちは。

    あくまで個人的な感想ですが・・・・・
    RRは本来直線加速以外にメリットのない構造なので、4WDになったことでやっとまともに走るようになったと思います。
    空冷時代は空力も今のようにきちんと計算されてなかったため、フロントが浮きまくって大変でした。

    そういえばGT4RSがポルシェのYouTubeアカウントにアップされましたね。
    動画を見る限り初めて911をタイムで越えたようです。
    欲しいけど、ケイマン1台買ったくらいでは申し込みすら出来ない気がします・・・

    • HiroHiro

      そうですねぇ、RRの方が運転の面白さはありますが、単にタイムを競うなら四駆の方が速いでしょうね!
      GT4RSはかなり魅力ですね。とりあえず、並ぶだけ並んでみようと思います。