ポルシェの新型ディスプレイは誰のためのものか?ポルシェの方向性への疑問

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ポルシェ・カイエン

史上最大のディスプレイシステムという選択

ポルシェが2025年末に発表予定の「カイエン エレクトリック」に、同ブランド史上最大となる「フローディスプレイ」が搭載されるという。14.25インチのデジタルインストゥルメントクラスターと、オプションの14.9インチパッセンジャーディスプレイが、インスツルメントパネル全体をシームレスに覆う設計だ。

OLEDディスプレイを採用し、エレガントなカーブを描きながら配置されるこのシステム。ポルシェ・スタイルのインテリアデザイン責任者マルクス・アウエルバッハ氏は「カイエンの本質的な特性を維持しつつ、新たに開発されたフローディスプレイを調和的に統合することが目標だった」と語っている。

しかし、ここで素朴な疑問が湧く。果たしてポルシェオーナーは、本当にこのような充実したインフォテインメントを望んでいるのだろうか

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ポルシェに求めるものは何か

充実したインフォテインメントシステムを求めるなら、もっとほかの選択肢がある。テスラは全く次元の違う完成度の高さのインフォテインメントシステムを持っている。豪華さを考えればメルセデスという選択肢もあるだろう。

ポルシェを選ぶ人たちが本当に重視しているのは、走りの楽しさだ。パワー感であったり、フィーリングであったり、そういうところに価値を見出している。少なくとも、コアなポルシェオーナーたちが望んでいるのは、大型ディスプレイではない。むしろ伝統のアナログ5連メーターの車を新型車として作って欲しいという声の方が大きいのではないか。そちらの方が人気が出るはずだ。

ポルシェパナメーラのメーター

現状のシステムすら完成していない

新しいインフォテインメントシステムに注力する前に、まず現状のバグを潰して欲しい。これがポルシェオーナーとしての切なる願いだ。タイカンもマカンEVも、現状を見る限りバグだらけである。

画像が正しく表示されない。エアコンをアプリでオンにしても反映に時間がかかる。そもそも動かないことも多々ある。トリップ情報がアプリに反映される日とされない日がある。充電の時間指定は守らない、いや、予測計算が甘すぎて守れていない。日本語の表記も非常におかしいところが多々ある。サポートに連絡するとお決まりの「本国のサーバーが・・・」の返答。基本的なところから全く完成していないのだ。こんな状況で、さらに大型で複雑なディスプレイシステムを導入して、本当に大丈夫なのか。

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ポルシェはどこに向かっているのか

フォルクスワーゲンと部品を共有しているから、このような画面やインテリアを採用するのだろうとは理解できる。しかし、誰もこれは望んでいない。少なくとも本当のコアなポルシェユーザーは望んでいないはずだ。

電動化の波は避けられない。技術の進化も必要だろう。しかし、ポルシェがポルシェである理由を見失ってはいけない。ドライバーとクルマの一体感。運転する喜び。それがポルシェの本質ではないのか?大型ディスプレイやAR対応ヘッドアップディスプレイは、その本質を高めるものなのだろうか。私にはそうは思えない。むしろ、ポルシェがどこに向かおうとしているのか、非常に心配になった。

ポルシェには、ポルシェにしかできないクルマ作りを続けて欲しい。それが、ポルシェ乗りの方々が共通して抱く思いではないだろうか。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。 運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを...

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