GLB200d 4MATICの納車から1週間。1000km走行後のファーストインプレッション

GLB200d 4MATIC
レビュー・試乗記

気になる乗り心地は?

結論からいうと、国産車の柔らかサスに慣れた人には硬く感じ、欧州車に慣れた人には心地よく感じると思う。足回りは基本的にピンと張ったような印象で、SUVだがフワフワとストロークするような感じのものではない。どちらかというとスポーティーな印象さえ感じる足回りである。 弟が所有しているGLA200d 4MATICよりは、ややしっとりしており、落ち着きは感じる。横揺れなどにはとても強く、路面の左右に高低差があっても、車体が左右にユサユサと揺れることはかなり少ない。この点に関しては、上位の大型SUVよりも快適性は高いと思う。 GLB200d 4MATIC 一方で、50〜60km/h前後で凹凸の多い道を走ると、ややコツコツと感じる。前席はそれほど感じないが、後部座席だと少し上下動が多い。これはどのSUVでも少なからず起きる事象なので、それほど気にすることはないが、フワフワとした大船に乗ったような乗り味を期待するなら、GLBは少し違う。 なお、GLAの後部座席はヨー方向に微かにふらつくような印象があったが、GLBではそれは感じない。乗り心地が気になる人は少し、リアの空気圧を下げて低めで乗ると良いだろう。

タイヤの接地感やハンドリングについて

たとえば、GLEやGLS、カイエンやマカンといった上級のSUVと比べると、さすがにタイヤの転がりのしっとり感や、上質さは劣るのは事実だ。とはいえ、このコンパクトクラスのシャシーを使ったクルマとしては上質な方で、フォルクスワーゲン・ゴルフの上質さには一歩及ばない感じはするものの、クラスの中では高級に感じる部類だろう。 カイエンやGLSなどの乗り心地をお寿司の大トロと表現すると、GLBの乗り味のフィーリングは、上質な赤みのマグロと言った感じだ。あっさりした味だけども、とても美味しく飽きが来ず、気楽に食べられる、そんなフィーリングである。 ハンドリングはかなりスポーティーな部類に入る。ワインディングを走った感想は過去の試乗記事を参考にしてほしいが、相当しっかり走れるクルマだ。 GLB200d 4MATIC まず履いているタイヤがAMGラインなので、235/50R19のサイズで、911などにも使われているPZEROのPZ4のMO(メルセデス承認タイヤ)を履いている。そのため、かなり応答性はよく、グリップも十分だ。 中速、高速コーナーでもしっかりと踏ん張り、全く破綻感はない。 一方でこのタイヤが悪さしているのではないか?と思うところもある。それは高速道路などでのステアリングのセンターの感度がやや良すぎるきらいがある。GLBがスポーツカーなら問題ないが、あくまでも家族で乗るSUVである。しかもメルセデスなので、もう少しステアリングのセンター付近はダルでもよいと思う。その方がもっと気楽に高速ツーリングが楽しめるだろう。なお、この感覚はマカン(現行・第3世代)のフィーリングによく似ているように思う。

高速道路での印象

一言で言うと『速度域が上がれば上がるほど安定し、乗り心地がよくなる』と表現したい。これは欧州車なら程度の差こそあれ、同じような印象だが、GLBの場合は昔のメルセデスにも通じる部分があり、それが顕著だ。 80km/h前後で走るのと、新東名の追越車線のペースに合わせるのとでは結構違う。低速だと、コツコツ感を微妙に感じるが、スピードが乗っていくと、一気にフラットになり、クルマが生き生きと走り出す。乗り心地はよく、快適性も高い。 直進安定性は前述の通り、このクルマのコンセプトならもう少しステアリングのセンター付近の感度を抑えてほしいが、高速安定性、つまり安楽にスピード感無く走れるという意味では十分に素晴らしい。 しっとり感や走りの上質さでは上位モデルに譲るものの、アウトバーンを走るクルマだけのことはある。 GLB200d 4MATIC なお、高速の追い越し加速などのパワー感については、150psとは思えない。もちろん、速くはないがトルクがあるので、加速力や合流でのもどかしさや危なっかしさは無い。 なお、高速でアクティブディスタンスアシスト・ディストロニックで前車に自動で追従させ、アクティブステアリングアシストでステアリング操作をクルマ任せにすると、かなり楽で疲労感はかなり軽減される。 ちなみに、メルセデスのアクティブステアリングアシストは評価が高く、道路のセンターをキープしてくれると評判も良いが、個人的にはまだまだ人間の域には達していないと思う。 ほとんどの場面で問題なく走るが、まれに左に少し寄りすぎたり、それを修正するために右に切るので、ちょっとギクシャクしたりする時がある。もちろん、機械としてはかなり緻密にステアリング操作をしてくれているが、19インチのホイールとピレリのPZEROの応答性が良すぎて、少しバランスが悪いように思う。

GLBの気になる点

買い物や通勤、単なる移動など、普段使いするクルマとしてはかなり高得点のクルマで、個人的に非常に満足度は高い。 しかし、気になる点があるのも事実であり、それらを列挙してみたい。

  1. フロントのサイドガラスの断熱性がほぼ無い。
  2. もう少し早めにシフトアップしてほしい。
  3. タイヤの性能がオーバースペックに感じる

1については、フロント座席のサイドウィンドウの断熱性が皆無に近い。12月の日差しでも横から直射日光が当たるとかなり暑く感じるので、真夏では相当暑く感じるのではないだろうか。実際にガラスを触ってみても、全く熱を吸収しておらず、ガラスは冷たいままだ。 これは私が乗った最近のクルマの中ではダントツで断熱性が低いといえる。この件については、近日中に透明断熱フィルムを施工しにいくつもりだ。 GLB200d 4MATICの内装 2は、1400rpmで最大トルクを発生するディーゼルエンジンにしては、1速、2速の加速時に毎回2500回転付近まで引っ張ってしまう。これはまだ私の運転をATが学習していないためかもしれないが、もう少し低回転で小気味よくシフトアップすれば、さらに快適に静かに走れるのになと思う。 3は、AMGラインということもあるとは思うが、ややオーバースペックで応答性が良すぎてGLBのコンセプトからすると少し合っていないように思う。ピレリならCinturato、ミシュランならプライマシー系がこのクルマには合っているのではないかと思う。これに関しては、いつかミシュランのオールシーズンタイヤに換えるかもしれない。

GLBの総評

さすがはメルセデスのクルマだけあり、ドライバーは『何も余計なことを意識したりする必要がない』という感覚になるクルマである。これは、クルーズコントロールや、ステアリングの自動操作の優秀さということもあるが、それよりも乗り味全体が、ドライバーに負荷をかけない作りになっている。 たとえば、ポルシェなどではSUVといえども、エンジン音を聴きたくなり、ハンドリングが気持ちいいので、カーブになると心躍ったりすることがある。前が開けばアクセルを踏み込んだりと、いろいろとドライバーは意識を『走りを楽しむこと』に向けてしまう。 それに比べるとGLBは、そんな気を一切、ドライバーに起こさせない。実直にドライバーを目的地まで送り届けるだけである。だからドライバーは大げさにいうと『やることがない』。 音楽でも聴きながら、景色でも楽しもうかという気になるクルマである。だから、普段の移動や、足としての利用に最適だと思う。 まさに道具としてのクルマ、そんな使い方ができるのがGLBだと思う。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

プロフィール

このブログが気に入ったらフォローしてね!

コメントを閉じる
  • コメント ( 2 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. 山中滋木

    初めまして。
    GLB200d4MATIC(202202モデル)に乗ってます。
    パワーシートや置くだけ充電などもう復活したんですね、羨ましいです。
    私もまだ1500kmほどしか走行していませんが、Hiroサンのインプレッションに近いです。
    優しくアクセル踏んでいれば、2000回転位まででも速度とともにシフトアップしていきますが、2速と3速がやや離れているのと、速度がすぐ上がらない場面でシフトアップがもたつくのは確かに実感します。
    (すぐパドル操作でシフトアップしたくなります)
    総合的には、上質かつ快適な優秀パッケージングだと思います。
    今後のブログも楽しみにしております。

    • HiroHiro

      山中さん、はじめまして。こんにちは。

      置くだけ充電は復活してますが、スマホカバー(無接点充電対応のものでも)を付けてると、ただでさえ弱い充電力がさらに弱くなり、たまに充電できてない状態になったりします。なので、もはや全く使ってません(笑)。。。

      やはりシフトチェンジはそんな感じなのですね。
      せっかくのディーゼルエンジンなので、もう少し低回転で小気味よくシフトアップしてほしいんですがね。

      でも、仰る通り、総合的には素晴らしいクルマだと思います。
      最近はGLBばかり乗っています^^