【タイカンを徹底試乗】これはポルシェか?それとも速いだけのクルマか?

ポルシェタイカンターボ
レビュー・試乗記

ポルシェタイカンで高速道路を走る

場所を高速道路に移して、高速道路での挙動を見てみる。まず、料金所からの合流だが、ジワっとアクセルを踏めば先程の鬼のような加速感は息を潜め、本当にジェントルな加速をしてくれる。

オプションのエレクトリック・スポーツサウンドが気持ちの良い快音を奏で、滑らかにスーッとスピードを上げていく。途中、100km/h手前くらいからだろうか、耳を済ましていると、わずかにモーター音が変化し高速用のギアに変速していることが分かる。

もちろん、その際の変速ショックなどはゼロだ。

ポルシェタイカンターボ

少しペースを上げて、走行車線から追い越しのために、追越車線を走り、そして走行車線へと戻る。この動きを連続してやってみるが、少々雑に操作しても、当然ながら全く何も起きない。ロールもしなければ、不安定になることなど皆無だ。

周囲のペースに合わせて追越車線をリードするくらいの速度で走ってみると、まず、最初に助手席の妻が言ったのが「空力が凄い」と。

確かに言われてみれば、空気の中をすり抜けていっていると表現したらいいだろうか。

よく、空力の良いクルマの場合、『空気の壁を切り裂く』という表現を使われることもあるが、タイカンの場合はそういう表現とは少し違う。

スピードが上がるにつれ、ボディの周囲に空気の道というか、レールが出来ているような感覚になり、左右のブレがなくなり、車体がグッと安定する。風切り音らしい音はほぼ無く、どこまでもスムーズに加速していく。

ポルシェタイカンターボ

そして、高速域で特筆すべきはそのフラットさだ。正直言って、私が今まで乗ったどんなクルマよりもフラット感は強い。これは本当に驚くべきフラットさだ。

とにかく、目線が上下しない。

目地段差があろうが、道路の補修跡があろうが関係ない。「トン!」「ゴトッ!」という音がするだけ。衝撃はもちろん、車体の揺れなどほとんど感じないのだ。

サーキットなどにおいてGT3で180km/h以上出すと、相当フラット感が強くなるが、そのレベルのフラット感が100km/h前後からでも味わえると言ったらよいだろうか。

ポルシェタイカンターボ

少し交通量が多くなったので、妻に運転を代わり、妻はACCをオンにして、クルーズコントロールで走りはじめた。助手席に乗っている私からすると、人間がやっているのか、クルマがやっているのか、全く分からないレベルのスムーズさだ。

妻もいろんなクルマのACCを経験しているが、「今までで一番スムーズで安心できる」と言っていた。

タイカンはポルシェなのか?

今回、タイカンを街中、ワインディング、高速道路とじっくりと乗ってみての私の感想だが、タイカンというクルマを「ポルシェは本気で作りすぎている」というのが感想だ。

当初、テスラをライバル視しているとか、そんな噂もあったが、私が思うにこれはライバル云々の次元ではない。完全にシャシーや足回りの性能が圧倒している。もう、全然追いつけないレベルと言っていいくらいに感じる。

過剰なまでに走行性能に関して『いいクルマ』に仕上げられており、『EVなんだから、ここまでしなくてもいいんじゃないか』と逆に思わせてしまうくらいの高性能さだ。

あまりにしっかりと作られているので、個人的にはこれでもっと遠出したくなる。航続距離や充電ポイントなど意識せず、関東や東北などにもツーリングに行きたいが、それが今の環境では少し難しいというのが最大のネックだ。

ポルシェタイカンターボ

次に、タイカンはポルシェなのか?ということについて、個人的な感想を述べたいと思う。タイカンは素晴らしいとはいえ、GT3ほどの運動性能ではないし、911にもサーキットのタイムでは負けるだろう。

しかし、そのフィーリングは紛れもなく『ポルシェ』である。まず、数十メートル走れば、911に近いフィーリングであることはすぐに分かったし、いたずらにクイックではないハンドリング特性、唐突さが無く、スピードを上げるに従い徐々に上がっていくステアリングゲイン、これによる人間が感じる挙動の違和感の無さなど。

タイカンのステアフィールはどれをとってもポルシェの各モデルに共通するものを持っている。

ポルシェタイカンターボ

先日も清水和夫氏がこんなことを言われていた。ポルシェのエンジニアに毎回『ポルシェの強みは何ですか?』と聞くと、いつの時代のエンジニアも必ず同じことを答えるそうだ。『我々は徹底的にテストします。テストです』と。そこに、「なぜポルシェがポルシェらしいクルマ作りができるのかの答えがあるのではないか」言われていた。

たぶん、タイカンは恐ろしくテストして走り込み、ポルシェのクルマであることを相当意識して作られていると感じる。電気モーターというパワートレインに変わったからといって「ポルシェらしくない」と言われないように、パワートレインの違いを言い訳にしたくないというエンジニアの意思がひしひしと伝わってくる。

開発エンジニアはそのプライドにかけて、タイカンを生み出したのだろう。タイカンは妥協なくポルシェらしいクルマに仕上がっていると思った。特にそのシャシー性能の高さは紛れもないポルシェである

以上が、今回のポルシェタイカンの試乗の感想だ。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

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  1. syyamada

    いつもポルシェのレビューを楽しみにしております。
    私は、今現在レクサスRXFスポーツを2016年に購入2021年に5年目になり人生最後のポルシェを購入します。
    やはり、私はポルシェパナメーラ ハイブリッドを10月にオーダーする予定です。
    来年70歳を迎え23代目の購入になり愛車遍歴も我が家に来た車に思い出がいっぱいです。
    今回、ホームページのレビューの内容が私も体験してるような内容で大変参考になりました。ありがとうございます。

    今後もレビュー楽しみにしております。

    2022年5月納車予定です。

    • MinaMina

      syyamadaさん
      いつもブログをご覧いただき有難うございます!
       
      >今現在レクサスRXFスポーツを2016年に購入2021年に5年目になり人生最後のポルシェを購入します。
      おぉーそうなのですね!おめでとうございます!
      そして23台目の愛車とは…すごいです…!!
      これまでに、きっとものすごく素敵なカーライフを過ごしてこられたのだろうなぁと想像しております。

      22年5月納車予定、1年後なのですね!
      その頃には、色々と状況が落ち着いて、もっと気軽にドライブに行ける世の中になっていますように。
      引き続きどうぞよろしくお願いいたします!