BMW M3 E46チューニングカーレビュー – CSL級の完成度を持つカスタムマシンの真実
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15万キロ走行でも衰えない名機の実力
今回久しぶりにチューニングカーのレビューをお届けする。
試乗したのはBMW M3 E46型で、これが驚くほど完成度の高いカスタムマシンだった。以前、2024年8月にM3 CSLをレビューしたが、日本に150台程度しか輸入されていない希少なモデルだった。CSLは軽量化と運動性能向上を図った特別仕様車で、その素晴らしさについて記事にしている。
今回のM3は通常モデルだが、まるでCSLを自作したかのような仕上がりになっている。
ブレーキからDME、マフラー、足回り、内装まで、ありとあらゆる部分に手が加えられているのだ。写真で見る限り、かなり攻撃的な外観で「乗り心地は最悪だろうな」と身構えてしまうほどの迫力がある。しかし実際に乗ってみると、予想を完全に覆される結果となった。
チューニングカーの常識を覆す乗り心地
車高は相当低く設定されており、実用性という点では正直厳しいものがある。
下擦りのリスクは常に付きまとうだろう。しかし、それ以外の点において、これほど乗り心地の良いチューニングカーは初めてかもしれない。私もこれまで数多くのチューニングカーに乗ってきたが、この完成度は別格だ。足回りはかなり固めに設定されているものの、変な衝撃や振動が全くない。
まさにお手本のような足回りセッティングで、地面に張り付いたままフラットに駆け抜けていく感覚が素晴らしい。アラゴスタ車高調に前後ピロアッパーという組み合わせが功を奏しているのだろうか。フロントの入り方も鋭く、まるで紙を切るような正確性を持っている。ただし上級者向けの性格は否めず、タイヤの銘柄がクルマのスペックに見合っていないため、少し飛ばすと怖さを感じる場面もある。もう少しハイグリップタイヤに変更すれば、さらに運転しやすい素晴らしいクルマになるはずだ。
15万キロとは思えないエンジンの完成度
このクルマは15万キロという多走行車の部類に入るが、BMWというかドイツ車全般に言えることとして、15万キロ程度では全く問題ない。むしろエンジンは非常にスムーズに回り、イエローゾーンからレッドゾーン付近まで淀みなく美しく回転する。感覚的には1万キロから2万キロ程度と言っても全くおかしくないレベルの吹き上がりを見せる。DMEチューンと32bitから64bitへの換装が効いているのだろう。
排気音も素晴らしい出来栄えだ。ASSIST製等長フロントパイプ、Supersprint製センターパイプ、チタンテールマフラーという組み合わせが生み出す音は、最近のクルマのような作られた音ではない。本物のエンジン音、排気音がしっかりと響く。確かにうるさいが、それが気にならないほど心地よい音質なのだ。運転していて本当に気持ちが良くなる。
スポーツモードで豹変するM3の真価
M3エンジンの真価は、スポーツモードボタンを押すか押さないかで大きく変わる。
通常モードではかなりマイルドで、普通の3シリーズの大排気量車程度の感覚で街乗りが可能だ。しかしスポーツモードを押すと一変する。エンジン回転の上がり方、トルク感、特に低速から中速にかけての盛り上がりとレスポンスが劇的に変化するのだ。
M3に乗る人はスポーツモードで運転しないと、このクルマの意味がないと思えるほど変わる。CAEウルトラシフターに交換されたシフトは、レーシングカーのような長いストロークを持つ。入りは気持ち良いが、3速から2速への落とし方など、慣れが必要な部分もある。どのくらいの力加減で2速に入るかが掴みにくく、試乗レベルでは完全に理解できなかった。ただし節度感は抜群で、カチカチと決まる感覚は本格的だ。
バランスの取れたカスタムの真価
ブレンボGTブレーキキットによるブレーキタッチは素晴らしく、ボディ剛性も申し分ない。
軽量化も相当進んでおり、動きが非常に機敏でドライバーの意思に忠実に反応する。OSスーパーロックLSD 1.5wayとファイナル3.91の組み合わせが、この機敏さを支えているのだろう。ハンドリングのバランスも秀逸で、もう少しハイグリップなタイヤを履けば、さらに高い速度域でも安心して攻められるだろう。
普通の人がワインディングを気持ちよく流す程度の速度なら、現状でも全く問題ない。それどころか、運転が上手くなったような錯覚を覚えるほど良いハンドリングと乗り心地を実現している。私は基本的にカスタムカーの紹介はあまりしないようにしているが、今回のクルマは非常にバランスが良く、よく作られたカスタムだと感じたため紹介した次第だ。これほど完成度の高いM3チューニングカーは珍しい。そう思える一台だった。
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