718スパイダーRSで慣らしツーリング!木曽・信州の山道で感じたその実力
公開日:2025.06.25

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高速道路での印象:走行車線では物足りないが、追い越し車線で本領発揮
今回、仕事で名古屋へ向かう機会を利用して、納車されたばかりの718スパイダーRSで木曽から信州にかけての慣らしツーリングを敢行した。新幹線という選択肢もあったが、せっかくの機会なのでスパイダーRSでの移動を選択。結果として約800kmを走破し、慣らし運転を完了することができた。
高速道路での走行では、やはり走行車線の速度域では本来の魅力を発揮しきれない印象だ。
この速度域であれば、981ボクスターGTSや718ケイマンといったレギュラーモデルの方が快適で楽しめる。スパイダーRSが真価を発揮するのは、追い越し車線を走るペースからだ。

リアガラス部分を外し、幌を日除けとしてのみ使う日除けモード。太陽光を避けて、オープンエアーと音を楽しめる。
特に印象的なのは、追い越し時の加速感。
7速で100km/h巡航時、エンジンは約2800回転で回っている。ここからアクセルに少し力を込めるだけで、素晴らしいエンジン音と吸気音が響き渡る。本当にスポーティーなクルマを走らせている実感が強く、これは他のギア比の高いポルシェでは味わえない特別な感覚だ。ただし、楽しさを追求するあまりスピードが上がりすぎる傾向があるため、注意が必要な一面もある。
フルバケットシートの快適性:長距離でも疲れ知らずの理想的なポジション
関西から名古屋まで走行したが、疲労感は皆無だった。今回装着されているフルバケットシートが、私の体型に完璧にマッチしている。18ウェイシートや14ウェイシートなど、ポルシェには様々なシートオプションがあるが、通常のシートよりもこのフルバケットシートの方が明らかに体に合っている。
背もたれは相当立っており、普段寝かし気味で運転する人には苦痛かもしれない。しかし、この直立した角度が絶妙で、走行中は腰への負担が全くない。骨盤がしっかりと立つような感覚で、もともと腰痛持ちの私でも体全体が楽に感じられる。
このシートの素晴らしさは、強制的に正しい姿勢で座らせてくれる点にある。デスクワークでよくある、浅く腰掛けて徐々に寝そべるような悪い姿勢になることが物理的に不可能だ。窮屈そうに見えて、実は長距離運転が最も快適になる。今後2シーターのポルシェを購入する際は、全てフルバケットシートを選択しようと考えているほど気に入っている。
山道での真価:361号線とボルダーロードで体感した卓越した足回り
名古屋での仕事を終えた夕方、高速道路で郡上八幡まで上がり、そこからせせらぎ街道を北上した。相変わらずせせらぎ街道は素晴らしい道だが、交通量が多く遅いクルマが数多く走っているため、ペースを乱されがちだ。追い越しポイントも限られているため、観光シーズンや土日の走行は避けた方が良いだろう。
高山市を経由して361号線に入ると、状況は一変した。
361号線は本当に素晴らしい道で、御嶽山を北側からアプローチするルートは特に気持ちが良い。飛騨御嶽尚子ボルダーロードの石碑があるエリアまで走ったが、この道は誰もいない走り放題の道だ。いつ走っても交通量が少なく、理想的なドライビングロードと言える。
ボルダーロードへの道は路面がやや荒れており、補修跡も点在している。以前GT3ツーリングで走った際は、どうしても荒れた箇所を避けて走ってしまい、集中力が削がれた記憶がある。大きな補修跡ではガツンとした衝撃が来るため、身構えてしまうのだ。スパイダーRSでも同様の心配をしていたが、実際は全く衝撃を感じない。まるで普通のボクスターで走っているかのように、衝撃を見事に吸収してくれる。
足回りは確実に硬い。バネレートも相当高いはずだ。しかし、サスペンションがよく動き、緻密に作動して一発で振動を収束させてくれる。硬い設定の中では最高クラスの乗り心地を実現していると断言できる。柔らかくて快適なクルマではないが、この硬さでこの快適性を両立させているのは驚異的だ。
ビーナスラインでのPDK:驚異的なキレの良さを実感
2日目は361号線を東へ進み、伊那市から国道152号線を北上して諏訪湖方面へ向かった。152号線も良い道だが、この日は交通量がやや多く、詰まることが多かった。諏訪からビーナスラインへ向かう県道40号線は、タイトでやや荒れた路面だが、スパイダーRSなら全く問題ない。ツーリングに使える超高性能車という表現がぴったりだ。
ビーナスラインは意外に路面が荒れており、パッチワークのような補修跡が無数にある。今回のツーリングで最も路面状況が悪かったが、それでもスパイダーRSは気にならないレベルで走破してくれた。普通のボクスターの方が快適なのは当然だが、この走行性能とバネレートの硬さを考慮すれば、十分すぎる快適性を保っている。
PDKの完成度は特筆すべきレベルだ。PDKスポーツモードでオートマチック走行していても、2000回転から4000回転あたりで気持ちよく変速してくれる。軽くブレーキを踏めばシフトダウンし、強めに踏めば一気に複数段のシフトダウンを実行する。このキレの良さは半端ではない。GT3のPDKでもここまでのキレはないのではないかと思うほどだ。マニュアルトランスミッションを望む声もあるが、このクルマはPDKで乗ってほしいと強く感じる。
これがスパイダーRSのPDKのキレの良さ👍
PDKスポーツのATモード
慣らし中の4000-5000rpm以内で走行してても、楽しめる
ブレーキ踏むだけで、絶妙なタイミングでシフトダウン、人より上手いしリズム感が良い😊 pic.twitter.com/fhmIKgfle2
— Hiro@ポルシェがわが家にやってきた (@boxster_gts) June 20, 2025
GT3エンジンの魅力:低回転域でも楽しめる特別なサウンド
サウンドの魅力も格別だ。今回のツーリングの最中は慣らし運転のため7000回転以上は回していないが、2000回転から4000回転の中回転域でも十分にGT3エンジンの音を堪能できる。ギア比が低いためイライラすることもない。8000回転や9000回転まで回さなければ良い音がしないクルマではなく、低中回転域でも十分すぎるほど音を楽しめるのが素晴らしい。
音量はかなり大きいが、おそらく外で聞くと981ボクスターGTSの方が大きく聞こえるだろう。スパイダーRSは排気音よりも吸気音やエンジンのメカニカルノイズの割合が大きく、排気音は低音系が中心だ。一方、981ボクスターGTSは排気音の割合が圧倒的に大きい。ドライバーにとってはスパイダーRSの方がはるかに大きな音に聞こえるが、これは耳元で吸気音とメカニカルノイズが響くためだ。
音の特徴として、スパイダーRSはアクセルを踏むと音がし、抜くと比較的静かになる。981の場合はアクセルを離しても余韻が残るが、スパイダーRSは音が響かず、音圧が大きいタイプだ。反響音のしない部屋で聞く音楽のような、クリアで直接的な音質が特徴的だ。アクセルに負荷をかけている時は迫力ある音を響かせ、抜くとスッと収まる。この切り替わりの明確さも、このクルマの個性の一つと言える。
今回のツーリングで走行距離は1500km以上に伸び、慣らし運転が完了した。今後はオイル交換を行い、本格的に回していく予定だ。ツーリングが本当に楽しいクルマで、もしかすると981ボクスターGTSの魅力を全て包含してしまうのではないかと思うほど優秀だ。もしボクスターがPDKなら間違いなく売却してこちらに乗り換えているだろう。ただし、わが家のボクスターはマニュアルという別の楽しさがあるため、しばらくは両方を楽しんでいこうと考えている。718スパイダーRSは、間違いなく買ってよかったと思えるポルシェの一台だ。
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