85歳でも911|島田順子さんの「車は美意識」に、ポルシェ乗りとして思うこと
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パリ在住のファッションデザイナー、島田順子さんが40年以上ポルシェ911に乗り続けているという記事を、クウネル(2026年10月18日公開のWeb記事)で読んだ。1941年7月7日生まれの85歳。16歳で運転免許を取り、1966年からパリで暮らしている。
読み終えてから、2つのことが頭を離れない。1台のクルマに40年以上乗り続けるとはどういうことか。そして私自身は、あと何年ポルシェを運転できるのだろうか、という問いである。
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10歳で見たポルシェが、すべての始まりだった

初代911(手前)と991型911カレラ4S photo by Porsche Newsroom
出会いは、10歳くらいのときに乗ったフェリーの上だった。
三浦から館山へ帰る船に、ポルシェが積まれていたのだという。「きれいな形と色に見とれました。 母が、ポルシェって言うんだよって。大人になったらこんな車に乗りたいと、心に刻んだのだと思います」と島田さんは振り返る。2023年のVOCEの対談でも、「あの衝撃は今でも忘れない。」と語っていた。
1970年のパリでも、ポルシェは印象的な場面で現れる。後に上司になる女性社長が黒いシャツで黒いポルシェに乗り、エンジンをふかして走り去ったのだ。ただ、自分の愛車にしたのはブランドを設立した後のこと。前のクルマを街で盗まれ、「悔しくて寂しい気分を奮い立たせなくちゃ、ポルシェに乗ろう!と」決めたという。10歳で刻んだ憧れは、つらい出来事をきっかけに形になったのである。
40年以上、911に乗り続けるということ
それから40年以上、島田さんは911に乗り続けているそうだ。
今の3代目は濃紺で、つき合いはもう15年以上。故障しらずだそうだ。40年以上で3台という数字に、私は素直に驚いた。
記事では、島田さんにとってクルマは美意識の表現でもあると紹介されている。一方で「車内は自分だけの空間。歌ったり泣いたり叫んだり、好き放題リラックス、一人の時間を満喫できます」とも語る。ポルシェは見せるためではなく、自分がどうなりたいかのために買うものだと私は考えてきた。大事なのは、どんな気持ちで選び、どう向き合うかである。40年以上続いた911との関係は、その答えそのものだと感じる。
「粋なばあさん」は、言葉どおりに生きている

わが家の964カレラ2。1992年式で、30年以上前のクルマだ
同じVOCEの対談に、忘れられない一節がある。
「私は昔のインタビューで、「80歳になっても白シャツとスニーカーでポルシェに乗る、粋なばあさんでいたい」なんて言ったけれど、81歳の今、その通りに生きてるの(笑)。」と語っている。対談は2023年で、島田さんは今85歳になった。クウネルでは「白髪になったからポルシェが似合うのかしら?」とも話している。
ただ、乗り方は変わった。「昔はスピードも楽しみましたけど、今はプーロンマーケットの田舎道で安全運転、友人宅やゴルフ場に行くのを幸せと感じます。」という。パリ市内は規制が厳しくなり、運転する機会も減ったそうだ。一方で、クルマの方は手をかければ長く走り続けられる。私の964カレラ2も1992年式、アマゾングリーンメタリックのミツワ正規輸入車で、30年以上前のクルマを今も所有している。だから思うのだ。先に限界が来るのは、クルマではなく乗り手の方ではないかと。
私は、あと何年ポルシェを運転できるだろうか

新車から10年以上乗り続けている981ボクスターGTS
981ボクスターGTSとは、新車からもう10年以上のつき合いになる。
6速MTのこのクルマは、昨年(2025年)秋の時点で走行6万3000kmを超えていた。新婚旅行のドイツで991前期のカレラ4Sを約1週間借り、アウトバーンを走って「いつか必ず買う」と誓った末の、最初のポルシェである(その話は鈴木紗理奈さんが「1人で生きていく覚悟」で買った997に共感。ポルシェは人生を変えるのかに書いた)。新しいクルマほど性能は上がるが、官能性は減っていると私は感じている。718スパイダーRSとの違いは最後の官能か、GT3の咆哮か。981ボクスターGTSと718スパイダーRS、2台持ちオーナーが語る徹底比較にまとめた。
島田さんは16歳で免許を取り、85歳の今も911に乗っている。70年近い運転歴の中で、楽しみ方はスピードから田舎道の安全運転へと移った。私があと何年ポルシェを運転できるのかは分からない。ただ、その答えは年齢だけで決まるものではないのだろう。乗り方を変えながら、981や964と少しでも長く走り続けられたらいいと思う。
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