「EVのスーパーカーは誰も欲しがらない」とポルシェCEO|タイカン ターボGTに乗る私の答え

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ポルシェのライタースCEOが、911の上に置く新しいミッドシップのスーパースポーツについて「BEVは載せない。需要がない」と語った。BEVとは、エンジンを持たず、バッテリーとモーターだけで走るクルマのことだ。

EVの速さと楽しさは、タイカン ターボGTで身に染みて分かっている。「需要がない」は当たっているのか。それで良いのだろうか。

ポルシェCEO「需要がない」の中身

ポルシェ Mission S

ポルシェ Mission S(photo by Porsche Newsroom)

発言の舞台は、英国のクルマ専門誌Auto Expressだった。

2026年10月16日のAuto Expressの記事によると、対象はコンセプトカー「Mission S」が姿を示した、911の上に明確に位置する新しいミッドシップモデルだ。ライタースCEOは、そのプラットフォーム(クルマの土台となる骨格)がガソリン、ハイブリッド、プラグインハイブリッドに対応できると説明したうえで、”There won’t be a BEV on that platform: there is no demand.” と語った。量産時期は未発表である。

Auto Expressのコラムによれば、ポルシェは2022年に「2030年には販売の80%がEVになる」と見ていたが、新しい見通しは33%だ。ライタース氏は「911は決して電動化しない」とも言っているという。

ランボルギーニ、パガーニ、リマックも同じ答え

同じ答えを出したのは、ポルシェだけではない。

ランボルギーニは、初のEVになるはずだった「ランザドール」をプラグインハイブリッドで出すことに変えた。ヴィンケルマンCEOは、顧客のEV受容は「ゼロに近い」と話している。パガーニは「ウトピア」の電動版を、「誰も関心を示さなかった」ためにやめた。リマックの電動ハイパーカー「ネヴェーラ」は、当初150台の計画が、ネヴェーラRと合わせた71台で生産を終える。

三社に共通するのは、買い手の手が挙がらなかった点である。今年1〜9月、ポルシェは911だけが販売台数を伸ばした。911は12%増、タイカンは31%減だ。ただ911の伸びは、上位モデルを積極的に売り、生産枠を絞らなくなった結果でもある。数字だけで買い手の好みは決めつけられない。

それでもEVの良さは本物だ

タイカン ターボGT ヴァイザッハパッケージ

わが家のタイカン ターボGT ヴァイザッハパッケージ

だからといって、EVのスポーツカーがつまらないわけではない。

私のタイカン ターボGT ヴァイザッハパッケージは、0-100km/h加速2.2秒、最高速度305km/hに達する。タイカンターボGTの衝撃(後編)にも書いたが、1000馬力のうち必要な分だけを瞬時に引き出せる。回転の上昇を待つ必要はなく、全域がパワーバンドなのだ。サーキットで味わうような気持ちよさを、そのまま街中で感じられる。エレクトリックサウンドも、981の気持ち良さに引けを取らない。

重心の低さも、ガソリンエンジンでは絶対に覆せない壁だと感じた。鈴鹿の最終シケインでは、ボクスターや911より鋭く、安定して抜けていく。速さや運動性能では、EVが勝る場面も多いのである。また、カイエンEV ベースグレード試乗短評のとおり、電動カイエンはポルシェの新型の中でも群を抜いて好印象だった。

「需要がない」は当たっている。それでも私が見たいもの

718スパイダーRS

わが家の718スパイダーRS

CEOの「需要がない」という読みは、当たっていると思う。

理由は2つある。まず、若い人はEVに偏見がないと一般的に言われている。だが、こうした超高級なクルマを買う人は年配の人が多い。そういう人には、EVに抵抗や偏見を持つ人がやはり多いのだ。また、昔ながらのエンジンのクルマの良さを知っていて、それを求める人も多い。次に、EVは高性能なバッテリー、モーター、パワートレイン、室内のインフォテインメント(画面やナビ)が次々出てエンジンより早く陳腐化する(古びる)と思われる。この層がEVのスーパーカーを欲しがらない理由には、それもあるだろう。

それでも私の考えは、以前タイカンターボGTが変えてしまった私のクルマへの価値観に書いたときから変わらない。早くEVに移行して、スーパー911やスーパー718のような究極のモデルを作ってほしいのだ。EVとエンジン、それぞれの良さを生かす道は、理想論としては分かる。しかし今後の環境規制のもとで作れるのが、静かで制御の多いエンジンだけなら、今のままでは期待しにくい。

CEOの読みは正しいのだろう。では、それで良いのか。エンジンの官能性に未来を託せる時代ではない。それでも、981や991より前の古いポルシェのように、運転が本当に楽しく、官能性のあるエンジンのクルマの世界なら是非とも見てみたい。そして、EVで作る究極のポルシェの世界も見たいのである。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。 運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを...

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