毎日のようにポルシェ 911(964C2)に乗っている夫に、何が良いのか聞いてみた【後編】

ポルシェの魅力

空冷の感想後編を

先日、毎日のように911(964C2)に乗っている夫に、何が良いのか聞いてみた【前編】をご紹介したが、今回はそれに続いて後編をお届けしたい。

毎日のようにポルシェ 911(964C2)に乗っている夫に、何が良いのか聞いてみた【前編】

ただ、後編を書き終わった後に夫が「この前はそんな風に言ったけど、乗っていくうちにまた感覚が変わってきたわ」と言ってきた(笑)まぁでもせっかく書いたので、今の時点での内容をまずは掲載してみることにする。

空冷エンジンについて

991(964C2)のエンジン

「空冷エンジンは水冷とは違う」とか「空冷エンジンは良い!」という話をよく聞くが、夫はどう感じているのだろうか。

エンジンは、キーをひねると思った以上にすぐに目覚めてくれるわ。少しバラツキのある一瞬のアイドリングの後、すぐに回転は安定しするし、現代のクルマとそれほど大差は無いと思う。

と夫は言う。ドイツ車の設計思想に従って、夫はアイドリングによる暖気はせず、すぐにゆっくりと走らせながらエンジン、ミッション、可動部を温めていくようにしているそうだ。「車検証上の車両重量1410kgのボディを動かすには十分なトルクとパワーや」と言っていた。

他のポルシェの例に漏れず、964もアクセルの微妙な開度に忠実に反応するわ。踏んだら踏んだ分だけ進むという点はやっぱりポルシェやな〜とあらためて感じさせてくれる。

とのこと。

ただ「空冷のエンジンはよく回ると言われるけど、さすがに現代のボクスターや911と比べるとそうでもないというのが正直な感想」だそう。個体差や今までの使われ方にもよる所も多いとは思うが、夫の経験の範囲の中でいうならば、やはり現代ポルシェに軍配が上がるそうだ。(空ぶかし時などはフライホイールの重さなどに大きく影響されるので、実際に走ってる時の感覚だそう。)

ただ、誤解の無いように言うと、決して回らないエンジンではなくて、よく回るんや。ただそれ以上に、最新のポルシェの6気筒エンジンはもっとよく回るし、トルクフルでスムーズ。印象的には、空冷エンジンより、水冷エンジンの方がよりフリクション(エンジン全体の小さな「摩擦」や「抵抗」)が少なくて、かつ、圧縮率が高いエンジンのように感じる。(実際の数値ではなく、あくまで印象)

とのこと。そうは言いつつも夫は「空冷エンジンは良い!」と思っているそうで。これは最初の数日では分からなかったことだが「回転フィーリングとトルク感がなんともクセになる」言っていた。(私にはその感覚はまだ分からないけれど)

「なぜそう感じるの?」と聞いてみたところ、

上手く言葉で説明できひんけど「盛大なメカニカルノイズの割にはスムーズに回る」という相反する点がクセになるのかもしれん。空冷は、決して静かだと言えないエンジン音で、シリンダーの振動と音がそのまま外に聞こえてくる。これだけガシャガシャした音やと、一見スムーズに回りそうにもないのに、回すと伸びるし、トルクフルで、回転が高まると音も変わって、粒が揃った快音になる。そんな点が魅力に感じるんかなぁ。

と言っていた。

991(964C2)のエンジン音

では、空冷のエンジン音については?

「空冷エンジンの音は良い」ということに、異論はない。空冷のエンジン音は、アイドリング状態でもある程度しっかりと音量を響かせる。そのほとんどはメカニカル系のノイズで、排気音の割合は少ないわ。エンジンを回し、中回転~高回転なってもその割合は変わらへんし、爆発音、可動部のノイズや吸気音、タペット音などが混じり合い独特の音を聴かせる。
このアナログな音は現代のクルマではなかなか聴けへん、すごい味のある音やと思う。空冷エンジンの音が良いという人は、ここに魅かれるんやろうなぁ。

と言っていた。また「水冷のエンジン音」と「空冷のエンジン音」を比べるとこっちの方が良い!とは一概には言えないらしく、現代の水冷ポルシェと空冷ポルシェは、そもそもエンジン音のジャンルが違うと。

現代の水冷ポルシェのエンジン音は、空冷に比べると排気音の割合がもっと大きいと思う。ボクスターについても、エンジンの音ももちろん聴こえるけど、それと同等かそれ以上に排気音で聴かせてくれる。これを「作った音」とか「人工的な音」と感じる人もいるかも知れんけど、これはこれで快音や
無理やり例えるなら空冷のエンジン音は打楽器系、現代の水冷エンジンは管楽器系かなぁ。これで何となくのイメージはついてもらえるやろか。

とのこと。なので、水冷と空冷のエンジン音はどちらが良い音と感じるかについては、完全に好みの問題だし、比べて優劣をつけるものでは無いと思うとのことだった。

楽しさと 気持ち良さと  心強さと

現時点での夫の印象は「964カレラ2はツーリングマシン」だそう。芦有などのワインディングを攻めるなら、個人的には正直ボクスターGTSの方が『気持ちよさ』は強いと言っていた。そう思う理由は、ボクスターのミッドシップの安定した回頭性と、エンジンの突き抜けるようなエグゾーストノートとパワーからくる回転上昇のスピードにあると。

一方、ツアラー的な使い方なら、964はボクスターより疲れない感じがするそうだ。(ただ、これについては911でそこまで長距離を走っていないので、後日印象は変わるかもしれないとのこと)どう考えても音や振動はボクスターより多いが、接地感の強さやボディのしっかり感などがそう思わせるのではないかと。そのため『心強さ』みたいな感覚は911の方が強い。

というわけで、最も911(964C2)で走りたくなる道はというと…それは「カントリーロード」だとのこと。

日本で言うなら、嬬恋パノラマラインとか、岡山の美作やまなみ街道、日本各地の広域農道がベストやろうなぁ。欲を言えばドイツのロマンチック街道なんかは最高やと思う。ティプトロニックを2速、3速に固定して、適度なペースで空冷のエンジン音を聞きながらクルージングするのは最高。
シャカリキになって飛ばすのではなくて、エンジンのメカニカルノイズをBGMに、少しハイペースを維持しながら緩やかなカーブを一つ二つと駆け抜けていくというシチュエーションがよく似合う。タイトコーナーではちゃんと荷重移動を意識しながらコーナーに入り、トラクションを後輪にしっかりかけてコーナーを抜けていく。
そんな『楽しさ』が空冷911にはあると思うんや。

と言っていた。はやくも夫は完全に空冷にはまっている(笑)。私が買い物などに出掛けるというと「空冷で行けば?」とやたら言ってくるのだが…やっぱり私は、パナメーラの方が好きなのと、空冷で20分以上運転すると後部座席の娘たちが暴れ始めるので、なかなか夫と空冷の楽しさを共有できるところまでは行っていないけれど…おりをみてまた乗りたいなぁと思う。

Mina

ポルシェブログ「ポルシェがわが家にやってきた」管理人、3児の母。数年前までは、車に全く興味が無かったが、夫がポルシェを買ってきたことをきっかけにポルシェの素...

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Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

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  • コメント ( 2 )

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  1. インヂュニア

    こんばんは!

    ご主人に空冷レポートを楽しく読ませて頂きました♪

    空冷へ入信されて日が浅いのに的確なレポートで感服致しました。
    私なんてついに964に乗って四半世紀になるのにここまで上手く表現出来ていませんでした。

    >ほとんどはメカニカル系のノイズで、排気音の割合は少ない
    そうなんですよ!!!

    やはり私は個人的に排気音がメインな現代スポーツカーよりも、エンジンシリンダーの擦れる音とオイルが循環するジョロジョロ音の聞こえる空冷が大好きです♡

    • MinaMina

      インヂュニアさん
      いつもコメント有難うございます!
      そんな風におっしゃって頂き恐縮です。

      >オイルが循環するジョロジョロ音の聞こえる空冷が大好きです♡

      夫が頂いたコメントを見て「そう!そう!そうなんや!このジョロジョロ音がたまらんのや!」と大興奮しておりました笑
      エンジンをかけても「はやくオイルが温まらんかな〜」と、あの音を待っている自分がいると。

      構造がアナログで、まるで血が通っている生き物のような気がして、
      エアコンのヒューヒュー音も含めてたまらないそうで、録音してずっと聞いていたいくらいだそうです(笑)