タイカンで痛感するCHAdeMOの限界。日本のEV充電インフラはNACSに変わるべきだ
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タイカンと富士スピードウェイ、そして充電の憂鬱
先日、妻のタイカン4Sクロスツーリスモで富士スピードウェイの方面まで足を伸ばした。
走りそのものは申し分ない。問題は、道中で立ち寄る「充電」だ。高速道路のサービスエリアにあるe-Mobility PowerのCHAdeMO急速充電器に寄ったのだが、この充電プロセスの煩雑さが、EVそのものへの印象を悪くしていると改めて感じた。
誤解のないように言っておくと、EVの充電が面倒なのではない。CHAdeMOの仕組みが面倒なのだ。
CHAdeMOという「修行」
CHAdeMOのコネクタは、とにかく重い。
両手でしっかり持たないとポートに差し込むのが難しいほどの重量がある。妻が外出先での充電を避けたがる気持ちはよくわかる。そしてこの物理的なハードルを超えた先に待っているのが、認証プロセスという名の迷路だ。
e-Mobility Powerなどの充電器では、QRコードを読み取り、ウェブサイトにアクセスし、氏名やクレジットカード情報を入力しなければならない。私は自宅充電がメインなので会員になっていないため、ゲスト利用のたびにこの一連の手順を繰り返すことになる。同じ日に複数回充電しても、その都度入力だ。一切、情報は保存してくれない。
さらに腹立たしいのが、CHAdeMO規格は安全性を重視しすぎた結果、堅牢すぎる設計による車両との事前通信によるエラーの多さと理不尽な課金である。苦労して入力を終え、やっと充電が始まったと思った瞬間にエラーで停止する。それだけならまだしも、充電できていないにもかかわらず初期料金の数百円はしっかり引き落とされている。
これはユーザーの利便性よりも、運営側の都合やクレーム防止を優先した前時代的なシステムだと言わざるを得ない。



NACSを知ると、もう戻れない
わが家にはテスラ モデル3もある。だからこそ、NACS規格との差を日常的に痛感している。
NACSでの充電は驚くほどシンプルだ。

NACS:単に挿すだけ、充電の開始操作も、クレジットカード情報の入力も、個人情報の入力も一切不要、5秒で終わる。
コネクタは片手で軽々と扱えるコンパクトな形状で、ケーブルをポートに挿す。それだけで認証も決済もバックグラウンドで完結し、わずか数秒で充電が始まる。QRコードも、個人情報の入力も、アプリの操作も一切ない。北米ではすでにポルシェもNACSアダプターの提供を開始しており、2026年モデルのタイカンとマカンエレクトリックにはアダプターが標準装備されている。GM、フォード、ヒョンデ、日産、ステランティス傘下のブランドなど、世界の潮流は明確にNACSへ向かっているのだ。
日本国内でも変化の兆しはある。ソニー・ホンダのAFEELAが国内初のNACS採用車となり、マツダも2027年から国内向けにNACS搭載を発表した。ABBはCHAdeMOとNACSのデュアル対応充電器の日本出荷を2026年に開始する予定である。CHAdeMOは日本発の規格であり、V2H(ビークル・トゥ・ホーム)技術では先行する強みもある。しかし、海外市場で主流規格から外れつつある現実は否定できないだろう。
PCAの現在地と、ポルシェジャパンへの願い
今がチャンスだと、私は本気で思っている。
ポルシェジャパンが展開するPCA(プレミアム・チャージング・アライアンス)は、全国約370拠点・385基以上の急速充電器ネットワークを構築した。2025年にはレクサスとの相互利用も始まり、プレミアムブランドの充電インフラとしては着実に成長していると思う。
しかしPCAの充電器はすべてCHAdeMO規格の最大150kW出力だ。今後さらにネットワークを拡大するなら、新設分についてはNACS規格の採用を検討する価値が十分にあるのではないだろうか。

ポルシェのオーナー層は年齢も幅広い。スマートフォンの複雑な操作に不慣れな方も少なくないはずだ。
「ケーブルを挿すだけで確実に充電が始まる」というシンプルさこそ、ポルシェというブランドにふさわしいと感じる。
私は以前、ポルシェジャパンから届いたPCAについてのアンケートにも日本国内での早期NACS対応と、既存オーナー向けアダプターの提供を渾身の熱意を込めて、以下のように詳しく回答した。この記事を読んでいるポルシェオーナーの方々にも、同じ思いを持つ人は多いのではないだろうか。
ポルシェの急速充電インフラについて、今後はCHAdeMOではなくNACS規格(SAE J3400)を採用していただきたく、また既存ユーザー向けに北米同様のNACS用DCアダプターの日本版(タイカン等がNACSスタンドを利用できるアダプター)の提供をご検討いただきたく存じます。
私は現在、テスラ車とタイカンを所有しており、日常的にNACSとCHAdeMOの両方を利用しています。その経験から申し上げると、利便性・操作性・ユーザビリティのいずれを取っても、NACSの方が明らかに優れており、充電開始エラーもほとんど発生しません。一方でCHAdeMOは、車両側・充電器側での認証や安全確認の手順が複雑で、機器メーカーや個々の充電器の条件差に敏感であり、実際の運用では「充電開始に失敗する」「やり直しになる」といったトラブルが起きやすいと感じています。
NACSは、単一のコンパクトなコネクタでAC普通充電とDC急速充電の両方に対応し、「ケーブルを挿すだけ」で認証・決済まで完結できるシステムとして設計されています。世界的にも、北米を中心に多くの自動車メーカー(GM、フォード、ヒョンデ/Kia、日産、ステランティス傘下ブランドなど)がNACS採用を表明しており、今後のグローバル標準の有力候補と見なされています。
一方でCHAdeMOは日本発の優れた規格であり、安全性や保護機能そのものは高く評価されるべきだと思いますが、コネクタ形状が大きく、アプリ操作・会員認証・複数ボタン操作など、実際の充電プロセスはどうしても煩雑になりがちです。海外ではCCSやNACSへの移行が進み、CHAdeMOの比率が年々低下している地域もあるなど、世界的な潮流としても主流規格から外れつつあります。 
ポルシェジャパン様は、ポルシェターボチャージングステーションやデスティネーションチャージング、Premium Charging Alliance(PCA)など、日本最大級のプレミアム充電ネットワークをすでに構築されており、2025年5月時点でPCAだけでも全国375拠点/390基の急速充電器を展開されていると理解しています。
現時点ではまだネットワーク構成を将来の標準規格に合わせて見直す余地がある段階だと思いますので、「今ならまだNACS規格への転換を先導する立場を取ることが可能」だと感じています。また、ポルシェのオーナー層は年齢層も幅広く、スマートフォンアプリや複雑なインフォテインメント操作に不慣れな方も少なくない印象です。そうしたお客様にとっても、「ケーブルを挿すだけで確実に充電が始まる」というシンプルで分かりやすい体験は、ポルシェブランドにふさわしいプレミアムなユーザーエクスペリエンスにつながると考えます。
以上の理由から、今後の新設・更新分の急速充電設備については、ぜひNACS規格の採用をご検討いただきたく存じます。また、既存のタイカンオーナーをはじめとするユーザーに対しても、北米市場でのNACSアダプター提供と同様に、日本国内でNACSスタンドを利用可能とするアダプターを早期にご提供いただければ大変ありがたく思います。
ポルシェの電動化戦略とプレミアムな充電体験が、今後も世界のEV市場をリードしていくことを期待しております。
日本のEV充電インフラがより良い方向に進む一助になればと思い、あえてこの記事を書いた。
どうか、ポルシェジャパンさんの目に止まりますように。
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