探偵!ナイトスクープ「父に内緒でポルシェを売りたい」に思う。996を見抜いた父と、家族に我慢させないこと

ポルシェのエンブレム | 車, エンブレム, PORSCHE
ポルシェ・911

「父に内緒でポルシェを売りたい」という依頼

番組で紹介されたポルシェ996

出典:探偵!ナイトスクープ公式X

10月9日の『探偵!ナイトスクープ』は、ポルシェ乗りには見逃せない回だった。

ABCテレビの『探偵!ナイトスクープ』は、視聴者の依頼を探偵が解決する番組だ。関西ローカルだが、TVerなどで見逃し配信もある。今回の依頼者は東京都の26歳の女性。6人きょうだいの次女である。依頼は「父に内緒でポルシェを売りたい」というものだった。

写真家の父が、また家族に内緒でクルマを買ってきた。値段を明かしたのは3か月後で、答えは「200万」。父はすでに5台のクルマを持っている。家族に運転させることも、乗せることもないという。

母は激怒した。冷蔵庫(冷凍庫)の調子が悪いと知っていたのに、趣味全開のクルマを買ってきた、と。父がいる時は2階にこもり、顔を合わせない日が1か月以上続いたのだ。普段は名前で呼び合う、仲の良い夫婦だという。

クルマは黒の996型911。1990年代末から2000年代前半に作られた911で、走行は13万3000km。レース由来の高性能モデル「GT3」風にカスタムされていた。ポルシェ専門店の査定は100万〜150万円。きょうだいは売ったお金で母と北海道旅行に行きたいと考え、家族は「売ります!」と即決した。

見た目を変えても、父は自分の996を見抜いた

番組の山場は、探偵が用意した「ラストチャンス」である。

GT3仕様のカスタムを元の状態近くに戻し、父の前に置く。自分のクルマだと気づけるかを試したのだ。父は「かっこいいですね」「GT3のパーツをこだわって使っている」と言いながら、違和感に気づいていく。そして「自分の相棒はエクボやニキビの位置までわかっている」と見抜いた。

この場面には強く共感した。見た目を変えられても、自分のクルマだと分かる。すごいことだと思う。私もたぶん分かるだろう。外装や内装を変えても、そのクルマがまとうオーラや雰囲気、魂のようなもので分かるはずだ。

ドアを開けた時の空気、シートに座った時の目線、エンジンをかけた瞬間の震え。毎日のように触れていれば、そうした細かな感覚は体が覚えている。ポルシェは、そういうクルマなのである。

父は最後に「順番を間違えたのは反省している。売った後に普段通り奥さんが話をしてくれるのであれば安いもん」と語った。両親は1か月ぶりに顔を合わせ、娘さんは涙を流している。特命局長のYOUさんが「予期していなかった感動」と評したのも、うなずける結末と言える。

わが家も事後報告は多い

メルセデス・ベンツSL500(R129)

以前乗っていたSL500(R129)

番組を見て、わが家のことを思い出した。

クルマを買う時、妻にはあまり相談しない。ほぼ決めてから「これ買うわ」と話すのだ。内緒にするつもりはないが、「注文してきたわ」と後から伝えることもよくある。718ケイマンTの時は「買ってきたわ」だった。メルセデス・ベンツのSL(R129)も、「あれ買うわ」と言ってから後で伝えたように思う。

それでも、妻が反対したことはほぼない。せいぜい「こっちの方がいいんちゃうの」と言われる程度だ。妻の意見で購入をやめたり、変えたりしたことも今のところない。

事後報告という点では、番組の父と大きな違いはないのだろう。では、なぜわが家では揉めないのか。理由ははっきりしている。

クルマを楽しむ条件は、家族に我慢させないこと

番組公式Xの予告投稿は、これまでに700万回以上表示されている。

放送前から、「犯罪幇助?」「これ放送して大丈夫!?」という声がある一方で、「ポルシェ買うお金があるなら家族旅行くらい行けそう」という冷静な声もあった。私が気になったのは後者である。クルマの話は、結局お金と我慢の話になりやすいからだ。

わが家の家族が納得しているのは、クルマが多くても、家族に何も我慢させていないからだと思う。経済的な我慢を強いていたら、妻も反対するだろう。最初から、経済面で一切心配をかけないことを目標にした。文句を言わせない。その上でクルマを楽しむ。そう決めていたのである。

だからこそ、番組の父に一つだけ聞いてみたい。そこまでポルシェが好きで5台持っているなら、たとえば3台を手放し、ポルシェと家族用のクルマを残す道はなかったのか。全部売ると家族の移動が困る。だから家族用は残す。本当にポルシェが好きなら、それくらいやってほしい。

エクボやニキビの位置まで分かる相棒。そこまで向き合えるクルマがあるなら、家族との時間と両方を守る方法もきっとある。ポルシェを長く楽しむ秘訣は、案外そこにあるのではないだろうか。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。 運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを...

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  1. Taro

    知らない間に964がガレージから消えた?
    私も家族にポルシェを売られてしまったクチである。
    妻にも愛着を持ってほしくて、名義を妻にしたのが間違いだった。色もピンクだし、妻も気に入るだろうなんて私の考えは甘かった。
    私の場合、売って半年以上たってからの事後報告だった。
    私は番組を見ていないけど、価値観の違いによる残念な出来事だと思う。
    一番残念なのは、私にとっても964は「儲けたら、また買えばいいや!」と言う気持ちになれない事かな。