【試乗記】マカンGTS – 乗って分かったマカンの前期型と後期型の違い

マカンGTSのメーター
レビュー・試乗記

夫が、ポルシェマカンGTSを試乗させて頂いたので、その感想を記事にしてくれた。よろしければ、ぜひご覧ください。


先日、マカンのマイナーチェンジモデルの発表があったばかりだが、時を同じくして、マカンGTSの後期型(いずれ中期型となる)に試乗する機会を頂いた。今回は以前に乗ったことのある前期型ターボとの比較という視点を中心にレビューしてみたい。

マカンGTS

今回のマカンは2021年式(MY2022)のGTSで、バルカノグレー メタリックに彩られたシックな雰囲気の一台だ。20インチのRSスパイダーホイールに、ボディ同色エンブレム、そしてアルカンターラのGTSスポーツシートがとてもスポーティーだ。

マカンGTS

走りの面ではGTSなので、スポーツエグゾーストやスポーツデザインパッケージは標準装備。それにスポーツクロノパッケージ、PSCB(ポルシェ サーフェスコーテッドブレーキ)、そしてPTV Plus(ポルシェ トルク ベクタリング プラス)まで装備された走りの一台だ。

今まで、マカンはマカンターボ(いずれも前期)を2台ほど乗っており、その試乗記も書いているが、マイナーチェンジ後のモデルはこれが初めてとなる。

マカンGTSを試乗 走り出してみると?

エンジンをかけると、GTSらしく大きめの音量で目覚める。前期型のターボとほぼ同じくらいの音量だ。2.9LのV6エンジンは380psを発生。

走り出すと、PDKの変速がとても滑らかだ。いや、優しいと言おうか。スルスルと速度は上がり、このGTSも当然ながら、マカンらしいスポーティーな動きは健在。この個体の場合、エアサスではなくバネサスだったが、正直、言われないとほぼ気づかない。

強いて言うなら、バネサスの方がストロークの中に芯があるというか、ダンピングがよく効いているような印象だ。もちろん、同時に比較試乗したらエアサスの方が乗り心地は良いと思うが、普通に乗ればまず分からないレベルだ。

マカンの内装

もうあえてマカンの走りについては言うまでもないのだが、スポーツモードに変えて、コーナーへ侵入するも何も起きない。普通のスポーツカーのように余裕しゃくしゃくで駆け抜けていく。ここで前期型との違いを探すも挙動的にはほとんど差はない。神経を研ぎ澄まして、味わうように曲がってみると、僅差だが、後期型の方が挙動がほんの少しマイルド、いや、さらに運転しやすく、マナーが良くなったような印象を受ける。

もちろん、エアサスとバネサスの違いも大きいとは思うが、前期型はもう少しやんちゃな動きで、後期型は安定志向というのが私が感じた印象だ。ただ、これは本当に微妙な差であり、個体差もあるので、参考程度に留めておいてほしい。

ポルシェのPSCBのブレーキ

あと忘れてはならないのが、PSCBの効果だ。PSCBとはポルシェの公式の説明では以下の通りだ。

革新的なポルシェ サーフェスコーテッドブレーキは、従来の灰鋳鉄ディスクにタングステンカーバイドコーティングが施されています。この効果はすぐれた耐摩耗性だけでなく、摩擦係数を改善してブレーキの応答性を向上させます。ブレーキダストが減少し、灰鋳鉄ブレーキの耐用年数が20-30%延長されます。外見上も美しく、ブレーキキャリパーはホワイトに塗装されており、ディスクの表面は慣らし運転の後に鏡面に変わります。PSCBは、19インチ以上のホイールとの組み合わせでのみご利用いただけます。

ほとんどブレーキダストもかなり少ないようで、手入れも楽だそうだ。そしてブレーキのフィーリングはかなり素晴らしい。もともとポルシェのブレーキのフィーリングはとても素晴らしいが、通常のブレーキよりも、もっと足の踏力に対し緻密に反応するという感じだ。PCCBとどう違うか?と言われると難しいが、たぶん、事前に聞かされずに乗るとほとんど分かる人はいないのではないだろうか。

ストッピングパワーも当然ながら素晴らしく、911やボクスター、ケイマンでも選べるようにしてほしいオプションだ。

PDKとエグゾーストの違い

次にスポーツプラスにして加速してみると、前期ターボとそれほど違いは感じない。それだけ後期のGTSは速いのだと思う。エグゾーストノートは低速域では前期より静かだが、回すとGTSらしい音量になる。音質的には前期ターボの音と比較するとやや低めの音質のように感じた。これはGPF(ガソリン微粒子フィルター)の影響があるのかもしれないが、音自体は悪くない。

マカンのセンターコンソール

そして私が思う一番の違いはPDKが違う。スポーツプラスにしてパドルシフトで変速してみると、かなり洗練された変速になっている。前期型の「これは911か?」と思うほどの「バシュン!バシュン!」と唐突にクラッチを繋げる感じではなく、ただでさえ少ない変速ショックがさらに少ない洗練された制御になっている。これは911の991世代と992世代でも多少感じる点でもある。

この制御はわが家にあった971パナメーラターボのPDKとよく似ていると思った。当然、ATモードで走らせると、変速マナーはとてもよく、非常に滑らかな制御だ。マカンの前期は駆動系の故障が比較的多いと聞くので、何か安全方向に制御が変わったのかもしれない。

マカンGTSを試乗しての総評

前期も後期も、『マカンは完全にスポーツカーである』ということに違いはない。このオーナーさんは911のナローや356もお持ちの生粋のポルシェオーナーの方だが、「完全に走りはポルシェのクルマで、911はいらないんじゃないかと思うほど素晴らしい」と言われていたのもよく分かる。

マカンのエンブレム

そのくらい運動性能の高いクルマであるが、一方で5人が乗れて移動できるクルマでもある。そして、後期型はスポーティーさはそのままに、快適性にもさらに磨きをかけてきたように感じるのだ。

前期型の少し尖ってた角を少し丸くして、もう少しフレンドリーにしたとでも言おうか。そう言うと、面白くなくなったかのように捉える人もいるかもしれないが、そんなことはない。

走りの面白さは後期型でも健在だ。

しばらくすると、新型のマイナーチェンジ後のモデルが日本にもやってくると思うが、また機会があればそちらも試してみたいと思う。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

プロフィール

このブログが気に入ったらフォローしてね!

コメントを閉じる
  • コメント ( 0 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. この記事へのコメントはありません。