カイエンEV ベースグレード試乗短評|ガソリンのカイエンはもう勝てないと思った

ポルシェの充電スペースに停まるセージグリーンの電動カイエン
レビュー・試乗記

ベースグレードでも驚くほどパワフル

走行する電動カイエン(Cayenne Electric)のフロント

photo by Porsche Newsroom

電動カイエンのベースグレードは、本当に非常にいいクルマだった。

ポルシェの新型モデルにはほぼ毎回乗っている。その中でも、群を抜いて好印象だと言っていい。乗れた時間は短かったので今回は短評とするが、それでも書かずにはいられなかったのだ。

マカンやタイカンのベースグレードは、EV(バッテリーとモーターで走るクルマ)として乗ると、パワー感やトルク感(踏み込んだ瞬間に押し出される力)に少し物足りなさを感じることが多かった。電動カイエンは違う。本当にパワフルなのだ。あの巨体なのに重さを全く感じさせず、もっさり感もない。軽快と言っていい。

モーターの力の出方も気持ちいい。EVにありがちな唐突感がなく、とにかく滑らかである。一方で、環境規制に合わせて燃費寄りに振った昨今のガソリンエンジンのクルマのような、出足や低速域の物足りなさも全く感じない。滑らかで力強い、その両方がきちんと成立している。

数字も確認しておきたい。ベースのCayenne Electricの出力は通常300kW(408PS)。ローンチコントロール(停止状態から最速で発進するための制御)を使うと325kW(442PS)、最大トルクは835Nmとなる。0-100km/h加速は4.8秒、最高速は230km/h、WLTP(国際的な測定基準)での航続距離は最大約640kmだ。最上位のTurbo Electricはローンチコントロール時に850kW(1,156PS)に達するが、ベースでもこの数字なら力不足とは無縁だろう。

ハンドリングはまごうことなきポルシェ

海辺に停まる電動カイエン(Cayenne Electric)のサイドビュー

photo by Porsche Newsroom

ハンドリングは、まごうことなきポルシェである。

ステアリングを切ると、きちんと効いてくる。タイヤが路面をつかんでいる感覚、いわゆる接地感は圧倒的で、操作に対する反応も正確そのものだ。言うことなしと感じた。

EVならではの速さだけなら、テスラも得意としている。だが、このステアリングの手応えと接地感はテスラにはまねできないレベルだと思う。重いバッテリーを積むEVで、ここまでポルシェらしい操縦性を実現している。そこにこそ、このクルマの価値があるのではないか。

スポーツでV6、スポーツプラスでV8のような音

電動カイエンのコクピットとステアリング

電動カイエンのコクピット

音の演出が、想像以上によくできていた。

まず、普段はうるさくない。走行モードをスポーツに切り替えると、V6エンジンのような粒のそろった音が聞こえてくる。ずっと運転していたくなるほど、ちょうどいい音だと思う。

スポーツプラス(最も走り寄りの走行モード)にすると、ベースグレードなのにV8のようなドロドロした音に変わる。完全なエンジン音ではなく、電子音やモーターらしい音に、適度なエンジンっぽさが混ざった感じだ。非常にパワフルで、非常に気持ちいい。

ガソリンのカイエンはもう勝てない

EVに偏見を持つ人は、まだ多い。

だが電動カイエンは、そうした先入観を覆す、目からうろこのレベルのすばらしいクルマだ。乗り心地がよく、パワフルで、ウルトラスムーズ。運動神経も抜群で、すべてがそろっている。ガソリンのカイエンは、もうこれに勝てないと思う。

X(@boxster_gts)の私の投稿にも、電動カイエンに乗ったブログの読者やオーナーの方々から返信をいただいている。皆さん口をそろえて、すばらしいクルマだと言っているのだ。短い試乗だったが、その評価に心から納得した。

EVだからと敬遠している人にこそ、一度ハンドルを握ってほしいクルマである。ポルシェらしい走りを求めるなら、ベースグレードでも十分すぎる選択肢となるだろう。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。 運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを...

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