父はメルセデス、母はポルシェ!ベンツ500EをさらにAMGがチューニングしたE60に試乗

AMG E60(W124)
レビュー・試乗記

両親はポルシェとメルセデスの500E

皆さんは500E(後期はE500)というW124型のメルセデスのEクラスをご存知だろうか?

現在のEクラスの初代のご先祖様でである、このW124型のEクラスは、もともと230Eや300Eがあったが、当時のメルセデスの最高級スポーツカーであるSL500のV8エンジンを積むために作られたのが500Eというモデルになる。

AMG E60(W124)

この500Eの開発にあたってはポルシェのバイザッハ研究所が担当し、一部の生産工程も1992年までポルシェの工場で行われていたそうだ。つまりは、父はメルセデス、母はポルシェという、素晴らしい血筋を持つクルマがこのW124型の500Eになるのだ。

AMG E60

そして、そのスーパセダンである500EをさらにAMGの手によってチューニングしたのが、今回レポートするE60である。

このE60、諸説あり世界限定50台とも60台、200台とも言われているが、いずれにせよ激レアのクルマであることに違いはない。

AMG E60(W124)のリアシート

AMG E60(W124)

大きな違いはそのエンジンにある。もともとのSL500に搭載されていた5リッターのV8エンジンをさらに拡大し、6リッターに変更。これにより、馬力は330psから、381psにまで拡大。0−100km/hの加速は6.1秒から5.3秒へと大幅に速くなっている。

他にもAMGサスペンション、AMGマフラー、そして2トーンのシートインテリアが主な特徴だ。

AMG E60を運転してみると

乗り込んでドアを閉めると、現代のクルマでは絶対にない「ガチャ」っという金属音。空冷ポルシェのドアの音にも似た音で、剛性の半端なさ、作りの丁寧さがよくわかる。エンジンの始動はとてもスムーズで静かだ。

この辺りの雰囲気は以前乗っていたR129のSL500にとてもよく似ている。

懐かしいジグザクゲートのシフトレバーをDレンジに放り込み、やや重めのアクセルをゆっくりと押し込むと、とても滑らかに発進する。今のメルセデスにはない重厚感と安心感で、とても強固なシェルの中で運転しているような感覚だ。

ステアリングは低速ではとても軽い。もともと重いステアリングをしっかりとアシストしているような感覚だ。これも今の電動パワステとは感覚が違い、軽い中にも粘り気のようなものがあり、回転フィールの滑らかさが際立つ。

AMG E60(W124)のメーター

スピードメーターは真ん中に大きく、タコメーターはその脇にある。あくまでエンジンは黒子役というのがメルセデスの哲学。

エンジンはAMGと言えども必要以上に主張しない。これぞ本来のメルセデスである。あくまでエンジンは動力源に徹し、ドライバーに余計な意識を向けさせない。この時代のメルセデスのメーターは大きなスピードメーターが真ん中で、少し小さめのタコメータがその横ということからも、その哲学が垣間見える。

低速域では意識してタコメーターを見ないと、どのくらい回っているのかよく分からない。ATもとても滑らかで、余計な変速ショックは感じない。

このステアリングの軽さだと、少しカーブが不安なのでは?と思いながら、カーブに侵入。しかし、そこはメルセデス。国産高級セダンのような腰砕け感は一切無い。

軽かったステアリングの手応えは増し、横Gに比例して安定感が増してくる。狙ったラインを外すことなく、ただただ実直にドライバーからの指示を全うする。コーナーに入る直前まで危惧していたような不安感は全く無いことに気づく。

乗り心地に関しても、SLから譲り受けた足回りはとても良い仕事をしてくれている。舗装が綺麗な所と凹凸の多い所での乗り心地の差が少ない。高いレベルでまとめており、伝統的なメルセデスの乗り心地である。

どんなシチュエーションでも、どんな運転でも限りなく同じクオリティで乗員を安全に運ぶというメルセデスの哲学がここでも色濃く感じられた。

AMG E60(W124)の内装

直線でアクセルを少し踏み込むと、V8の重低音が少し響いていくる。決して下品ではなく、心地よい音だ。キックダウンして少し沈み込むような感じで、E60は猛然と加速していく。

もちろん、今のスーパーセダンに比べれば、速いというほどではないが、それでも十分な加速力である。

高速域での安定感、路面のアンジュレーションに対する直進性も優れており、これで長距離の高速クルージングをすれば、さぞかし気持ちが良いことだろう。

これぞ「最善か無か」

試乗を終えて、マジマジと外装を確認する。今ではコンパクトに見えるサイズだが、とても塊感があって格好いい。そして質実剛健を表したかのような直線的なデザイン、折目正しいプレスラインと、500Eならではのオーバーフェンダーからは伝統的なスーツのような美しさを感じる。

AMG E60(W124)

さらに、今回乗ってみて思うのはメルセデスの過剰品質ともいうべき、作りのシッカリさだ。30年近く経っても色褪せないボディ剛性、接地感、パワフルなエンジン。

そして、安全を考慮した重めなアクセルや、ブレーキ、迷うことなく使えるボタン類に、見やすい速度計、全てが最高の『道具』として作られている。

これほどまでに、『クルマとはこうあるべきだ』というワガママともいうべき哲学を持ってクルマ作りをするメーカーはなかなか無い。特にこの時代のメルセデスはその傾向が強いように思う。

最善か無か?』というのはメルセデスの企業理念を表す言葉として有名だが、今回、AMG E60は、まさにその言葉を具現化したクルマであると評したい。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

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  • コメント ( 2 )

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  1. さんたろう

    いつも楽しく読ませていただいております 当方も500Eに乗っておりますが、まさにご指摘の感覚を
    もっておりますので共感いただけてうれしいです。ほかのセダンには乗れないと感じています
    あとは残りの所持車 A110 乗る機会あれば印象を是非お聞きしたいです。

    1
    • HiroHiro

      さんたろうさん、こんにちは。
      500Eにお乗りなんですね!羨ましいです。
      手を抜かずに作ったいいクルマ、いい道具だな、とつくづく思いました。
      A110もお乗りなんですね。
      以前から興味があり、試乗に行きたいなと思いながら、いまだに乗れてないので、
      いつか機会があれば、またレポートさせていただきますね。