タイカンとパナメーラが統合される?両方を所有した私が思う「名前より大事なこと」

ポルシェニュース

あの二台、実によく似ている

タイカンターボGTとパナメーラターボ971。両方を所有した立場から言えば、この二台は確かによく似ている。

サイズ、シルエット、ポルシェのグランドツーリングセダンとしての立ち位置。パナメーラの方が若干大きく、タイカンは少しコンパクトでスマートなデザインだが、並べると同じ遺伝子を持つ兄弟のように見える。どちらも「速くて快適なポルシェの4ドア」という役割を担うモデルだ。いつかは何らかの形で統合されるだろうと感じていたが、こんなに早く正式な議論になるとは思っていなかった。

新型パナメーラターボ

パナメーラターボ(971)

ポルシェタイカン

タイカン 4Sクロスツーリスモ

新CEO主導のリストラ案、その背景

今回の報道の背景には、ポルシェの深刻な財務状況がある。

今年就任した新CEO、マイケル・ライターズ(元マクラーレンCEO)が打ち出したコスト削減策の一環として、タイカンとパナメーラを単一モデルラインに統合する案が浮上している。プラットフォーム開発の遅延に伴い18億ユーロの減損を計上しており、二つのセダンモデルを並行開発し続けるコストが重くなっているのだ。ただし、完全に同一のクルマに統一するのではなく、マカンとカイエンのようにICE/PHEVとEVで別プラットフォームを維持しながら一つのモデルラインとして管理する案が有力とされている。

どちらの名前が残るかはまだ決まっていないが、パナメーラの方がブランドとしての歴史が長い。2025年の販売実績でもパナメーラはタイカンの約1.7倍の台数を売り上げており、名前が生き残るのはパナメーラになるのではないかというのが私の見立てだ。そうなれば、タイカンは前期・後期あわせて事実上一世代限りのモデルとして歴史に刻まれることになる。

名前より重要なこと。動力プラットフォームが走りを根本から変える

ただ、私が気になるのは名前の話ではない。

タイカンとパナメーラは、単にガソリンかEVかというだけでなく、プラットフォームの設計思想がまったく異なる。タイカンはバッテリーをフロアに敷き詰めた専用EVアーキテクチャを採用しており、重心が極端に低い。パナメーラターボ971と比べると、この差は一般道を走るだけではっきりと分かる。街中のストップ&ゴーでの俊敏さ、高速道路での圧倒的な安定感、山道でギアチェンジ一切なしにアクセルひと踏みで瞬時に最大トルクが出る即応性。両方を所有した私の実感として、一般道での運動性能はタイカンの方が明らかに上だ。

ニュルブルクリンクのような大型サーキットでフルに走れば、その差は縮まるかもしれない。しかし日常的に使う一般道やワインディングでは、低重心プラットフォームの恩恵は圧倒的だと感じる。エンジン車のように音や振動でドライバーを鼓舞するタイプの速さではなく、物理的な動きそのものが研ぎ澄まされた感覚がある。パナメーラターボも非常に速く、快適なクルマだった。だが「走りの質」という軸で比べたとき、両者は同じカテゴリーにいながら、明らかに異なるステージに立っている。

ポルシェタイカン

統合するなら、ポルシェに期待したいこと

タイカンが一世代で終わるとしたら、ある意味で歴史的なクルマになるかもしれない。

前期・後期はあったとはいえ、一代限りのモデルとして数年後に希少価値が出てくる可能性もある。EVとして先進的でありながら、後継モデルにその名が受け継がれなかったクルマ。そういう文脈で語られる日が来るかもしれない。それはそれで、乗っていた者としてはちょっと誇らしい気もするのだが。

統合後のモデルに対しては、いくつか期待することがある。動力の選択肢はICEとEVの両方を残してほしい。そしてできれば、サイズをもう少しコンパクトにしてほしいというのが正直なところだ。タイカンもパナメーラも大柄で、日本の道では持て余す場面がある。さらに言えば、ポルシェなのだから4ドアにこだわる必要はない。2ドアのラグジュアリークーペという選択肢があれば、より「ポルシェらしい」モデルになると思う。名前がどうなろうと、走る楽しさと洗練された動力性能を両立させたクルマを作り続けてほしい。それがポルシェに対する変わらない期待だ。

Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。 運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを...

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