新型ポルシェ911(992)試乗記 一般道での走りやいかに?【後編】

新型ポルシェ911(992)試乗記
各車試乗レポート

新型ポルシェ911(992)試乗記【前編】に続いて、今回は後編をお届けしたい。

新型ポルシェ911(992)、試乗

ワインディング、スポーツ・スポーツプラスモード

スポーツやスポーツプラスモードに変えて、シフトもマニュアル操作に変えてみる。スポーツエグゾーストのフラップが開き、エグゾースト音がより太くなる。しかし、それほど音量が大きくなったという印象はあまりなく、音質が変わったという印象の方が強い。

ポルシェ911(992)スポーツクロノダイヤル

後でディーラーの担当者に「今回のスポーツエグゾーストはON・OFFでそんなに音量が変わらないですよね?」と聞くと、

「いや、それは981ボクスターGTSや、4リッターのV8をご存知だからですよ。あれらが変わり過ぎなんだと思います。」

と言われた。やはり、昨今の騒音規制等で音量変化よりも音質変化でスポーティーさを表現しているのかもしれない。

街中でのノーマル状態でのパドルシフトは、半拍ほどおいて変速する感じだが、スポーツプラスにすると電光石火の変速スピードだ。971パナメーラのものとは明らかに変速スピードが上がっている。

991のGT3のPDKスポーツは凄まじい反応スピードだが、それにかなり近くなっている。あくまで主観だが、私の知る限りでは992のPDKのスポーツプラスモードでの変速の反応スピードは「マクラーレン720Sよりもフェラーリ488よりもウラカンよりもGT-Rよりも速い」と感じる。

スパッ、スパッと変わり、「ボン!」という変速音を轟かせながら走るワインディングは最高だ。

ポルシェ911(992)タコメーター

ポルシェはPDKの開発には並々ならぬコストと情熱をかけているのではないだろうか。正直、他社と比べるとトランスミッションの性能は頭一つ抜けているように思う。

このスポーツエグゾーストはOFF状態でも、エンジン音はそれなりに勇ましい。クーペボディで窓を閉めてても、ちゃんとエンジン音は聞こえてくる。少し記憶が曖昧だが、以前乗ったことのある991.1のカレラ4S、991.2のカレラカブリオレよりもエンジン音はしっかり聞こえる印象だ。

パワー感

3リッターの水平対向6気筒ターボエンジンは450ps、速いのは速いし、一切不足は感じない。しかし、扱いに困るほどのパワー感ではない。ただ、私の場合はGT3やパナメーラターボのパワー感に慣れているので、ここは話半分ほどで聞いてほしいが「パワーが有りすぎて持て余す」といった印象は受けなかった。

ポルシェ911(992)カレラ4s アベンチュリン グリーン メタリック

下からのトルクも厚く、普通に乗ればターボラグは全然感じない。非常にパワフルかつ、扱いやすいエンジンという印象だ。

ただ、一方で、悪い言い方をすれば、優等生すぎてあまり記憶に残らないエンジンでもある。正直、この原稿を書いている時点で、エンジンの特徴を思い返そうとしているが「よく回りパワフルな優れたエンジンで、とても気持ちよかった」という印象だけで、あまり記憶に残っていない。

ちなみにベースグレードの素のカレラ(385ps)と、このSのエンジンを乗り比べた方に聞くと、普通に走る分には数値ほどのパワーの差は感じないそうだ。音もほぼ同じで差はほとんど感じないとのこと。一方、高回転などはSの方がパワフルで伸びる感覚はあるようだ。

コーナリング、足回り

連続するコーナーを流すと、とにかくしっかりとタイヤの接地感が伝わる。4輪の状態を把握しやすく、この感覚は先代モデルよりも強いように思う。一切、不安な要素はなく、タイヤが向いている方向が手にとるように分かる。

ポルシェ911(992)カレラ エグゼクティブ デザイン ホイール

いつもGT3でトラクションを強くかけると、リアが少し出るコーナーで、同じようにカレラ4Sでもやってみるが、さすがは四駆だけはある。おそらく瞬時に前輪にトルクが配分されるのだろう、何事もなく、安定しきった姿勢でコーナーを脱出する。

振り回す楽しさなどを味わおうとすると、992、特にカレラ4Sは一般道では到底無理だ。なので、あくまでこのクルマは「安定して速く走ることを主眼においた全天候型快速ツアラー」だと思う。

このクルマの足回りは普通のPASM付きサスペンションであり、PASMスポーツではない。ノーマルモードだと、とても乗り心地は良く、大きな段差での多少の揺れはあるものの全くの許容範囲。誰も乗り心地が悪いという人は居ないのではないだろうか。

PASMをスポーツにすると、グッと引き締まる。これは991時代のPASMよりも変化量は大きく感じた。低速での段差での揺れは大きくなり、PCCB付きGT3のPASMノーマルと同じか、それより少し柔らかい印象だ。

PASMスポーツにして、中速コーナーを回ってみる。相変わらず、粘る感じというか、タイヤが路面に接地して離さない感じが強い。安定しきっていて、怖さなんかは微塵もない。

ポルシェ911(992)カレラ4S

GT3のような削り取るように曲がる豪快さではなく、かといって、ボクスターのコンパスで円を描くような軽快さでもない。ちょうどその中間、いや、少しGT3寄りだろうか、とにかく何事もなくズレなく曲がってくれるのだ。

ここでも、優等生すぎる印象を受けるが、992の本性を見るにはサーキットに持ち込むしかないと思う。

ちなみに、この試乗車は5,000kmほどしか走っていない個体だったので、もっと乗り心地は良くなる可能性がある。私の経験上、ポルシェのサスペンションは15,000km〜25,000kmくらいからとてもしなやかになると感じている。なので、もう少し熟成した状態のものに乗ってみたいものである。

新型ポルシェ911(992)総評

一通りの試乗を終えて、帰路についている途中、クルマにも慣れて全く違和感なく「いつものポルシェ」に乗っている感覚で運転できていることに、ふと気づいた。試乗車であることを忘れていたような感覚で、何も普段と違和感を感じなかった。

その「違和感の無さ」を感じれたことが、992も紛れもない”ポルシェ”であることの証拠であると感じた。

ポルシェ911(992)メーターパネル

他メーカーなどはモデルチェンジするたびに、全く違うクルマになったかのような印象を受ける車種も多い。そんな中、やはり911はモデルチェンジしても911なのだ。運転しやすく、高性能で優等生にはなってはいるが、その乗り味や、操作性、フィーリングは911なのだ。

私が思うに今回の911は、空冷ポルシェを現代の技術でさらに高性能に、かつ環境性能や安全性に配慮して蘇らせた結果のようなものに感じる。もちろん、空冷ポルシェとは全然運転フィーリングは違い、はるかに走らせやすい。

しかし、内外装のデザインやエンジン音、フィーリングなどは、多少人工的な演出の感じはするが、今までのモデルよりもクラシックな要素を色濃く反映しているように思った。

ポルシェ911(992)カレラ 後部座席

また、992は今までよりもGTカー的な要素が強くなったと感じる。長距離でのツーリングや、日常使いは991よりもさらに使いやすく、疲れにくいと思う。おそらく、ポルシェはカレラ系のベーシックモデルと、GT系モデルでその性格をさらに明確に分けようとしているのではないだろうか、GT系の発表まではまだしばらくかかりそうだが、今後のラインナップが今から楽しみだ。

試乗を終え、タイカンを予約している身ではありながら、タイカンが来るまでの間、992に乗るのも悪くないな、と思った今日この頃だ。さて、わが家のクルマ選びはどうなることやら。

このブログが気に入ったらフォローしてね!

コメントを閉じる
  • コメント ( 2 )

  • トラックバックは利用できません。

  1. ウーパー

    991.2の時もここまで来たか。これ以上の進化が
    あるのだろうか?と感じました。
    しかし、今回のモデルチェンジもまた、私の様な、
    空冷だろうが、MR、RRだろうが大した違いがわか
    らない素人でもハッキリ進化していることが分か
    るものでした!
    やっぱりポルシェ凄いですね。

    でも、ホント、コーナリング中、何にも起こりま
    せんでした。
    これでもかってやっても、普通に曲がってしまっ
    て…

    • MinaMina

      ウーパさん
      やっぱりポルシェはすごいですよね。
      おっしゃるように、その進化がはっきりと肌で感じられるって、ものすごいことだなぁと思いました。

      >でも、ホント、コーナリング中、何にも起こりませんでした。
      そうですよね(笑)何も起こりませんよね、空冷だったらこうはいかないだろうなぁと思う場面でも、
      めちゃくちゃ運転がうまくなったように感じてしまうくらい、スムーズでした!