車のボディーカバー作りに魂を込めてーポルシェサポーターズfileVol3.仲林工業仲川晃一さん

わが家のカーライフ

Chapter2.ボディカバー作りへのこだわり

2-1:ボディカバーにかける想い

ボディカバーを作る上で大切にされていることは?

お客様が「ボディカバーによって得られる効果をしっかり感じられるかどうか」を大切にしています。中でも、意識していることは大きく3つですね。

1つ目は「機能性を重視する」こと。ボディカバーをかけた時の見た目のかっこよさよりも、「車を守り、傷つけない」といった機能面に重きを置いています。例えばドアミラーの部分について。現在は、鍵をロックすると自動でドアミラーが格納される車が多いですが、もし万が一ドアミラーが格納されない状態でカバーをかけ外しすることになったとしても、ドアミラーに負担がかからない大きさの設計にしています。
たまに「ドアミラー部分をもっとピタッとフィットさせて欲しい」と言われることがあるのですが、それでは車に負担をかけてしまう可能性があるため、お話してご理解頂くようにしています。

2つ目は、「ボディカバーに仲林工業の社名やロゴをいれない」こと。ロゴを印字するとムラの原因になりますし、真夏の炎天下ではロゴ部分に太陽の光が集中するので、その部分のボディに負担をかけてしまいます。ですから、社名やロゴの印字は絶対にしません。商売的にはロゴをいれたほうが会社の宣伝になるんですけどね(笑)

3点目は、「バランス」です。車に負担をかけず、極力ミシンの縫い目は少なく、雨水は通さず、脱着もしやすい。「どれかが飛び抜けて良くて、どれかがだめ」では意味がないので、様々な機能を天秤にかけ、可能な限り高次元でのバランスを追求し、改良を重ねるようにしています。

ミシンの縫い目…そんな細部にまでこだわっているの!?

はい。車の形状にあわせて細かくパーツを増やせば車にはフィットしますが、逆にミシン目が増えるので、ミシン目から雨水が中に入ってしまったり、耐久性に問題が出てきてしまいます。ですからミシン目は可能な限り減らすことが重要なんです。
またドアミラーの袋については、一本針で細かく縫うことで雨水が入らないようにして、一方で裾の部分は最後にきゅっと引っ張るので少し粗めに縫うなど…ミシン目ひとつとっても場所によって変えるようにしています。


使用する生地も極力継ぎ目をつくらないよう設計しており、サイドアンダーミラー等の突起物を除いて、ルーフを走る上の生地と、側面の生地、その間に入れるマチと呼ばれる生地、最大で4種類の形状のパーツしか使いません。

すごい…そのこだわりは、先代から受け継いだもの?

そうですね。父から影響を受けた部分は大きいと思います。父はよく「商売で大切なのは、お客様にとって良い物を作り、納得してもらうことだ。自分たちの都合の良いようにお客様を騙したりすると、二回目は絶対に買ってもらえないからな。」と言っていました。今もたくさん注文を頂くことは嬉しいですが、「一度売って終わりではない」という思いを常に持ち、仕事をしています。お客様に「買って良かった」と思って頂いて初めて、次に繋がっていきますから、みんなで一つ一つ心を込めて作っています。

2-2:想いを形に

現場の職人さんには、どうやってその思いを共有してるの?

普段からこういった話をしているので、それである程度は共有できていると思いますね。また職人さんには「もし自分がお客様の立場だったら、その金額を出してまで買うか?自分が納得して買いたいと思えるものを作ろう」と伝えています。
いざ自分がその金額を出して買うと考えると、雑には出来ないですよね。

とはいえ、それはゆっくり作るということではありません。ミシンで縫製する作業は、逆にある程度のスピードで縫わなければ、よれやつっぱりの原因になってしまいます。かといって、速く縫って1cmでもずれると、いちからやりなおしの場合も。
速さと正確さが問われる世界なので、熟練の業が必要になりますね。僕も以前縫製作業をしていたので、最近手伝いに入ることもあったのですが、逆に足手まといになってしまい…(笑)型の採寸の作業に集中するようになりました。

型を採寸しにくいメーカーもあるの?

そうですね…先日、ランボルギーニ・ウラカンの型取りをさせて頂いたのですが、大変難しかったです。フロント部分が尖っているので、一般的なボディカバーの要領で作ると、突っ張ったりよれたりしてうまくいきませんし、カスタムされれているものはさらに難易度が増します。ただ、愛車を大切にしたいオーナーさんの想いに答えるために、日々工夫を重ねて採寸するようにしています。

そんな丁寧なボディカバー。お客様からはどんな声を頂いているの?

最近多いのが、「車を売りに出す時に、ものすごい高値がつく」というお声です。外装だけではなく内装の傷みも少ないので、走行距離の割に大変綺麗だと言われることが多いそうです。フロントガラス、ワイパーのゴム、ヘッドランプといった部分は、雨ざらしであれば劣化が激しくなりますが、ボディカバーをつけることでそのあたりの傷みが大きく低減されるんです。

ボディカバーは「汚れない」「洗車の回数が減る」といったすぐに分かる効果だけではなく、長い目で見たメリットも大きい。ですから「売るとき高く売れることを考えると、とてもお得なアイテムだ!」といった喜びの声を頂くことが多いですね。

→【次ページ】 仲川社長から見たポルシェ、仲川社長の意外な一面とは…?

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