最強のテスラ モデル3!『パフォーマンス』モデルにロングレンジオーナーが乗ってみると?

テスラ モデル3 パフォーマンス
レビュー・試乗記

モデル3パフォーマンスの概要とスペック

テスラのモデル3パフォーマンスに試乗する機会を得た。

このクルマは、モデル3シリーズの最上位グレードであり、その性能は驚くべきものだ。まずはスペックから見ていこう。

テスラ モデル3 パフォーマンス

モデル3パフォーマンスの最大出力は460馬力で、0-100km/h加速はわずか3.1秒
この数字は、ポルシェ911 GT3を上回り、911ターボの領域に匹敵する。最高速度は電気自動車ということもあり261km/hだが、それでも十分な速さだ。

このクルマの特徴は、新しいアダプティブダンピングシステムを採用している。これはポルシェのPASMのような電子制御ダンパーで、路面状況に応じて減衰力を調整し、高速コーナリング時でも安定性を保つ。

テスラ モデル3 パフォーマンスの設定画面

さらに、「インセインモード」と呼ばれる最大パワーを引き出すモードが追加されている。これにより、0-100km/h加速が3.1秒という驚異的な加速性能を実現している。また、ロングレンジなどには無いトラックモードの設定も備え、ハンドリングのバランスやスタビリティコントロール、回生ブレーキの強さなどを細かく調整できる。

外観と内装の特徴

外観では、フロントとリアのディフューザー、フロントバンパーの形状が通常のモデル3と異なり、よりシャープな印象を与える。リアにはカーボンファイバー製のスポイラーが追加され、高級感を醸し出している。

標準装備の20インチ「ワープホイール」は、空力性能を考慮したデザインで、スポーク間にプラスチック製のカバーが付いている。ブレーキも大型化され、車高やサスペンション関連のパーツもアップグレードされている。

テスラ モデル3 パフォーマンスとロングレンジ

左がパフォーマンス、右がロングレンジ

テスラ モデル3 パフォーマンスのシート

スポーツシートの座り心地はとても良い。スポーティー過ぎず、快適性も十分

テスラ モデル3 パフォーマンス

室内では、ベンチレーション機能とシートヒーター機能を備えたスポーツシートが目を引く。ダッシュボードには、ロングレンジモデルの白っぽい装飾に代わり、カーボンファイバー柄のデコールが採用されている。

車重は1850kgで、他のモデル3グレードとさほど変わらない。ただし、航続距離はロングレンジより若干短くなり、国土交通省の審査値で610kmとなっている。実際の走行では450kmから500km弱程度と予想される。

テスラ モデル3 パフォーマンス

パフォーマンスモデルの証

乗り心地と操作性

モデル3パフォーマンスに乗り込んで最初に気づくのは、スポーツシートの快適さだ。
見た目からは硬そうに感じるが、実際には適度な柔らかさと肉厚さがあり、長距離ドライブでも疲れにくい。サイドサポートもしっかりしており、ホールド感は抜群だ。

コンフォートモードで走行すると、ロングレンジモデルとのパワーの違いは感じられない。強いて言えば、パフォーマンスの方が20インチホイールの影響で若干重さを感じるが、数十分も乗っていればその差はほとんど気にならなくなる。
また、標準モードの加速力も、ロングレンジと変わらない。たぶん、言われなければ気づかないレベルでパワー感は同じである。

テスラ モデル3 パフォーマンス

ここまで乗って感じたのは、パワー感だけで言うと、パフォーマンスはロングレンジにインセインモードを追加したモデルで、コンフォートや標準のパワーは同じと思ってもらって良いと思う。

乗り心地に関しても、パフォーマンスモデルだからといって特別に硬いわけではない。アダプティブサスペンションのおかげで、20インチホイールをしっかりと履きこなしている印象だ。

ポルシェ乗りの私からすれば、むしろもう少し硬くてもいいと感じるほどだ。

ハンドリングと加速性能

ハンドリング面では、ロングレンジモデルと比べてアンダーステアが少なく、クイックさと接地感の高さが感じられる。コーナリング時の安心感も一段上だ。ただし、それほど硬いサスペンションではないため、ある程度のロールは許容している。それでも、ロールの角度は一定に保たれるため、スポーティーな走行でも不安を感じることはない。

そして、このクルマの真骨頂である「インセインモード」。このモードに切り替えると、加速性能は文字通り狂気の領域に達する。ロングレンジモデルの標準モードでも十分速いが、それを2段階上回る速さだ。加速時のGフォースで喉や胸が押さえつけられるような感覚を味わう。

テスラ モデル3 パフォーマンス

この加速性能は、どんな911でも太刀打ちできないレベルだ。特にコーナー出口からの加速では、圧倒的な差を見せつける。

ただし、オーナーさんの話では、インセインモードは購入直後こそ頻繁に使うものの、日常的には使用しないとのことだった。

モデル3パフォーマンスの位置づけ

モデル3パフォーマンスは確かに高性能だが、BMWのM3/M4やメルセデスAMGのCクラスのように、ベースモデルと比べて劇的に異なる乗り味ではない。ポルシェで言えば、通常の911とGT3ほどの差と比べれば、非常に差は少ない。

このパーフォーマンスというモデルは、特別モデルという位置づけではなく、あくまでもロングレンジモデルやRWDモデルの延長線上にある性能だと考えるべきだろう。

テスラ モデル3 パフォーマンス

そのため、日常的に強烈な加速力や高速走行を楽しむわけでもなく、サーキット走行の予定もないのであれば、ロングレンジモデルで十分かもしれない。私のオススメは19インチホイールを装着したロングレンジモデルあたりが、スポーティさと快適性のバランスが取れている印象だ。

しかし、モデル3パフォーマンスの魅力は見た目の良さにもある。

スポーツシートの快適さや、必要な時に発揮できる圧倒的な加速性能は、確かに価値がある。私自身がポルシェを所有していなければ、モデル3を1台だけ購入するならパフォーマンスモデルを選ぶだろう。

テスラ モデル3 パフォーマンス

結論として、すでにスポーツカーを所有している人にとっては、ロングレンジモデルやRWDモデルで十分だ。一方、1台でスポーツカーと日常使用を兼ねたいと考える人には、モデル3パフォーマンスをおすすめする。

テスラ モデル3パフォーマンスは、電気自動車でありながら本格的なスポーツカーの一面を持つクルマだ。
その性能と実用性のバランスは、多くのドライバーを魅了するだろう。
ただし、自身の運転スタイルや用途をよく考慮した上で、最適なモデルを選択することが重要だと思う。


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Hiro

Minaの夫です。 ファッションやステータスシンボルのためにクルマは乗りません。運転して楽しく、工業製品として優れ、作り手の意思が感じられるようなクルマを好...

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