MT車を運転できなかった頃

今から約５年前の私は、MT車をろくに運転できずにいた。

当時わが家にあった唯一のMT車、ボクスターGTS（981）を運転させてもらう度に「私にMT車の運転など、一生無理だ」と、諦めは増すばかりだった。

アクセルペダルやクラッチペダルから足が離れず「ボクスターのペダルには瞬間接着剤がついているのか？」と疑うたくなるほど、爪の先から頭の先まで体全体もカチコチ。

歯を食いしばりすぎて、毎回運転した後は、顎が激しく疲れていた。

坂道発進ができず、エンストを繰り返し、道のど真ん中でハザードを出して止まったこともあるし、一回の信号でうまく発進できず、そのまま赤信号になったこともある（幸い後ろにクルマはいなかった）

３速から４速にいれるつもりが２速にいれてしまったり、１速にいれるつもりがバックにいれてしまったり…

今思えば、事故したりぶつけたりしなかったもんだなぁ…と思う。（当時の記事はこちら↓笑）

ポルシェ ボクスターGTS(MT)を乗りこなせるようになるその日まで-Vol.2

ただ、そこから一念発起し「MT車を運転できるようになる」と決め、自分でMT車のBMWを購入し、毎日乗るようになってからは、あれだけ無理だったボクスターにも乗れるようになり、「やっぱりMT車の運転は慣れなんだなぁ」とつくづく思った。

とはいえ、ボクスターに乗ってもシフトダウンの時のブリッピングはできず、芦有ドライブウェイでは毎回、スポーツプラスモードをONにしてオートブリッピングに頼っており（981はスポーツプラスモードでオートブリッピングがONになる）「とりあえずは運転できる」というレベル。

ただ「MT車を運転できるようになる」という当初の目的は果たせたので、愛車のBMWも手放し、しばらくはAT車に乗る日々を過ごしていた。

高性能車ポルシェを、もっと堪能するために

そして昨年の春、再びMT熱が再燃し、10月にスイスポのMT車がわが家にやってきた。自分のお金で買うため、予算、走りの楽しさ、使いやすさを考えると、スイスポ一択になったのだ。

軽快で、伸びやかで、信号の多い国道を走ることすら十二分に楽しい。

次第に「せっかくだから、自分でブリッピングできるようになろう」と思うようになり、毎日乗りながら練習して、1ヶ月ほど経ち、ブリッピングができるようになった。

また、特に意識していたわけではなかったが、発進時に、アクセルをちょんちょんとあててみたり、なめらかで楽しい運転のやり方を自分なりに模索するようになった。

そして先日、久しぶりにボクスターに乗る機会があったのだが…

なんとこれまで以上に、運転しやすく、楽しさが増していて、自分でも驚いた。

ブリッピングも普通にできるようになっていたし（とはいえ、最近のポルシェは自分でのブリッピングを推奨してないようなので、しないほうがいいと思うが）、以前は「かたいなー」と感じていたアクセルペダルも、絶妙な力加減が掴めるようになっていた。

「ボクスターってこんなに楽しかったのかぁー」と一人で感動しながら運転した。

久しぶりに芦有をボクスターで走れて気持ちよかった！エンジン音をボイスメモで録音してみました。あんまり良い音質じゃないけど。。 pic.twitter.com/kiFpVAiYS3

— Mina-ポルシェがわが家にやってきた (@Mina_Panamera) May 21, 2022

ボクスターはこれまでも楽しかったが、以前よりもリラックスして、もっと体に馴染む感じで運転ができるようになったことで、夫がよく言う「クルマと一体になって走る」「クルマとチームになって走る」という感覚がわかるような気がした。

「MT車の運転は慣れだ」と思っていたけれど、毎日乗ったからではなくて「もっとうまくなりたい」という気持ちを持って毎日乗ってきたことが、良かったのかもしれないなぁと思う。（といってもまだ下手だけど）

以前より夫が「もっとクルマの運転がうまくなりたい」と言って、ポルシェのドライビングスクールに行くのを「なんのために？レーサーにでもなるん？」と鼻で笑ったりもしていたけれど、

「ポルシェのような高性能なクルマは、自分の運転がうまくなればなるほど、もっと楽しさを引き出せる」ことを実感し、夫の気持ちが少し分かるようになった。

せっかくポルシェに乗れる機会があるのであれば楽しい方が嬉しいし、私もまだまだその楽しさを引き出せていないと思うから、これからも少しでも運転がうまくなるように、意識していきたいなと思った。